ひつまん。

カテゴリ: 日常系

スペシャル / 平方イコルスン ヒラカタ-
リイド社『トーチWeb』(2014年8月1日ー連載中)


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【レビュー】

学生 / 非日常的日常 /  シュール
 
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とある田舎の高校に引っ越してきた葉野さんは、常にヘルメットを被っている不可思議な高校生を見かける。
彼女の名前は、伊賀こもろ。
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 彼女はとても力が強い。



2011年、『楽園』にて衝撃のデビューを果たした鬼才・平方イコルスンの
普通に異常な非日常的日常漫画。

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平方イコルスンのデビュー作、多くの読者に衝撃と混乱と謎の感動をもたらした『成程』(白泉社)、
勢いそのまま以上に自由に書き連ねられた次作『駄目な石』(白泉社)に比べて
今作はある程度読者に歩み寄って比較的理解しやすいキャラクター・ストーリーラインで
怪力少女・伊賀を取り巻く普通に異常な人々を若干シュールに描きます。

前作、前々作との相違として、写植を使用することで文字が絵から独立し、
芸術性は少々薄れた代わりに読みやすく頭に入ってきやすくなった印象。
ただし独特の言語センス、”平方イコルスン節”は健在。
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 なんというか、絶妙なくどさ(褒め言葉)
大凡日常生活で使用されないであろう単語をごくごく自然に絡めてくることで
生じる謎の違和感が、なんともいえない非日常感を醸し出すような。

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個人的にものっそい好きなやりとり
読めば読むほどなんとなくクセになる、スルメな面白さを持っていると思います。

日常の中の非日常ではなく、非日常の中の日常を描く、
一見すると異常な世界観だけど、その世界の住人たちにとっては、
いつもの出来事って感じがするのす

ラーメンズのお笑いが好きな人はハマると思います。

Webページ「トーチWeb」で1~3話と最新5話が読めます。
一話完結なので今からハマっても無問題。
お気に召したらぜひ前作・前々作と併せてどうぞ

系統としては、

『成程』(平方イコルスン / 白泉社)
『駄目な石』(平方イコルスン / 白泉社)
『あの子の家』(クマザワキミコ / 徳間書店) 
『蟹に誘われて』 (panpanya / 白泉社)
『枕魚』(panpanya / 白泉社)
『乙女ループ』(鬼龍駿河 / 白泉社) 

あたり近いかなーと。今のとこ、2016年観刊行開始漫画で一番の当たりです 

猛禽ちゃん / 阿久井真 アクイマコト
小学館Webサイト『裏サンデー』(2014年10月ー2015年4月)
全6巻・完結済

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【レビュー】
日常・ファンタジー  / ラブコメディー

小学館のWebコミックサイト『裏サンデー』連載の、ちょっぴりファンタジーなラブコメディ。


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こちらが ヒロインの猛禽 るい。マジメで頑張り屋だけどちょっと笑顔が苦手で不器用。
首を180度回転できたり、木の上に住んでいたりと謎の多い女の子。

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こっちは主人公(?)の小鳥 遊。ワガママ放題な不良少年。


物語は、ヤンチャしちゃってる小鳥くんが猛禽ちゃんのバイトしている店で
暴れてトラブルを起こしてしまうところから動き始めます。
後日カラオケボックスで猛禽ちゃんに再会した小鳥くんは早速インネンをつけようとするのですが、

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こわいおねえさんがいっしょでした。


いろいろあって猛禽ちゃんの友人に弱みを握られた小鳥くんは
イヤイヤながらお詫びを兼ねて猛禽ちゃんと同じお店でバイトをするハメになるのですが、
どうやらバイト先のレストラン「グワイヒア」には秘密があるようで・・・?


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えっ?

『人間』×『???』のちょっと新感覚なラブコメディー。


1巻は読んでみて「Webコミックの中ではまあまあ面白いかな」的な(エラそうですが)印象だったのですが、
この漫画、5巻~6巻のクライマックスで評価がウナギ登りしました。
何がって、一話一話読んでる時には気付かなかった二人の心情の変化や考え方の変化が、
ラストで一気に物語を動かしていくのですが、その展開というか構成が凄くバランス良くて。


自分至上主義で他人の気持ちなんて考えてこなかった小鳥くんと、
そもそも人の気持ちってなに?という所からのスタートな猛禽ちゃん。
もどかしいながらも確実に一歩ずつお互いを理解しようと歩み寄り、
それでも時に壁にぶちあたったり、周りの人の手助けだったり妨害だったりを受けながら
ほんとうに少しずつ前に進んでいく二人。


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笑顔が”作れず”、子供にギャン泣きされていた猛禽ちゃんが、
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最終巻表紙に辿り着くまでの道のりがもう、なんというかほんとよかったなあって感じ。

