辺獄のシュヴェスタ / 竹良実 タケヨシミノル
 小学館『月刊スピリッツ』(2015年2月号ー連載中)
 既刊1巻(6/12発売)


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【レビュー】
中世ヨーロッパ / 歴史 / 少女・復讐

※いわゆる胸糞展開有り。耐性無い人は見ない方が無難。




16世紀半ば、現ドイツにあたるザールブルク近郊に育った少女・エラは、
持ち前の烈火の如き気性を恐れた親によって人買いに売り飛ばされてしまう。

どうにか逃亡したもののあてもなくロバ小屋で震えていたエラは、
アンゲーリカという名の女性に拾われ、引き取られる。
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強く賢いアンゲーリカに様々な事を教わり育てられ、聡明に育ったエラ。

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 しかし、薬師の知識のあるアンゲーリカは、その腕前ゆえに
”魔女”の嫌疑をかけられ、異端審問を受ける事になる。
中世ヨーロッパにおいて、一度”魔女”の嫌疑をかけられてしまえば
それを晴らす事は不可能であった。

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もはや人権すら認められず、拷問と脅迫によって魔女であることを認めるまで心身を痛めつけられた末、
処刑されてしまったアンゲーリカ。
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 普通の人間なら、(メタ的なことを言えば読者ですら)心が折れ壊れてしまうような逆境の憂き目に遭い、

エラは、

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復讐の鬼となった。

しかし、エラに降り注ぐ受難は止まぬどころか熾烈を増す。

”魔女”の娘は、矯正の名の許に修道院に連行されることになるのだが、
そこは少女たちの心を折り肉体を傷めつけ恭順を誓わせる、一種の洗脳施設であった。
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少女達の尊厳を踏みにじり、ある目的の為の傀儡を作る修道院。
そのトップに居る修道会総長・エーデルガルトに復讐の狙いを定め、
エラの心は静かに烈しく燃える。

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唯一のチャンスは3年後、施設を卒業する瞬間。
果たしてエラの運命は・・・・・




暗黒復讐活劇、と銘打たれているだけの事はあり、エグい描写多めです。
心が弱い人は読まないほうが良いくらい。斯く言う僕もたいがい心が弱いのですが、
どうにもこの作品には引き込まれました。 

主人公・エラがあまりにも強く逞しく賢く烈しくて、
なのに彼女に降りかかる運命があんまり残酷で。
果たして彼女は救われるのか、復讐の怨嗟に堕ちていくのか、 本当に目が離せません。

エグさでは
『狼の口~ヴォルフスムント~』(久慈光久 / エンターブレイン)
と比肩し得るくらいです。中世ヨーロッパ、残虐非道な敵集団、心折れそうな逆境・・・
強い女の復讐活劇、という点では
『シュトヘル』(伊藤悠 / 小学館)
とも共通点がありますが、シュトヘルはなんやかや救われる路線を残してますから少し違うかも。
『牙の旅商人』(原作:七月鏡一 作画:梟)
『獣の奏者』(原作:上橋菜穂子 作画:武本糸会 / 講談社)
が好きな人はこの作品も好きになりそう。

ともあれ感情移入すると辛くなる作品だけど、どうにか最後あるいは最期まで見届けたいと思います。