段落替えには<p>(p element)を使うというのは、HTMLのマークアップを行う人にとっては常識かもしれないけれど、幅広く紙媒体で書いている執筆者からブロガー、一般人まで、文章を書く上で、どういう改行と空白を理想として書いているかはだいぶん認識が違うように思う。ポエムのように無駄に改行で空白を稼いでいるように見える書き方を、わたしは「アメブロ方式」と名付けているけれど、あれはあれで意味があると思う。執筆者が神ならば、編集者はいただいた原稿が見た目通りになるように版にすればいいが、世の中そんなシーンばかりでもなかったりもする。では、どういう書き方が、すくなくともウェブではベターなんだろうか? あるいはウェブ上に公開されたテキストを書籍に落とし込むときあの空白どうするの?

ウェブではどうやって段落替えをしているか

英語の文章では、段落を変えるときは「ひとつの提言がしおわったとき」で、1つの事柄を1つの段落で言い切り、次の段落に移るのが基本。なのでライティングをおそわると、段落替えを適切に行うことが重要、と何度も注意されます。 「話題の塊で1つの段落」なので「Aである。なぜならBだからだ。それゆえCである。すなわちAである」まで書いてやっと改段落。

英語の段落替えはフォーマット上は、

  • 行を変える/十分に行間を空ける
  • 字下げする
のどちらかで表現するのが一般的。手書きの作文ではグチャグチャして段落が変えたことがわからないとよくないから、1行開けて書いたほうが明確、と言われることもある。

実際に、ペーパーバックや実用書を開いてみると、

  • 行を変える
  • 十分に字下げをする
で表現されているはず。欧文の字下げは、日本語と違って1字よりもっと多く2〜6字くらい。「1行あけて」といったフォーマットが使われることはまずない。段落と段落の間に空間はない。

一方、ウェブサイトの文章は、これと異なり、だいたいが

  • 段落間を十分開ける(1行あきくらいに見える)
  • 字下げはしない
という扱いになっている。あくまで想像だけれど、HTMLでは空白に用いる半角スペースが特殊キャラクタであることや、タブキー(数文字分のスペースをあける)という概念がないから、自然と字下げをしなくなって、その代わりに段落を示すように、段間をたくさんあけるようになったのではないか。スペースをとっても紙代かかりませんし。もちろん、スクリーン上で読む文章は、本のように「じっくり」感がないので、スペースがあると疲れず読めるというのもあるのかもしれない。

意外に多かった字下げルール?

では日本語の文章の場合はどうだろうと思って、ブログではなく新聞・雑誌のサイトをまわってみた。

  • 朝日新聞:1字下げ、段間空けあり
  • 東京新聞:1字下げ、段間空けあり
  • 産経新聞:1字下げ、段間空けあり
  • 読売新聞:1字下げ、段間空けあり
  • 毎日新聞:1字下げ、段間空けあり
  • ITmedia:1字下げ、段間空けあり
  • ImpressWatch:1字下げ、段間空けあり
  • Cnet:1字下げ、段間空けあり
  • MarkeZine:1字下げ、段間空けあり

あらまあ、判で押したように。

  • デジカメWatch・Think ITなど:字下げなし、段間空けあり
  • マイナビニュース:字下げなし、段間空けあり
  • ハッフィントンポスト:字下げなし、段間空けあり(本文サイズがほかより小さい)
  • ワイヤード:字下げなし、段間空けあり
  • TheTechCrunch:字下げなし、段間空けあり
  • 女性自身:字下げなし、段間空けあり、1改行追加(3行空きに見えるフォーマット)
  • 日刊ゲンダイ:1字下げ、段間空けなし、1改行追加(あらまあ)
  • 東洋経済オンライン:半角落とし(CSSによる設定?)、段間空けあり
  • ダイヤモンドオンライン:1字下げ、段間空けあり(字間あけ設定あり)

意外と紙メディア中心に、一字下げ文化が多く残っており、びっくり。字下げした上で段落間も空けているのがWebのマスメディア上での文章のあつかいではお約束っぽい感じになっている。しかし、一般人はほぼ字下げしてないと思うんですけれどね。

さて、こういった大手のメディアは段落のマークアップは<p>で行ったうえ、CSSで段落と段落の間に1行ほどの段間が空くデザイン仕様になっている。けれどこのLivedoorブログのみたままモードを始め、改行キーボードを<p>と認識しない執筆環境もある(WPは改行は<p>に、shift+returnは<br>になる。Wordとかと同じ仕様)し、段間が空くかは当然、CSSデザイン仕様によって異なる。そうなると、結局手早いところで、見た目上を整えるのに、<br><br><br>みたいな処理にならなくもない。しかし、ソースコード的にもセマンティック的な意味でも、これはあまり正しくない。できれば段落替えには<p>を用いたい。しかしその改行や空白行に何らかの魂や意味が込められてるとしたら削除するのは心が痛むんですよ。話を少し戻すと日本語の場合は改段落のルールが英文より曖昧だと思う。小学生の教科書では「話題が変わったら改段落」とあるけれど、日本語の場合は修辞学的な観点で、強調したいからここ改行、息継ぎたいからリズム的に改行とかいうことが、大いにあると思う。論説でも改行することが多めと思う。小学校の作文でも「段落を変えるときは、行を十分に空ける」といった指示はないのだけれども、その改行多めでOKなところが、自然とアメブロ記法を受け入れる素地のひとつになったのではないかなあと推論。わたしもすっかり慣れました。

brを使うシチュエーションはあるの?

では、改行の<br>タグっていつ使うんだろう?なんのためにあるんだろう?という疑問も残る。HTMLの場合、段落は<p>で、その段落内で「行を改めたいニーズ」があったときに使うということらしい。具体的には「詩の中での改行」(なるほどね!)、とか住所の表記、だって。

ただし、パソコンやワープロにおける改行はどうだろうか。改行はまさに行を改める操作、プリンタヘッドを先頭に移動するような作業を指していたのだから、肝心なのは見た目の形式上の命令であって、セマンティックな要素は不要だから、段落替えとの違いが不明確になってしまうことはやはりある。印刷物もこれと同じで紙以外に展開しないなら「セマンティック」な改段落など必要ない。

※日本語には「改段落したら行間を空ける」という作文ルールはないけれど、詩は区切り目で改行するのは日本語も同じ。そもそも、活字の前は手書きで「区切れのよい単語で」改行し、しかも文字サイズをマニュアル調整して「行末揃え」して読みやすく見た目もきれいにしてたわけだから、全行マニュアル改行挿入が入っていたともいえなくもない。これもアウトプットが固定なことが前提だけど、リフローになったからといっても詩の字切りで改行するでしょう。するとなにが問題かというと、デザインとコンテンツは切り離しました。うちのCSSでは行間空きます。あっちではあきません。とかなると、書き手はやはり、「段落ごとに行が空いては、文章が散漫に空きすぎて見える」ことが気にならないのかということ。編集者は「おいおいおいおい1文ごとに改段落かよ」と突っ込み入れることにならないのかと。なってると思うんだけども、みなさんどうしてるんだろう。

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