シリーズのPart2です。

Part1はこちらからどうぞ…

えっと、「パラダイム・シフト」の話からでしたね。

ちょっと長いですが「科学革命の構造」(トマス・クーン)からの引用です。
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"パラダイムは、科学者に小さい分野の極めて専門的な問題に注意を集中させることによって、
自然のある部分を、かつて考えられなかったほど詳細に深く探求することを可能にする。

それ故に、そのパラダイムがより正確で、より徹底したものであればあるほど、
変則性をより敏感に示すことになる。

このような変則性は、パラダイムによって与えられた基盤に対してのみあらわれてくるのである。

しかし、このような変則性や反証例に直面しても、
科学者はすぐにそのパラダイムを放棄するわけではない。

それらはそのパラダイムで解けるパズルであるのかもしれないからである。
そのパラダイムで解けるパズルとそのパラダイムに矛盾する反証例との間に
ハッキリした区別があるわけではない。

むしろこうした危機が「いろいろなパラダイムの変種を誘発することを通して、
通常科学のパズルのルールを緩め、最後には新しいパラダイム出現の道を拓くのである"
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重要なのは、

「変則性は、パラダイムによって与えられた基盤に対してのみあらわれてくる」

って所です。

そして、

「こうした危機が「いろいろなパラダイムの変種を誘発することを通して、
通常科学のパズルのルールを緩め、最後には新しいパラダイム出現の道を拓くのである」

なんて部分は、妙にワクワクしてしまいますよね。(^^)b



つまりパラダイムシフトってやつぁ、いわゆる「中の人」にしか
訪れないって事なんですね。


もっと言えば、あるパラダイムを徹底的に研究している
人にしか変則性は現れない。 というか、見えないわけです。

なんとなくの知識として知っている程度の人には
そのパラダイムにおけるパラダイムシフトなんかないよって事です。

アインシュタインもニュートン力学でのほころびともいえる
[光速度一定」という変則性から、相対論を生み出しました。



もう、お分かりですね。

認知科学においては、まさに苫米地博士がこの「中の人」なわけですよね。


認知科学にも、「フレーム問題」という「変則性」というか
-「危機」と言ってもいいでしょう-解決できない問題が出現したわけです。


「フレーム問題」と言うのは
人間はあるフレームを作って、その中で思考してるって事なんですが、
まぁ、簡単に言えば

「どうやって、それをそれとして判定しているか?」

とでも言えるかな?


よく例として使われるのは「犬」をどうやって認識しているかって事ね。

あれだけ、豊富な犬種があるのに、どうやって「猫」と区別して
判別してるんでしょうね?

これを人工知能の「プログラム」として入力するとなると、
そのデータの量は膨大ですよね。
っていうか構成要素の組み合わせで考えると無限になってしまうわけです。

※「ディープ・ラーニング」という手法が取りざたされていますが、
以下のような例に応用できるのかまだわかりませんので、
とりあえずここでは置いておきます。

さらには、もしそのデータ(条件)の一つを満たさない物体が現れたら
プログラムはそれを犬と判定できないわけです。

例えば、「4本脚」と言う条件がプログラミングされていた場合、
事故で足を失った犬は、犬と認識できなくなってしまうって事です。


人間はできますよね?

フレームは「ゲシュタルト」とも言い換えられます。

ゲシュタルトは使われる文脈で若干意味が異なりますが、
ここでは、見たものになんらかの意味を持たせようとする
「ゲシュタルト効果」の意味で使っていると思ってください。


なにが言いたいかというと、
子供向けの絵本や、雑誌で多くあるパターンなのですが、
動物の一部がなにかに隠れている、絵や写真がありますよねぇ。

図鑑でも、草むらに潜み、半分だけ顔をだしたトラの写真があったりします。

一部が隠れていても、幼児でさえそれが何の動物なのかわかりますよね?

これ、よくよく考えるととてつもなくすごい事です。

どうやって判定しているんでしょう?

これをプログラムで実現するとなると…

ルールを記述できませんよねぇ?

単純に言ってしまえば、”人間にはゲシュタルト能力がある”で
済んでしまうのですが、人工知能の研究としては大問題です。


さらには、この写真を見てください。
息子が飲食店のおまけでもらってきたおもちゃなんです。

写真 2014-02-25 5 43 07
写真 2014-02-25 5 43 27



「これなぁに?」と、

2歳になったばかりの頃の、息子に聞いてみると
「ミッキー!」と答えるわけです。

ミッキーマウスを認識してから、
1年もたっていないのに、
ものすごい抽象化能力だと思いませんか?

自分の息子であるなんて事には関係なく、

「すげぇな!」

と、思うわけですよ。


機械にこれをやれって言うのは、
相当大変じゃないかと思うわけです。

だって、「小さい丸がふたつ、大きい丸がひとつ」だけですよ?
どう見ても… (笑)

これを「ミッキーマウス」って、あぁ~た!(笑)

「隠れミッキー」なんて、その最たるもののひとつですよね。


結論としては、このとんでもない抽象化能力…
つまり、人間がどうやって抽象化しているかがわからないと
フレーム問題は解決できないって事なんですね。

ここにきて、認知科学は行き詰まりを見せるわけです。

一部では「フレーム問題は解けない」と言う見解に至ったところもあるようです。


しかし、苫米地博士は言うのです。

「この状態こそ、次のパラダイムへの過渡期なんだ」と…

この「過渡期」に入った状態をさして、一応「終わり」と見ているんですね。


おわかりとは思いますが、だからと言ってこれまでの人工知能の
研究がすべて間違っていたとか、「無に帰す」とかいう事ではありません。

アインシュタインの相対性理論が出てきたからと言って、
ニュートン力学がすべて否定されたわけではありません。

日常生活では、ニュートン力学の方が都合がいいわけです。
いちいち時間の相対性まで考慮していたら大変です。
ってか意味ないですわな(^^;

量子力学も同じですよね。
日常生活のすべてを、イチイチ確率的に捉えなくても生活していけますからね。


これと同じことが「認知科学」にも言えるわけです。


基盤となっていた「機能主義」(ファンクショナリズム)が、
「フレーム問題」によって使えなくなってしまったかと言うと
そうではないわけです。

これまでの知見を活かし、マインドの使い方を主体とした
コーチング、セルフコーチングにおいて十二分に
その役割を果たすこととなるでしょう。
ってか、果たしてくれています。

ひとつの「パラダイム」の限界が見えてきた事において、
「認知科学」は終わったという表現がされたのです。

ここまできて、最初の疑問-タイトルにもなっていますが-が、
とりあえずは

「あぁ~~、よかった…」

って形を迎えるわけなんです。


あ~~、よかった!(笑)

いやいや、よかったはいいけど、じゃぁこの先どうなるの?
って話ですよねぇ?(^^;

ってことで、Part3へ続く

参考文献

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ライフ・コーチングやセルフコーチングについてはこちら... 
    =>「井上和也 オフィシャル Webサイト」