企業会計に関わる紛争についてのデータベース

企業会計に関する紛争について実務家としての立場から情報発信。

不思議な開示研究会

ご無沙汰してます。
都内某所での研究会に参加してきました。
途中退場ですが。
また参加します。

課徴金審判手続(内部者取引)を傍聴 〜迅速な審判手続について考える〜

本日、味の素社員の内部者取引に係る課徴金審判期日がありました。
また傍聴してきました!
今日は審判手続の迅速性について書きたいと思います。

先日のビックカメラ元会長の課徴金審判手続の際、
刑事告発に比べて早期の処分を目指す同制度の趣旨に沿い、迅速な審理が実現できるかが注目されている。(asahi.com2009年9月26日1時41分
との報道がありました。

審判手続の迅速性については、立教大学の橋本博之教授が制度導入当時の論文で、
課徴金に係る審判手続・審査官制度が、行政手続における適正手続の要請と、制度上必要な手続の迅速性のバランスを図るものとしいて有効に機能することは、課徴金という新しいエンフォースメント手段が日本で定着するための試金石となるであろう。今後の審判手続の運用のあり方が、なお注目されるところである。(橋本博之「証券取引法における課徴金制度の導入」商事法務1707号7頁)
と論じられているところです。

また、金融庁の担当者も制度導入当時の論文で、
証券取引法上の審判手続は、課徴金納付命令に対する取消訴訟において審級省略や実質的証拠法則が認められているわけではなく、また、事後の司法的救済としての裁判手続を代替するものでもなく、その限りであくまでも通常の行政手続にすぎない。行政手続としては、その迅速かつ効率的な運用も重要であり・・・
(岡田大他「証券取引上の課徴金制度導入に伴う関係政令等整備の概要」商事法務1725号34頁)
としています。

手続の迅速性は金商法上の課徴金審判手続の制度上の要請なのです。

今回は二回目の期日だったのですが、指定職員の主張を受け、今後の主張立証予定を述べる被審人の代理人と、審判長との間で興味深いやり取りがありました。
被審人代理人は主張立証に十分な準備時間が必要なことと、審問の申請予定があるが、審問は主張立証の次の期日にしないと準備が間に合わないことを主張しました。
(詳細は内容に立ち入るので自己抑制しますが、代理人はその理由も十分に述べられていました。)
これに対して審判長は、要旨、
次回期日に審問も併せて行うことはできないか、
審判体としては、次回、あるいは遅くとも次々回までには結審する予定でいた、
審判手続の性質からしてあまり長くやるわけにはいかない、
と応じました。
結局は、被審人代理人の申し出通り、次々回に審問、結審ということになりましたが。

制度理念に従い、迅速な手続を実現せん、とする審判体の意気込みが感じられました。
本件事件は、金商法上の課徴金審判手続としては、記念すべき第1号なのですから、そこでこのような態度が審判体から明確に示されたことは特筆すべきことだと思います。
審判期日の間隔は1か月おきで、審判廷の雰囲気も民事裁判そっくり、手続規定も民事訴訟法を参考に作成されている(この点は前回のエントリーに少し追記しています)、ということで、なんだ、結局、民事訴訟と一緒ね、と勝手に感じていましたが、やっぱりそうではないのです。
このあたりは、独禁法上の課徴金審判手続とも、法制度上の性質の点でも(上記岡田論文の引用箇所参照)、運用の実態面という点でも、異なるということでしょう。
(ちなみに、次回期日も1か月おきというよりはもう少し早く入れたいように審判長は考えられているように感じられました。)
橋本教授も、評価されるのではないでしょうか。

なお、今回は40名の傍聴席に対して傍聴希望者42名でした。
審判官3名はビックカメラの時と同じ方です。
被審人と被審人の代理人2名、指定職員6名が出廷されています。
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課徴金審判手続(虚偽記載)を傍聴

本日、ビックカメラ元会長に対する、目論見書虚偽記載に係る課徴金審判期日がありました。
独禁法上の課徴金審判期日は多く開かれていますが、金商法上の課徴金審判期日が開かれるのはまだ2例目です。
虚偽記載に限っていえば、初の審判期日ということで、はりきって傍聴してきました。
そこで、今回は目新しいということもあり、金商法上の課徴金審判手続の実際について、根拠法令を参照しつつ、傍聴記を書きたいと思います。
(内容面についての記載は、公開の期日とはいえ、躊躇があるので外形的な手続きに着目して報告したいと思います。)