クライマックスの見開きブチ抜きは予測可能回避不可能で、
「この漫画読んでて良かった」って心底思えました。

一話一話を切り取るとギャグテイスト有りのラブコメディなんだけれども、
全編通して読むと感動系ラブロマンスになるという二度おいしい作品です。

そんなに詳しいわけじゃないですが、ラブコメ・ラブロマで僕のお気に入りランキングを作るなら
間違いなく五指には入る傑作と断言できます。

一話試し読みは「裏サンデー」から。
アプリ「マンガワン」で全話無料で読めますのでそちらもおすすめ(※1日あたりの制限時間あり)

系統としては
『温泉街のメデューサ』(轍平 / 集英社)
『てるてる天神通り』(児玉樹 / 角川書店)
『姫さま狸の恋算用』 (水瀬マユ / マッグガーデン)
『ディアティア』(かずまこを / 白泉社)
『カプチーノ』(菊池まりこ / エンターブレイン)
仙石寛子作品集
  『背伸びして情熱』(芳文社)
  『三日月の蜜』(芳文社)
  『この果実は誰のもの』(芳文社)
  『夜毎の指先、真昼の果て』(白泉社)
  『あなただけ宝石』(白泉社)
  『花はニセモノ』(白泉社)
  『私に見えない恋心』(竹書房) 
あたり好きな人にオススメしたいところ。 

もっけ / 熊倉隆敏 クマクラタカトシ
講談社『月刊アフタヌーン』(2000年8月-2009年7月)
全9巻・完結済

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【レビュー】
妖怪・伝奇  / 説話・寓話・民俗学 / 日常・シリアス

先日、妖怪漫画の第一人者として日本漫画史に名を刻む水木しげる先生がご逝去されました。
いち妖怪漫画愛好家として心より哀悼の意を表します。 

水木しげる先生の代表作「ゲゲゲの鬼太郎」を殿堂入り別枠という扱いとして
妖怪・伝奇漫画の最高傑作は何か?という話になった時、僕は「もっけ」を推します。

2クール編成でアニメ化もされており、今まで当ブログで取り上げてきた漫画の中では
群を抜いて有名どころに当たるであろうこの作品ですが、どうも自分の周囲での知名度は
それほど高くないような気がしていて・・・ 



巫覡の家系に生まれた「見える」体質の姉・静流と、「憑かれやすい」体質の妹・瑞生の姉妹が
様々な妖怪・怪異に関わりながら成長していく1話完結式の漫画。
・・・というとわりとありがちな設定に聞こえますが、この漫画の非凡なところは
妖怪そのものだけでなく、妖怪を語る上で絶対に欠かせない「人間」の風俗への考証が非常に深い点です。

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例えば「子泣き爺」といえば鬼太郎に出てくる蓑を背負って赤い前掛けをつけた
禿頭のおじいちゃんのビジュアルが浮かぶ人がほとんどだと思います。
それだけ妖怪のビジュアルを強烈に印象付けた水木しげる先生の偉大さはまあ一旦置いといて、
じゃあどういった経緯でこんな妖怪が語り継がれるようになったのか?
だいたいの妖怪は「対処法」もセットで語り継がれているけど、なぜそれで対処できるのか?
この漫画はそういった部分にスポットを当てて物語を作っています。
上記画像の「うばりおん」は第一巻の第一話にあたる話なのですが、
「うばりおん」「おぶさりてェ」の正体についての解釈が素晴らしい描写で・・・


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人は妖怪という存在に何を写して何を考えてきたのかなあ、とか。
薀蓄を絡めて紐解いたり煙に巻いたりするお話なので、
そういうのが嫌いな「考えるな、感じろ」型の漫画読みには向かないかもしれません。
僕は生粋の文系脳なもんで、こういうのを読んでて凄く楽しいと感じるのですが、

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原典を知らなくても「へえ」ってなるし、知ってればなお「ほお」ってなるような。
わりと文字数・コマ数は多い部類で、好きでも読むのにちょっと体力使うかも。
でもそれだけ没頭できる力のある作品です。

また、この作品は”人と人との関わり”を非常に重視して描かれています。
主人公を姉・妹の二人にしているのも、片方は見えるだけ・片方は憑かれるだけなのだから
勿の怪と向き合うには二人で事に当たらなければ片手落ちになるわけで。
「もっけ」というタイトルで題材も妖怪なのだけれど、あくまで妖怪を通して人がどう在るかを描いている
という印象を受けます。

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ただの綿埃や毛玉に、人の思いや想像が乗っかって名を与えられて勿怪になる。
大人になって現実的になったとして、それを切り捨てるような人間ではなく
そこまで踏まえて大事にできる人間でありたいし、昔の日本人はそういうのを凄く大事にしてたんだと思う。

妖怪という存在を信じているかと問われたらいないと思う、と答えちゃうけど
妖怪は人間の生活や風俗、精神とともに間違いなくずっと在り続けているとも思っています。
そしてそれは日本人の血を引いていたり、日本の文化に親しんできた人たちの中にも
脈々と受け継がれているものなんじゃないかなあと。


