元幕内安芸乃州の長男が角界入りをするそうだ。そしてその中のコメントで「全段で優勝したい」と掲げたようだ。
スポーツ報知 新弟子検査で異色経歴 柔道全米王者、ネバダ州立大で宇宙工学専攻…元幕内・安芸乃州の長男、24歳・今田光星(https://news.yahoo.co.jp/articles/c7c9ac1fb9c3921ec56ccc756d0f15f6d3234b32)
実際にこれを成し遂げた力士はいるし、「この記録を作るだけなら」幕内優勝経験がある力士が「序ノ口からやり直せば」達成できる記録なのかもしれない。とはいえ、照ノ富士ですら序二段から出直したとはいえ、序二段では決定戦で敗れ、三段目では優勝していない。ケガや体調不良ではない、実力で番付を落としたわけではなかった朝乃山ですらその復活のプロセスで三段目と十両では優勝を果たしたが幕下では優勝できなかった(関取昇進前に幕下優勝経験はあるが)。
そこで今回は「各段優勝」について掘り下げてみる。
■歴代では羽黒山と栃東(子)の2人
歴代でこれを達成したのは戦前に入門し戦後昭和28年に引退した36代横綱の羽黒山と現在の玉ノ井親方の栃東の2人だ。早速だが、この両者の幕内初優勝までの成績を見てみよう。

羽黒山の入門時は戦前の年2場所。今の時代とはまるで異なる番付推移でもあるため、今の時代とは比較はできないが、それでも各段すべて優勝し、各段1場所通過というのは驚異的だ。入門から新十両まで3年、初優勝まで7年と期間で考えれば、今の時代でも十分可能な期間ではあるが、幕内以外は有症率100%。こんな力士、そうそう出てくるとも思えない。学生の実力者が三段目まですべて優勝して駆け上がるのは珍しい話ではないが、それができて、その先どうなるかでもある。そして栃東。年6場所、番付の運用という点では現代とさほど変わらない平成初期の時代だが、力士数がとにかく多い時代。デビュー場所は休場スタートで場所途中から出場し4勝0敗3休。今の番付人数では確実に序二段に「あがってしまう成績」でもある。ここで1場所余計に序ノ口で取ったことが、この記録を達成させたという言い方が適切かどうかはわからないが、序ノ口にとどまったことで序ノ口優勝を達成できた。そういう時代だったとは言えるだろう。
■5つの階級での優勝者は5人
幕内・十両・幕下・三段目・序二段・序ノ口と6つの階級があるわけだが、その中の5つで優勝経験がある力士は歴代で5人だ。そしてその中の2人は現役力士だ。それを見てみよう。

関取になるような力士はそもそも三段目あたりまでは在位が少ない。そして人数も多い故、5つの階級で優勝を果たすのも難しいことを示しているのではないだろうか。板井は実業団の実力者、把瑠都は(言い方は好ましくないが)外国から来た化け物。貴景勝も高卒エリート。それでも、貴景勝や把瑠都といったところが三段目優勝は果たせていない点を見ると、やはりある程度の実力を持って入門してきても、三段目は簡単に勝たせてもらえないことも示しているのではないだろうか。そして、侮れないのは阿炎だ。阿炎は序ノ口優勝こそなかったものの、その他全段。謹慎で幕下まで番付を落とした影響と誤解する人もいるだろうが、謹慎から復帰のプロセスで幕下と十両で優勝しているが、これは謹慎前に「経験済み」だ。各段での「初優勝」を時系列で追うと、序二段→三段目→幕下→十両→幕内の順で優勝を果たしている。ここはケガで番付を落としてから下位優勝を果たした竜電とは違うところだ。
■幕内優勝「しか」優勝経験がない力士
十両以下での優勝経験がなく、幕内優勝を果たした力士は24人いる。その中で優勝回数が最も多いのが優勝24回の北の湖だ。北の湖の場合はそもそも入門が13歳。スピード出世ではある力士だが、各段ではまだ自身よりも年齢も、キャリアも上の力士と戦いながら、番付を上げてきた力士だ。14歳の時に序二段で全勝、決定戦進出はやっているが、決定戦で敗退し下位優勝はならなかった。北の湖に次ぐのは優勝12回の双葉山。その他、曙、栃錦といったところが幕内優勝2桁で下位優勝を経験していない。最後に「段を問わず」4回以上優勝を果たした力士の一覧を提示しておきますのでご参考にしてみてください。

スポーツ報知 新弟子検査で異色経歴 柔道全米王者、ネバダ州立大で宇宙工学専攻…元幕内・安芸乃州の長男、24歳・今田光星(https://news.yahoo.co.jp/articles/c7c9ac1fb9c3921ec56ccc756d0f15f6d3234b32)
実際にこれを成し遂げた力士はいるし、「この記録を作るだけなら」幕内優勝経験がある力士が「序ノ口からやり直せば」達成できる記録なのかもしれない。とはいえ、照ノ富士ですら序二段から出直したとはいえ、序二段では決定戦で敗れ、三段目では優勝していない。ケガや体調不良ではない、実力で番付を落としたわけではなかった朝乃山ですらその復活のプロセスで三段目と十両では優勝を果たしたが幕下では優勝できなかった(関取昇進前に幕下優勝経験はあるが)。
そこで今回は「各段優勝」について掘り下げてみる。
■歴代では羽黒山と栃東(子)の2人
歴代でこれを達成したのは戦前に入門し戦後昭和28年に引退した36代横綱の羽黒山と現在の玉ノ井親方の栃東の2人だ。早速だが、この両者の幕内初優勝までの成績を見てみよう。

