ひつまん。

カテゴリ:オムニバス > 短編集

仙石寛子作品集 / 仙石寛子 センゴクヒロコ

背伸びして情熱
  芳文社『まんがタイムきららキャラット 増刊』(2007年6月号-2009年2月号)
     同『まんがホーム』(2007年4月-2008年10月)
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三日月の蜜
  芳文社『まんがタイムきららキャラット 増刊』(2009年4月号-2009年6月号)
     同『まんがホーム』(2008年10月-2010年9月)
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この果実は誰のもの
  芳文社『まんがホーム』(2010年11月-2012年5月)
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一番星のそばで
  芳文社『まんがホーム』(2012年7月-2013年11月)
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夜毎の指先、真昼の果て 
  白泉社『楽園 le paradis』 (2011年6月-2013年6月)
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【レビュー】
アブノーマルラブロマンス

諸兄ならご存知かとは思いますが、仙石寛子先生です。
この方の作品集、現在5冊目まで出ております。
全て初版1刷を発売日に確保するくらいにはファンです。

どんな作風かと言われると、「アブノーマル・ラブロマンス」の一言につきます。
各作品集ごとに、表題作のストーリーもの(6話程度)が半分程度と1話完結の短編で
構成されています。
表題作
・新任の女教師に惚れた男子校生、
・振り向いてくれない好きな男への当てつけに、その人が好きな女の人に告白してみたら
OKされて女同士で付き合うことになってしまったカフェの店員、
・高校球児と、同性愛者の女の子とのウブなお付き合い、
・お互い大事に思っているのに素直になれない双子の姉弟と、その前に現れた謎の幽霊、
・女→男←男、の三角関係に陥った幼馴染三人組、
・血の繋がった姉弟・・・

その他
・男の子と人間大のイモムシの恋愛
・冬のあいだだけ人間の夫婦に預けられた桜の精
・未亡人と、お盆の日に彼女のもとに現れた夫の幽霊
などなど
題材は決してノーマルとは言い難いのに、 どれもこれも純愛で胸に刺さります。
どの作品も、「人を好きになろうとする大変さ」「好きになってはいけない人を好きになった苦しみ」
が共通していて、まっすぐ歪んだ愛情をこれでもかと投げつけてくる漫画。

少女漫画のような線が細くて儚げなタッチですが、話の内容はびっくりするくらい濃いです。
作者さんとは間違いなく変態でしょうね(褒め言葉)

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1巻目表題作「背伸びして情熱」
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2巻目表題作「三日月の蜜」

基本的に形式は四コマが主。テンポが一定で、話は緩急鋭く読みやすいです。

主人公もしくはヒロインは基本的に難儀な恋愛に苦しんでいるわけですが、
絵柄のせいか作風のせいか、読んでいて辛くなるタイプの作品ではないです。

系統としては
『ロンリーウルフ・ロンリーシープ』(水谷フーカ / 芳文社)
『この靴しりませんか?』 (水谷フーカ / 芳文社)
『ディアティア』(かずまこを / 白泉社)
『ハチミツとクローバー』(羽海野チカ / 集英社) 
あたり好きな人向け。

ニッケルオデオン / 道満晴明 ドウマンセイマン
  小学館『IKKI』(2010年11月- 連載中)
 現2巻刊行

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【レビュー】
不条理 / シュール / 理不尽 / 非日常的日常

しばしば「奇才」「鬼才」と帯に銘打たれる漫画家というものを見かけますが、
この道満晴明はその中でも自分の知る限りとびっきりです。
そして、「ニッケルオデオン」は道満晴明作品の中でもとびっきりです。

本作品は、1話あたり見開き3~4ページの、独立したショートショートを集めた作品集です。
これほど濃密な3ページ漫画ってそうそうないんじゃないか、ってくらい、1話ごとにしっかり
キャラクターとストーリーと独特すぎる世界観を描ききる手腕は、比肩する漫画家などそうそう
いないのではないでしょうか。

IKKI連載ですが、第一編をこちらのWebページで読めます。

この第一編、間違いなく道満晴明ワールドの一端ではありますし、自分もこの話が大好きですが、
この空気から次の話でおもむろになんか切なくなるホモの話を投げつけて来て、更にその次には
絶望的なモンスターパニック(?)・・・と160キロのカーブの後に100キロのストレートを投げてくるような
緩急自在のまとまりがあるようでないような、でもやっぱりまとまってるし惹き込まれるショートショートを
これでもかと繰り出してくる、その量と質が尋常じゃない。

『ニッケルオデオン【緑】』 のScene7「契約」、Scene9「カミサマレガシィ」 は、まさに星新一の
ショートショートに匹敵するレベルの完成度を誇る4ページだと思う。
誤解を招かないように付け加えておくと、これは私にとって最大級の賛辞です。 

普段なら内容の画像を添えて紹介するところですが、1話4ページかつ不条理ショートショートという
内容のとおり、コマやセリフ、ページを切り取っても何がなんだかわからないし、かといって1話まるっと
スキャンなんて法が許しても私の矜持が許さないので、やっぱり購入して読んで欲しいところです。

たぶん星新一や阿刀田高が好きじゃないって人はあんまり受け付けないんじゃないかなあ。

系統としては、
『成程』(平方イコルスン / 白泉社) 
が辛うじて近いと言えるかなあと。
うちの蔵書郡の中では鬼才っぷりで平方イコルスンとツートップを争ってます。

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