なんか漫画のレビューじゃない文章な気がするけど、総括すると
「もっけ」は傑作です。

俺が今までに読んできた完結済み漫画の中でも最上級の評価を付けた作品なので、
是非全ての漫画好きに読んで欲しいと思います。 

系統としては、
『ぎんぎつね』(落合さより / 集英社)
『夏目友人帳』(緑川ゆき / 白泉社)
『ルート3』 (みなぎ得一 / ワニマガジン)
『怪異いかさま博覧亭』(小竹田貴弘 / 一迅社→アスキー・メディアワークス)
『鬼灯の冷徹』(江口夏実 / 講談社)
あたり好きな人向け。 

ルルメイト / ミヤコヒト
メディアファクトリー『月刊コミックアライブ』(2014年10月号ー2015年9月号)
→同社『コミックキューン』 (2015年10月号ー)
既刊1巻

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【レビュー】
高校 / 日常コメディ / 萌え・ほのぼの

どこにでもありそうな普通の高校・会ノ川女子高等学校の、とある部室を舞台にした
日常ほのぼのコメディ。

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入学したての1年生・不動岡弥恵(ふどうおか-やえ)は、演劇部に入部希望。
しかし、案内にあった部室には「漫画研究部」「書道部」「軽音部」の張り紙が。 

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どうやら各々の部活は部員が1人しか所属しておらず、空いた部室に十把一絡げに
詰め合わせにされてしまったらしい。

そんな奇妙な縁で仲良くなった四人組の学園生活をのんびりまったり描く日常4コマ。 
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女子高生4人組の日常4コマという時点でもはや類似作品も枚挙に暇ないですが、 
この漫画で光るのは、タイトルにも表紙にもドンと構える金髪娘・ルルちゃんの存在です。
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ルルちゃんはまだ日本に来たばかりの留学生で、日本語もまだまだ不自由ですが、
日本文化と日本語が大好きで日本のことを勉強中。


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ありがちといえばありがちな安定感ある3人(ボケ・ツッコミ・天然)のやりとりにも、
ルルちゃんがまたいいアクセントになっていて独特の空気感を醸し出しています。

川。l ヮ l) < エビフライ!

類似作品は多々ありますが、この作品と近い雰囲気かなあと感じるのは
『ゆゆ式』(三上小又 / 芳文社)
『たまゆら』(原作・佐藤順一 作画・momo / マッグガーデン)
『スケッチブック』(小箱とたん / マッグガーデン)
『咲日和』(木吉紗 / スクエアエニックス)
『ゆるゆり』(なもり / 一迅社)
あたりかと。


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僕もここに住みます。

魔女の森 / 狐面イエリ コメンー
マッグガーデンWebサイト『マッグガーデンコミックオンライン』(2015年9月25日連載開始)

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【レビュー】
ファンタジー / オムニバス / ほのぼの

魔女とは、生まれ持った生命の時間を捨て
力そのものと成った者である
その存在は珍しく、貴兄の赤子が生まれる確率よりも
数が少ないとされる


とある森に住む、優しく美しく賢く、でもちょっと子供っぽい楽天家で能天気な魔女・ロゼと、
彼女を取り巻く人々との日々を描いた、お伽噺のようなファンタジーオムニバス。

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鬱蒼とした『魔女の森』に生きる魔女・ロゼと、産みの親に捨てられ彼女に拾われた人間の娘・ハンナ。
魔女の娘として、魔女に憧れつつも人間として年を重ねたハンナとロゼの穏やかな時間を描いた1話は
単行本発売日にダッシュで購入を決意する程度には素敵な雰囲気でした。

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1話はこちらのWebサイトで立ち読みできるので、ぜひ読んでみてください。

また、1巻巻末に載っている、獣人と人間の恋を描いた読切『HAPPYEND STORY』 も
じんわり泣ける美しいお話です。

やさしく美しいお伽噺のようなファンタジーは、
魔女の心臓』(matoba / スクエアエニックス)
タビと道づれ』(たなかのか / マッグガーデン) 
ソマリと森の神様』(暮石ヤコ / 徳間書店) 
IT’S MY LIFE』 (成田芋虫 / 小学館)
ハルノカミカゼ』(ichinomi / 一迅社)
現代魔女図鑑』(伊吹ウタ / 一迅社) 
ハクメイとミコチ』 (樫木拓人 / エンターブレイン)
『魔法使いの嫁』(ヤマザキコレ / マッグガーデン)
『竜のかわいい七つの子』(九井諒子 / エンターブレイン)
『竜の学校は山の上』(九井諒子 / イーストプレス)
『ひきだしにテラリウム』(九井諒子 / イーストプレス)
『あの子の家』(クマザワミキコ / 徳間書店)
『棺担ぎのクロ~懐中旅話~』(きゆづきさとこ / 芳文社)
『夜森の国のソラニ』(はりかも / 芳文社)
あたりの雰囲気と近いものを感じます。 

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