羽黒山の入門時は戦前の年2場所。今の時代とはまるで異なる番付推移でもあるため、今の時代とは比較はできないが、それでも各段すべて優勝し、各段1場所通過というのは驚異的だ。入門から新十両まで3年、初優勝まで7年と期間で考えれば、今の時代でも十分可能な期間ではあるが、幕内以外は有症率100%。こんな力士、そうそう出てくるとも思えない。学生の実力者が三段目まですべて優勝して駆け上がるのは珍しい話ではないが、それができて、その先どうなるかでもある。そして栃東。年6場所、番付の運用という点では現代とさほど変わらない平成初期の時代だが、力士数がとにかく多い時代。デビュー場所は休場スタートで場所途中から出場し4勝0敗3休。今の番付人数では確実に序二段に「あがってしまう成績」でもある。ここで1場所余計に序ノ口で取ったことが、この記録を達成させたという言い方が適切かどうかはわからないが、序ノ口にとどまったことで序ノ口優勝を達成できた。そういう時代だったとは言えるだろう。
■5つの階級での優勝者は5人
幕内・十両・幕下・三段目・序二段・序ノ口と6つの階級があるわけだが、その中の5つで優勝経験がある力士は歴代で5人だ。そしてその中の2人は現役力士だ。それを見てみよう。

関取になるような力士はそもそも三段目あたりまでは在位が少ない。そして人数も多い故、5つの階級で優勝を果たすのも難しいことを示しているのではないだろうか。板井は実業団の実力者、把瑠都は(言い方は好ましくないが)外国から来た化け物。貴景勝も高卒エリート。それでも、貴景勝や把瑠都といったところが三段目優勝は果たせていない点を見ると、やはりある程度の実力を持って入門してきても、三段目は簡単に勝たせてもらえないことも示しているのではないだろうか。そして、侮れないのは阿炎だ。阿炎は序ノ口優勝こそなかったものの、その他全段。謹慎で幕下まで番付を落とした影響と誤解する人もいるだろうが、謹慎から復帰のプロセスで幕下と十両で優勝しているが、これは謹慎前に「経験済み」だ。各段での「初優勝」を時系列で追うと、序二段→三段目→幕下→十両→幕内の順で優勝を果たしている。ここはケガで番付を落としてから下位優勝を果たした竜電とは違うところだ。
■幕内優勝「しか」優勝経験がない力士
十両以下での優勝経験がなく、幕内優勝を果たした力士は24人いる。その中で優勝回数が最も多いのが優勝24回の北の湖だ。北の湖の場合はそもそも入門が13歳。スピード出世ではある力士だが、各段ではまだ自身よりも年齢も、キャリアも上の力士と戦いながら、番付を上げてきた力士だ。14歳の時に序二段で全勝、決定戦進出はやっているが、決定戦で敗退し下位優勝はならなかった。北の湖に次ぐのは優勝12回の双葉山。その他、曙、栃錦といったところが幕内優勝2桁で下位優勝を経験していない。最後に「段を問わず」4回以上優勝を果たした力士の一覧を提示しておきますのでご参考にしてみてください。

コメント
コメント一覧 (8)
大相撲データアナリスト横尾誠(
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大相撲データアナリスト横尾誠(
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➡️現役で全段優勝の可能性があるのは阿炎と竜電ですが、阿炎は残すのが序ノ口なんでちょっと考えられないし、竜電は残すのが幕内なんでまだ阿炎より可能性はありますが、いまの竜電の力を考えるとなかなか厳しいかもしれません。とはいえ德勝龍のようなこともありますから、もし記録を達成したら、それはそれで讃えてよいでしょう。
あと板井は膝を何度も悪化させず、まじめな板井(なんかキレイなジャイアンみたいですが)であったら或いは幕内で優勝できたかもしれない…、いや、昭和末期から平成初期の状況では、多賀竜の奇跡のようなことがないとやはり厳しいでしょうか。
大相撲データアナリスト横尾誠(
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しかももう1回三段目で7戦全勝で優勝決定戦で敗れている。3回目の三段目優勝の翌場所は幕下で7戦全敗を記録している。
若ノ城も3回三段目優勝しているが、2回は幕内から陥落してからのものだ。蘇(いける)という力士は序ノ口優勝3回記録しているが、ケガで陥落したためだ。唐津海のケースとは異なる。
通算成績は322勝350敗35休で負け越している。「三段目だけで最強」力士だ。他に類を見ない。
大相撲データアナリスト横尾誠(
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大相撲データアナリスト横尾誠(
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幕内でも横綱~平幕とその5つの地位別で勝率がどうなっているのかも興味があります。
上の表で見ると羽黒山は横綱~序ノ口、および新序も入れても全部で勝率が5割強ですね。
大相撲データアナリスト横尾誠(
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