2007年10月01日

Dear W.A.Mozart

この世界には
人の心の奥底に届かずにおかない光がある

君の音楽をたとえるなら
まさに、その光だ

君の音楽は全てを受け入れる
全ての君の音楽を愛する人を許容する
きっと、君自身が全ての人を愛したいと願っていた
その心と同じように

けれど、しばしば
幸福をおそれる人に君は拒絶される
おそれるというよりも
幸福を拒否する人と言った方が
正しいのかもしれないが

彼らは、もしかすると
君の事を苦労知らずの楽天家とでも思っているのかもしれない
君の音楽の曇りのなさがそこに由来すると思い
それ故に妬むのかもしれない

彼らは君が(音楽をのぞけば)
きわめて普通の人間として生きて
誰もが味わう痛みを味わっていた事や
絶望のふちに立たされていたことを
知らないのかもしれない。

絶望の中にいて、幸福を希求し、
(誰もがするように)
もがいていたのを知らないのかもしれない。

あるいは、それを知ってはいるのかもしれないが、
ただ、不幸のさなかにいながらも
君がきらめく音楽と戯れていた事が不可解で
その不可解さが嵩じて、疎ましく思うのかもしれない

(実のところ幸福も不幸も
 それが『物理的な原因』に由来しない限りは
 自分でつくり出した幻影に過ぎないのに!)

けれど、どれだけ眩しくても
そこから目を背けようとも
人の心の奥底に届かずにはおかない光がある

君の音楽をたとえるなら
まさに、その光である。


モーツァルトに捧ぐ

seankun at 00:01│Comments(0)TrackBack(0)clip!

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