9月場所の番付予想をする際に、個人的な意見としては「5枚目4勝よりも7枚目5勝の豊ノ島を十両に上げてやりたい」ということを記した。実際に、先場所の星並びであれば、私自身の理想でいえば、東西5枚目4勝の2名は十両に上げない。本来なら十両には残れない星ではあるが、十両13枚目で6勝だった希善龍は十両に残す。そして7枚目5勝の豊ノ島を十両に上げる、と思っている。

とはいえ、現実的に「番付を予想しなさい」という問いが出されれば、東西5枚目で4勝だった、常幸龍と天空海が十両昇進だと思ったし、実際にその通りになったし、その番付に異論はない。

そして9月場所の豊ノ島の番付。予想としては東筆頭に据えたが、現実的に考えられるのは、東か西かはわからないが、筆頭ではあろう。私の予想は東筆頭が豊ノ島で西筆頭が希善龍だが、この両者が逆というのは十分に想定できる範囲だ。

仮に西筆頭だったとしても、よほど番付運が悪くなければ、勝ち越せば十両に戻れるだろう。5勝なら確実だろう。もう豊ノ島の十両復帰、待ったなしだ。

では、幕下陥落後の豊ノ島の番付推移と、勝利数をグラフで見てみよう。
豊ノ島
豊ノ島の幕下陥落後の最低地位は幕下35枚目。そして、その番付推移は、幕下1桁に上がると、休場を含め、白星が伸びずに番付を大きく落とし、幕下上位まで番付を戻してくるということを繰り返している。

豊ノ島が幕下に落ちても続ける。幕下に落ちてもケガを治すという判断をしたとき、豊ノ島の実力なら、おそらく「2場所」で十両に戻れるだろう、そう思っていた。さすがに豊ノ島といえども、幕下上位でそう簡単に7戦全勝とはいかないだろうと思っていたけれども、勝ち越しを続ける、4勝、5勝を挙げ続ける力は十分あると当時は思っており、幕下陥落直後、4勝、6勝で十両に戻れなかったのは、番付運がなかったから。そのくらいに思っていた。

だが、ことはそう甘くなかった。
その後、2度の幕下5枚目以内の地位の場所では、いずれも休場を含んだ。
1勝と0勝。幕下の1勝、0勝はシビアだ。番付を大きく下げる。

幕下陥落後の豊ノ島の成績は44勝28敗5休。休場を含まない勝率は.611になる。だが、それでも、幕下に陥落した場所の地位、幕下7枚目を起点としてこの勝率を残しても十両に戻れない。それが幕下上位の現実だ。番付は上がりづらく下がりやすいわけだ。

おそらく来場所が、豊ノ島にとって、幕下陥落後「3回目の十両昇進のチャンス」と言えるかもしれない。幕下15枚目以内なら、全勝すれば翌場所は十両昇進を約束されるが、いくら豊ノ島といえども、7戦全勝というのはあまり現実的な解ではない。そうなると、近年の「5枚目以内優遇」の傾向がある以上、「十両復帰を真にかける場所」というのは、幕下5枚目以内に在位している場所だろう。
そして9月場所は間違いなくその場所だ。

豊ノ島35歳。元関脇。優勝決定戦進出経験あり。
その実績は上位を総なめにするような、大関以上の実力があったとは言えないが、十分に上位で対戦できる、出来た力士であり、このような力士が35歳になってまでも幕下で取り続ける意味、モチベーション。それは豊ノ島本人でないとわからないようなものがあるのだろう。

まったくもって十両に戻れるだけの力が無くなった。
豊ノ島自身が、もしこう思っているのだったら、いくら本人が相撲を取り続けたくても、引退することをお勧めする。だけれども、すでに30代半ばの豊ノ島が幕下に落ちて2年。それでも現役を続けるのは、豊ノ島自身にも十両に戻れる手ごたえがあるからなのだろう。

この2年間、私は時折、豊ノ島に対して厳しい記事を書いてきた。
それを一言でいうのなら「今は幕下力士であることを認識してほしい」と言ったところである。
先日も、ちびっこ相撲の豊ノ島杯が開かれたそうだが、このような取組を行うことは大いに評価できるし、素晴らしいことだと思うが、いくら豊ノ島が関取時代からやっていたとはいえ、現役幕下力士の名前を冠してやるものなのだろうか、という思いはあったりする。その他、幕下力士なのに、関取のような振る舞いをしているような雰囲気を感じることも少なからずある。