・いざ、金融庁大審判廷へ
40名の傍聴席に対して傍聴希望者が51名。
当選率は約80%。
もうちょっと高倍率になるかと思っていたので意外でした。
見事当選!ということで傍聴席へ。
審判手続は、金融庁の大審判廷で行われました(金融商品取引法185の17、金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令18条参照)。
審判官席が一段高くなっており(裁判所の裁判官席と違い、文字通り一段だけ高い程度です)、審判官からみて右側に指定職員(法181条2項)の方が7名、左側に被審人の代理人(法181条1項)の方が4名出席されています。
写真でみるとこんな感じです(時事ドットコム2009/09/25)。
民事裁判の法廷とかなり似ていて、独禁法上の課徴金審判手続きとはちょっと違う雰囲気です。

・3人の審判官
審判官は3名(法180条1項)。
前回の味の素社員のインサイダー事件の手続きの際には、審判官のバックグラウンドについて、最高裁から出向中の方が2名、弁護士の方が1名と報道されていましたが(47NEWS2009/09/10),今回は現在私が知りうる限りではまだ報道がありません。
ただ、審判官は、「金融庁の職員のうちから、審判手続を行うについて必要な法律及び金融に関する知識経験を有し、かつ、公正な判断をすることができると認められる者について」(金融庁設置法25条2項)、5人以内(同条1項)で金融庁長官が命ずる、とされているところ、現在はどうやら審判官は4名らしく(金融庁幹部名簿平成21年9月24日現在)、そのうち3名の名前は味の素事件の審判官と被っていますので(何よりも味の素事件の審判官の写真の雰囲気が3人とも今日の審判官に似てる)、今回も同じメンバーの可能性が高いと思います。
そうすると全員法曹関係者なんですね。
(なお、府令6条2項は、合議体を構成する審判官には、「検察官、弁護士又は弁護士となる資格を有する者を加えるものとする」とし、構成員の資格を一部縛っています。)


・審判手続の流れ
まず、審判長が、審判の対象である違反事実の内容を陳述するように、指定職員に求めました。
指定職員が審判手続き開始の原因事実(府令14条1項)を中心に陳述しました。
これに対して、被審人の代理人が、提出済みの答弁書(府令16条)及び準備書面(府令28条1項)を記載通り陳述する旨を発言しました。
その上で、要旨の説明として、認否について一通り説明しました。
これを受け、審判長が、指定職員に対して否認部分について、次回期日までに具体的な主張立証をするように指示しました。
準備書面の提出期間が定められました(府令29条1項)。
また、審判長は、会計処理の問題が重要になるから、意見書の提出予定の有無も含めて検討し、考え方を明らかにするよう、指定職員及び被審人の代理人に繰り返し確認していました(府令22条1項)。
(期日では当事者双方が要旨しか発言しないため詳細は分かりませんが、私は、調査委員会の調査報告を眺めた限りでは、会計処理よりも事実認定で勝負が決する事案なのでは、と感じています。)
ここで、次回期日を定めて第一回期日は終了。
全体で20分程度でした。

・感想
審判廷の雰囲気といい、手続の進め方といい、民事裁判とほとんど同じといった印象でした。
手続の規定については、当初は民事訴訟法の手続きをある程度準用しているのかなと漠然と考えていましたが、調べてみると準用しているのは書類の送達(金融商品取引法185の10)程度。
それ以外のことは「金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令」が想像以上に細かくこちょこちょと規定していました。
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監視委のインサイダー調査最前線

Business Media誠 やるだけ損。ハイテクを駆使したインサイダー取引調査とは」は、監視委のインサイダー調査についての近時の取り組みを紹介しています。

2007事務年度(2007年7月〜2008年6月)のインサイダー取引の審査件数は951件で、5年前の約2倍。2008事務年度は1月末までに464件がマーク

と、近時の取り扱い急増のさまが紹介され、
さらに、

今年に入り、審査官に強力な“武器”が加わった。1月下旬から稼働を始めた新システム「コンプライアンスWAN(広域通信網)」。証券会社や国内の証券取引所とオンラインで結ばれ、取引データを直接やり取りできるようになった。

今年から導入された、新兵器も紹介されています。

記事の表題にあるように、インサイダーはどんどん割の合わない行為になっていますね。

週刊ダイヤモンド 「新興市場の断末魔」

今週号の週刊ダイヤモンド。
「新興市場の断末魔」というテーマで総力特集しています。

様々な角度からデータの分析が行われており,会計不祥事を考える上で必見のように思います。
監査法人,証券会社の責任にも触れています。
Grande's Journalでも早速取り上げられてますね。
いろいろつっこみが入ってます。

IFRSついに利用可能に

今日の日経新聞の一面ですね。

NIKKEI NET 2009年1月29日
国際会計基準、09年度から利用可能 会計審方針
金融庁の企業会計審議会(長官の諮問機関)は2009年度(10年3月期)から「国際会計基準」の適用を企業に認める方針を固めた。・・・
今回は希望する企業が導入できる「選択適用」とする。上場企業に義務づけるかどうかは金融混乱の影響を見通しにくいため、12年をメドに最終判断する。


