大相撲データアナリストの大相撲日記

大相撲データアナリストの横尾誠が大相撲のデータ分析を中心に大相撲についていろいろと語ってまいります。
不定期で「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」SPAIAに寄稿中
【今後のスケジュール】
★コロナ禍もあり現在はイベント自粛中。再開次第ご連絡いたします。

新番付が発表されたが、また新しい記録が生まれた。
細かいことまで見ていけば、細かい分類をしていけば、どの場所にも「記録更新」というものがあったりするのだが、今場所も1つの注目の「番付昇進」があった。

記録という点では「2位」の記録ではある。
では、さっそくその記録についてみてみよう。

それは「幕下昇進」である。

今場所の初幕下昇進者で注目と言えば、やはり黒姫山の孫でもある田中山だろう。
父も最高位は幕下であるものの、力士だったし、黒姫山の義父、田中山からすれば曽祖父にあたるのは、平成初期の時代NHKの解説でおなじみだった緒方昇さんの元関脇北の洋だ。
田中山は現在、高校3年生の年齢。十分に将来が期待できる力士だ。

だが、そんな中、その逆。スロー昇進で幕下昇進を果たした力士がいる。
高砂部屋の朝乃丈だ。その生年月日は昭和61年9月3日。すでに引退をした元稀勢の里の荒磯親方と同い年のロクイチ組の33歳だ。この33歳という年齢は、史上2位の高齢幕下昇進だ。

平成の時代が終わり、令和の時代になって最初の「昭和生まれの昇段者」でもある。
直近の昭和生まれの昇段者は、平成29年3月場所にやはり30歳を過ぎてから幕下に昇進した駿馬だった。

では早速だが、各段の現時点で最後の「昭和生まれ昇段者」を見てみよう。
昭和生まれ昇段者

序ノ口・序二段はすでに「確定」している。現行のルールが変わらねば、昭和生まれが入門してくることはなく、現役昭和生まれに序二段未経験者はいないからである。

とはいえ、まだ最高位が序二段で三段目昇進の可能性がある力士もいれば、豪栄道の横綱昇進だってまだ可能性がない話ではない。とはいえ、もうその数も限られているのも確かだろう。

もうすでに現役昭和生まれは118名だ。そして最高位に近いところで戦えている力士も少ない。
もしかしたら、昇段という括りでなく、最高位昇進ですら限られた力士ですら果たせないのではないかという次元に入ってきてるともいえよう。

では、現役昭和生まれ力士の一覧を見てみよう。
昭和生まれ
※太字は関取経験者

可能性がありそうな力士に色を付けてみたが、やはり大部分は自己最高位から離れて相撲を取っているというのが、昭和生まれ、30歳を過ぎた力士の現実だろう。そんな中、30歳を過ぎて、初幕下昇進を果たした朝乃丈は見事としか言いようがないだろう。

それは30歳を過ぎて幕下に初めて昇進した力士が今回の朝乃丈が史上6人目であることからも良く分かろう。中には30歳を過ぎてまで幕下に上がることも出来ずに続けることはどうなんだ、という意見もあるかもしれないが、幕下といえども、4人に1人程度しかたどり着けない地位である。そこに上がるまで続けてきたことというのは、たとえ将来関取になれなかったとしても、その力士個人の人生において大きなこととも言えるのではないだろうか。

そんな30歳になってから幕下昇進を初めて果たした力士は以下の通りだ。
30代幕下初昇進
これが「初めて」出てきたときでも、まだたった7年前の平成24年の話。ここから先も、こういう力士が出てくるだろうし、それはまた「遅い出世」ではあるのだが、素晴らしい話だろう。
そして、最高齢幕下昇進を果たした駿馬はなんと、この初幕下場所を6勝1敗という好成績で、一気にその最高位を幕下中位まで上げたのだ。年齢が年齢でも、まだまだ戦えるということをしっかりと示しただろう。

果たして、33歳、初幕下の朝乃丈は九州でどんな結果を残すのか。
そして「昭和生まれ最後の昇進者」はまだ出てくるのだろうか。

そんなところもちょっとした注目だ。

最後に朝乃丈の入門以来の全成績を示して終わりにいたします。
朝乃丈




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コメント

 コメント一覧 (3)

    • 1. 竹
    • 2019年11月02日 19:37
    • 豪栄道の横綱昇進より、玉鷲の大関昇進のほうが可能性があるか。宝富士もまだ潜在能力はあると見る。
      琴奨菊・松鳳山・妙義龍も毎場所元気な相撲を取っている。番附に関係のないレジェンドになりつつある。

      舛東欧が秋場所、突然幕下1桁に上がったのは失礼ながら驚いた。あるいは新十両の可能性もあるか。
      竜勢・宝龍山・寺尾・豪頂山あたりの「幕下中上位を行ったり来たり力士」にも十両昇進のチャンスは来るだろうか。
      勝誠は番附に四股名が載ってから87場所中、幕下が75場所という記録を持っているが(相撲レファレンス参照)、最近は三段目で相撲を取ることが多くなった。これぞ叩き上げの相撲取りといった風貌だが、十両に上がれずに現役を終えてしまうのだろうか。
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    • 2. えびすこ
    • 2019年12月06日 09:43
    • 876の記事の内容にも共通しますが、現在31歳の千代大龍が来年に新関脇になると「昭和生まれ最後の新関脇」の可能性があるのでは?
      最近では今年引退した豪風と嘉風。昨年初優勝した栃ノ心、今年初優勝の玉鷲と30歳を過ぎてから飛躍した力士もいるので、あながち不可能な事ではない。
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    • 3. えびすこ
    • 2021年08月08日 16:49
    • この記事が出た後に徳勝龍と明瀬山が自己最高位を更新したのはすごい。
      ただ、この2人を含めて表にいる三役未経験力士から新小結以上になった力士はいない。千代大龍の新関脇も実現していない。
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