だからこそ、私自身の思いとしては、素早く十両に戻る。あるいは、潔く引退する。こうであってほしいという私自身の「想い」はあった。本来ならば、幕下の立ち位置が似合う人ではないのだ。

平成29年3月場所、東幕下2枚目。1勝5敗1休。
平成30年1月場所、東幕下5枚目。0勝3敗4休。

体調等もそれなりに良い状況で、勝てなかったというのであれば、あきらめもつくのかもしれない。
だけれども、ここまで復帰を目指してやってきて、ケガ等での休場含みで番付を下げて十両に戻れなかった、というのであれば、やはり悔やみきれない、あきらめもつかないところがあるのだろう。

何も、豊ノ島に幕下上位で負けて、あきらめをつけろ、という気はない。
私自身も望むことは十両に戻る豊ノ島だ。十両で結果を残せなかったりして、ケガでなく、弱くなって番付を幕下に下げるような状況になったら、辞めればいい。

私は今の豊ノ島を応援したい。そして十両復帰を果たしてほしいと思う。
だけれども、いつまでも長々と幕下で取り続けてほしいとも思っていない。
豊ノ島の実力が本当に幕下レベルになってしまっているのであれば。そして、もう35歳という年齢。加齢による衰えがあるのであれば。それこそ、だらだらと続けていてもね、ともなるだろう。

だが、来場所は十両が完全に視野に入る地位で相撲を取るだろう。
関取の出場人数にもよるだろうが、十両の土俵に上がって、大銀杏を結う豊ノ島を見られる場所にもなるのではないかと思う(すでに幕下陥落後に1番、十両での土俵はあるが)。
では、幕下陥落後の豊ノ島の力量はどのくらいなのだろう。

冒頭に提示した、番付推移と勝利数のグラフを見れば、「幕下上位に上がれるが十両に上がれる成績は残せない力士」という評価が現時点では妥当なのではないかと思う。そして9月場所も結果が出ないようであれば、その評価はますます正しいことになる。

では、幕下陥落後の豊ノ島。対戦相手の地位別ではどの程度の成績を残しているのだろうか。
対戦相手の地位を5枚ずつに区切った、地位別の勝率を見てみると以下のようなグラフになる。

豊ノ島2
21~25枚目の力士との対戦成績が5割になっているが、相手の地位が高くなれば高くなるほど勝率は下がると言ってしまって差し支えないだろう。特に幕下5枚目以内の力士相手には勝率.444。これは幕下以下7番に当てはめると、3.1勝だ。とはいえ、幕下以下は相星で対戦していくため、成績によっては、かなり番付の離れた力士と対戦することもありうるが、7番のうち、1番が十両戦、3番が筆頭~5枚目の力士、残り3番が6~10枚目の力士と想定したとき、豊ノ島の勝利数は2.8勝ということになる。

現実的に想定できる最も可能性の高い豊ノ島の成績は3勝4敗だ。
だが、この黒星が1つ、白星に代わるだけで、その成績は4勝3敗。そして4勝3敗の成績が残せれば、11月場所は晴れて関取復帰だろう。

この「プラス1勝」が豊ノ島にとってどれだけ大きな意味を持ってくるか。
そして幕下陥落後の豊ノ島の力から想定すると、この「プラス1勝」がないと十両には戻れないのだ。
豊ノ島はどうやって、この「プラス1勝」をもぎ取りに行くか。

成績と番付の関係を鑑みれば、おそらく、3勝4敗なら翌場所も5枚目以内には踏みとどまれるだろう。2勝5敗でも15枚目以内には十分踏みとどまれる。だが、豊ノ島自身が、これ以上、時間をかけることを許すのか。

すでに幕下で2年。豊ノ島の気力はどこまで続くのか。
だが、4勝できれば、おそらく十両復帰を果たせる地位にも就いているはず。

加齢による衰えが出てくるのであれば、いつまでも、幕下上位と中位を行ったり来たりしているわけにもいかない。タイムリミットがあるのかどうかわからないし、ここで負け越したところで、引退しなければいけないなんていうこともない。だが、こんな猶予を豊ノ島自身で作ってほしくないし、豊ノ島だって、ここで決めに掛かりたい、という思いは強いと信じたい。

だからこそ。
豊ノ島よ。9月場所はラストチャンスと思って、十両復帰をつかみ取ってほしい。
9月場所までに「プラス1勝を果たせる力」をを取り戻せ。豊ノ島の十両復帰を願う9月場所、私は応援したいし、するつもりだ。



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