大相撲データアナリストの大相撲日記

大相撲データアナリストの横尾誠が大相撲のデータ分析を中心に大相撲についていろいろと語ってまいります。
不定期で「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」SPAIAに寄稿中
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先ほど、■641 「史上初」の出来事。関脇以上の勝利者ゼロ。という記事を書いたが、関脇、大関が全員敗れた。稀勢の里が5日目より休場ということについては、今更触れなくてもいいだろう。

それにしても、3大関はどうしてしまったのだろうか。
豪栄道に始まり、栃ノ心、そして高安まで。

錦木は上位初挑戦の場所で、大関に勝利。うれしい話だろう。
とはいえ、豪栄道が自爆したという印象が強い。
確かに出てくる豪栄道を錦木がうまく小手に振って勝負を決めたわけだが、豪栄道は何をしたかったのだろう。安易に前に出ても勝てる相手と踏んだのか。だとしたら、錦木を舐めすぎていたか。いずれにせよ、初顔の怖さなのか、安易に行き過ぎたのか。軽率だったようには思う。

そして栃ノ心に勝った北勝富士。これは北勝富士が良かったといってよいだろうが、北勝富士は初日、2日目と良さを感じなかったが、稀勢の里に勝ったことで波に乗ってきたか。昨日の逸ノ城戦もそうだったが、常に低い体勢を維持しようとする良い時の北勝富士が見えてきた。素晴らしい相撲だ。

そして高安は何だったのだろう。
もう、振り返ってみれば、最初から最後まで栃煌山のペースだった。
ここまで高安の当たりの良さが印象に残っていたが、もしかしたら、ちょっと体重増えすぎているかも。動きそのものはそこまで良くないのかも。こんなことを感じてしまった。

では、大関3連敗の前に出てきた関脇2連敗はどうだったのか。
私からすれば「予想通り」の関脇2連敗だった。
それは過去の対戦成績からも想像は出来るのだが、はっきり言えば、逸ノ城が貴景勝に勝つイメージはまったくもって持てなかった。貴景勝が押して、いなして。気づけば逸ノ城が土俵際に追い詰められて、逸ノ城があっさりあきらめて終わる。そんな展開になるのだろうと思っていたら、ほぼほぼその通り。逆に逸ノ城が勝つ姿がまるで想像できなかったというのもあるので、この結果は驚きでもなんでもなかった。

御嶽海もどうしてかわからない部分はあるのだが、魁聖に対しての過去の対戦成績から見ても、勝つイメージがわかず、しかも攻められたらどうにもできない。魁聖がしっかりと組み止める形になるほうがイメージできていた。逆に魁聖が負けるとしたら、最初2日間の休場原因となったふくらはぎのケガが治りきっておらず、攻めきれないという時のイメージになるのだが、それでも出場してきた3日目、4日目を見ていれば、そこまで状態も悪いとは思えず、やはり合口通り魁聖が勝つんじゃないか。そういう思いを持った中、案の定の結果であった。

いずれにせよ、関脇以上、何らかの不安材料が多かれ少なかれあるということが見えてしまった日になってしまったのではないだろうか。

それにしても、栃煌山が素晴らしい。
昨日まで栃煌山の良さはわかっていても、強い栃煌山はわからなかったし、そこまで強さが戻っている印象はなかった。だが、ここまでの4連勝の間に強さを取り戻していたのか、良くなっていた。強くなっていた。上位が少ない上、栃ノ心との対戦がない栃煌山は、早いもので、関脇以上との対戦を終えた。今更栃煌山を「台風の目」というような言い方をするのは、いささか違和感を覚えるが、その枠に入ってきたか。妙義龍含め、やはり実力者は侮れない。

5日目を終えて、全勝は貴景勝と栃煌山の2人。さすがに、今の時点で優勝が貴景勝と栃煌山に絞られたなんて言うことはできないし、まだ高安には十分チャンスはあると思うが、小結以下から優勝が出ても、なんら不思議でない状況になっているとは言えそうだ。

そして十両では全勝が翔猿ただ1人。翔猿はとにかく軽量を不利な材料とせずに巧くとっている印象。今更だが、見ていて面白い力士だと感じられる。とはいえ、もう少し重さがついてくると面白い存在になってくるし、幕内への挑戦権も得られそうな力士になってきそうな感じはしてきた。

それとは違って、今日は敗れたやはり軽量の炎鵬だが、こちらは逆に「体重を付けてほしくない力士」のように感じる。軽量故、その点をつかれどうにもできない相撲が出てくるかもしれないが、それでも、この力士は100kg程度の体重のままで、今の相撲に磨きをかけてほしいと感じる力士だ。
翔猿は強さを。炎鵬は巧さを付けていってほしい。そんな思いがしている。

そして十両では初対戦となった豊ノ島-極芯道。今回が幕下時代も含めると3回目の対戦。今回も長い相撲になった。初顔の時は幕下での4連勝同士、2回目の対戦も4連勝同士の対戦。いずれも極芯道が勝利していたし、豊ノ島からすれば、初顔の時は、この1敗で「その場所後の十両昇進が消えた」ことになり、2回目の対戦は先場所は幕下の4連勝同士の対戦の中では最上位と2番手の地位の力士の対戦。私自身先場所、この対戦を「事実上の幕下優勝決定戦」みたいな言い方をしていたが、結果的にこの勝負に勝った極芯道が幕下優勝を決め、その通りになった。今場所はどちらにとっても、勝てば1勝、負ければ1敗が加わるだけ、何か特別なことが起こるわけではない一番だったが、それでも過去2回と同じような長い相撲になり、今更だが「一番の取組の重さ」を感じさせてくれた。それにしても、3回続けて2分越えの取組。同じように幕下上位で好成績を残し、同じタイミングで十両に上がってきた両者で、現在の力量は同等と言ってよいのだろうが、同じ今場所の十両昇進者であっても、35歳の元関脇のベテランと
22歳の若手の新十両。今の地位にいる事情はまるで違うわけだが、来場所以降も対戦があれば注目の取組になっていきそうです。

さて、序盤も終わり明日から中盤戦。
まずは3大関が連敗しないこと。栃ノ心は過去、不戦を除けば5勝5敗の正代。豪栄道は初顔の竜電。高安は過去10勝10敗の玉鷲。対戦成績だけ見れば、安泰感は見られないが、5日目の二の舞は避けてほしいものだ。竜電と錦木にライバル関係みたいな話はほぼほぼ聞かれないが(と言ってもこの2人は平成2年生まれの同い年、同期生だ)錦木が大関に勝ったことで、竜電もそこにあやかりたいし負けられない意識は強まっただろう。そして、両関脇は逸ノ城が妙義龍、御嶽海が北勝富士。

少なくとも戦後では初めての関脇以上全敗だったわけだが、こんなのが、2日続くなんてことが起こってほしくないのだが…。




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コメント

 コメント一覧 (1)

    • 1. 竹
    • 2018年11月16日 07:41
    • >>両関脇は逸ノ城が妙義龍、御嶽海が北勝富士。
      なんか両関脇が勝てそうにない。御嶽海、今場所一桁勝利なら名古屋場所の優勝実績がリセットされてしまう。何が何でも大関になりたいと見えないのも気になる。
      >>豪栄道は初顔の竜電。
      竜電得意の両差し→豪栄道「得意の」首投げ→失敗して土俵下転落、という予想はきっと外れると信じたい。
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