思ったより動きが速かったです。
日本の金融市場は本当の国際化に向けて大きな一歩を踏み出しましたね。
じわじわと,上場企業のあらゆる面に影響を与えていくでしょう。

わが国会計基準の進むべき道

昨日、シンポジウム、「わが国会計基準の進むべき道」へ行ってきました。
青山学院大学会計プロフェッション研究センター主催です。

錚々たるメンバーによる、パネル討論会。
今後を占う上で参考となるアイディアを多く得ました。
(以下は、私のアイディアも含むのでご留意を。)

・ビッグ4内の社内審査では、有力被監査企業については日本企業であったとしても、インターナショナルメンバーによる審査を経なければ監査意見が出せない、というような事実上第2のレジェンド問題が起こるかもしれない。
→だから日本の大手監査法人もレベルアップしていかないと。ビック4の中でも、イギリス、フランスは研究が既に相当進んでいる。

・会計についての参照しうる議論が、世界ベースで急速に広がる。
それに伴う英語能力の重要性。
→とりわけ、参照しうる事例の爆発的増加が個人的に興味大。
従来、会計の世界では具体的な判断が非公開だったため、法律の世界で判例研究が活発に行われているのとは異なり、事例研究はあまり進まなかった。
(大手監査法人が各自、事務所内に事例を蓄積してはいたが。もっとも、近時は日本でも具体的事例のもとでの会計判断が、裁判所、監視委等により公の場で示されるケースが増えてきてはいる。)
しかし、IFRS導入後は、世界各国の裁判所や監視機関等の判断が、参照しうる情報としてそれなりの分量として蓄積され続けるだろうから、事例研究が進んでいくかもしれない。
監視委が課徴金勧告を出そうとしたら、企業側が、同種事案で米SECは訴訟で負けてます、と反論する、なんて事態も起きてくるのではないでしょうか。

・相対的に監査法人の主力を担う若手、中堅の出席者層が少なかった気が。

近況報告

随分と更新をサボってしまっていました。
やりたいこと、今しかできないと思うこと、がたくさんありまして、結構エキサイティングな日々を送っています。
今年はかなり、新しいことにチャレンジした一年になりました。
(まだ振り返るにはちょっと早いですが・・・。)

さて、TOPページがうまく表示されていない、との声があったようです。
新しいエントリーをあげれば直るかなと思って上げてみました。
どうでしょうか。

無内容なエントリーですいません。

同日追記:
TOPページは直りました。
アマゾンへのリンクがいけないような気がしたので消してみたら大丈夫でした。
お騒がせしました。

「上場ベンチャー企業の粉飾・不正会計失敗事例から学ぶ」

門脇 徹雄、VBS研究会VC分科会 (編集)「上場ベンチャー企業の粉飾・不正会計,失敗事例から学ぶ」(中央経済社)

近時の不正会計事案についてケースごとにコンパクトに解説。
一覧表の類が充実していてデータベースとしても活用できます。
掲載されている一覧表は下記の通り。

(「表目次」より)
表1  不正会計等で上場廃止になった主な企業(2004-2005年)
表2  不正会計等で上場廃止になった主な企業(2006-2008年)
表3  不正により上場廃止になった理由
表4  継続疑義を記載された主な新興企業
表5  倒産で上場廃止になった主な新興企業(2004年以降)
表6  不正経理等の調査目的に外部調査委員会を設置した主な事例
表7  有価証券報告書等の虚偽記載で課徴金を課された会社
表8  適時開示改善報告書の提出を求められた主な新興企業(1)
表9  適時開示改善報告書の提出を求められた主な新興企業(2)
表10 適時開示違反状況(2007年度)
表11 上場規則に関する猶予期間入りした主な新興企業(1)
表12 上場規則に関する猶予期間入りした主な新興企業(2)
表13 主な監理銘柄・特設注意市場銘柄


国際化の波

BMW、ルノー、ノキア、ドイツテレコム・・・。
先日ASBJが発表した、「社内発生開発費のIFRSのもとにおける開示の実態調査」には、多くの著名欧州企業の開示例が掲載されています。
IFRSの開示例の調査なんだから、そんなの当たり前といえば当たり前です。

しかし、本年8月の米国SECによるIFRS受け入れ表明以降、日本においてもIFRSにいかに対応するかがますますホットになっています。
そんなムードの中、この調査報告書で欧州企業の開示例に多く接すると、
日本の会計紛争においても、諸外国の開示例や監督官庁の判断、対応を参照することが不可欠となる日が10年以内に訪れるのではないか、
という思いが強く湧いてきました。

今は国内の会計紛争関連の事例を集めるだけで精一杯ですが、主要な欧米の事件についてはウォッチしていかなくてはならないですね。

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