照ノ富士が休場という決断をした。

そもそも土俵に上がれる状態ではないのか、それとも内容とか結果はともかくとしても土俵に上がろうと思えば上がれなくもない状態なのか。そのあたりの詳細というか、真相はわからない。
だが、照ノ富士、ここで休むということは、大関の座を明け渡すことに等しい。

細かいことを言えば、ここまで1勝4敗ということになるので、休場を続ければ「負け越し」の扱いになるのは9日目。
つまり、9日目から再出場、そこで残りすべて勝てば、机上の空論になってしまうのだろうが、大関の座を保つことはできなくない。いずれにせよ、9日目の割が組まれたときに、その割に照ノ富士の四股名がない時。それが照ノ富士の大関からの陥落を意味することになる。

とはいえ、師匠が再出場は難しいと言っているようなので、この休場は大関の座を明け渡すことを意味するのだろう。

これについては、「よくここまでだましだましよくやったよ」という評価もできるし、「最初にひざをやってしまったときに休んでしっかりと治せばよかったのに」なんていう評価もできるだろう。どちらの道を選んでも大関から陥落するということになっていたのであれば、早く休むほうが良かったのかもしれない。ただ、はっきりと言えること。それは「大関という地位を守る」ということが、照ノ富士にとって重要なことだったのではないか、ということだ。

だが、その中で、それが不可抗力だったのか、わずかでも残された可能性があったのかはわからないが、「大関の座を明け渡す」という決断ができたのだろう。

照ノ富士の来場所の地位はおそらく関脇だろう。
そして、11月場所、関脇で10勝以上を挙げれば、1月場所は大関に戻れる。そこを目指すのか。
それとも思い切って、治りきるまで(といっても最早、完治というのはないのだろうが)休むという選択を取るのか。

大関から陥落した力士。
つい最近の琴奨菊が記憶に新しいところだろう。
私自身がリアルタイムで見始めたころ、大関は大関のまま引退する(琴風引退はほぼ記憶にない。琴風という力士がいるのは知っていたという程度だった)というイメージが強かった。その後、小錦や霧島が陥落し平幕でも長く続けたこと。その後、雅山や出島が、若くして大関の座を手放してしまったが、それでも力士としては限界まで関脇以下で取り続けたこと。このような力士を見てきたからこそ、大関から陥落しても現役を続けるということに対し、抵抗はなくなっていたし、大関から陥落することは力士の終焉を意味するものではなく、元関脇が十両で相撲をとるのが珍しいことではないように、元大関が平幕でとることにも違和感は感じなくなっていた。もちろん、少なからず寂しく感じるところもあるのは否定しないが。

雅山は大関の座を手渡した時、まだ24歳だった。出島も26歳だった。
今の照ノ富士は25歳だ。11月場所後に26歳になる。

まだまだ、照ノ富士に残されている時間は十分にあるはずだ。
雅山も出島も再度大関の座をつかむことはできなかった。だが、雅山はあと一歩で大関復帰のところまで番付を戻した。私自身、雅山が一番強かったのは、この2回目の大関昇進がならなかった頃だったと思っている。雅山は結果的に優勝を果たすことはできなかったが、優勝決定戦に進出した場所の相手はお互い初優勝をかけての白鵬との対戦だった。ここで雅山が勝っていたらその後は変わったという気もないのだが(雅山が勝ったとしても、雅山の優勝が1回となり、白鵬の優勝が1回減っただけなんじゃないかとすら思える)、私は雅山の全盛時はいつかと質問されたら、おそらく大関昇進を決めたころではなく、平成18年ころと答えるだろう。この時、雅山28歳から29歳にかけてだ。

私自身、リアルタイムでは2回目の大関昇進というのは、関脇陥落場所での10勝復帰特例での大関復帰しか見たことがない。だから、照ノ富士が再び一から大関昇進を目指し、2回目の大関昇進を果たす姿が見てみたいなんていう思いもないわけではない。だが、そんなこと以上に「もう一度、強い照ノ富士を見てみたい」ということだ。

この2年近く、負ける照ノ富士に見慣れてしまった。
だが、3月、5月と。強い照ノ富士も久しぶりに見ることができた。
しかし、7月、9月とまた見慣れた負ける照ノ富士になってしまっていた。

これはどういうことなのだろうか。
「強い照ノ富士を知っている」「つい最近、強い照ノ富士を久しぶりに見た」「負ける照ノ富士に見慣れている」。
この3つが並ぶ。

いつ、どういう形で復帰するのかわからない。
おそらく、来場所10勝を目指して出場するのだろうが、そこで大関に戻れたとしても戻れなかったとしても。
また上を目指すような、25歳、26歳の1人の力士の成長を見ていくのではないだろうか。

琴奨菊が大関から陥落した。とはいえ、琴奨菊は優勝1回とはいえ、大関在位期間も長く、横綱になれるほどの力はなかったが、大関としては十分な結果を残した大関と言えた。年齢や勤続疲労からくる衰えであれば、それは致し方がないとも思っていた。かつてだと、貴ノ浪なんかもそういう印象だ。平幕でまで現役を続けることもなかったが、琴欧洲なんかも晩年。単純に大関の地位を維持できるだけの力をなくしての引退ではなかった。

だが、照ノ富士はケガだ。しかも膝だけ。細かいところを探せばほかにも出てくるのかもしれないが、膝以外に照ノ富士を土俵から遠ざける理由はないだろう。ケガで大関の座を手渡した力士には把瑠都がいるが、最終的なひざの故障だけでなく、そこら中ケガをしていた。

照ノ富士について回るのは「膝さえよくなれば」だ。
ということは、「膝の調子が良ければ復活できる」とも言えるだろう。
実際に、つい最近の3月、5月の相撲を見ていれば、だましていても結果を残せるときだってあったわけだ。

大関の座は明け渡した。
だが、大関の座を明け渡したからこそできること、あるのではないだろうか。

照ノ富士がいつ、どういう形で戻ってくるのか。
一度明け渡したものを再び手にするのは容易ではないのかもしれない。雅山や出島がそうであったように。
だが、まだ残された時間は多い。

だったら。

照ノ富士がどうやったらまた強い照ノ富士になれるのか。
私はやっぱり強い照ノ富士が見たいと思うし、そういう姿に戻れることを期待している。

ピンチは最大のチャンス。
大関の座を明け渡したことをチャンスにしよう。
頑張れ、照ノ富士。


◆今回の主なテーマ

怪我と力士
怪我で下位に落ちている力士の未来予想
公傷制度について
場所中恒例の「がんばれ連敗くん」
その他に質疑応答、こっそり話す危険な雑談など

第3回

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