ロンドン・ナショナル・ギャラリー。トラファルガー広場に面するこの美術館はロンドンの観光名所の一つであり、西洋美術ファン必見の美術館である。世界中の人々がヨーロッパの名画を楽しもうとこの美術館に訪れている。僕もロンドンに行くと必ず行く美術館である。

 展示される美術品の質はとても高い。ルネサンス以前からポスト印象派までの西洋美術を隈なく押さえており、西洋美術の歴史が手に取るように分かる。

 質が一流なら、規模も一流である。主に時代と地域で分けられた展示室は70を超え、展示作品数は膨大である。時間の許す限り鑑賞を続け、お気に入りの作品、感動的な作品との出会いに胸躍らせるのは素晴らしい。

 だけど、他にもロンドンには行きたいところ、魅力的なところがたくさんある。近くを見まわしただけでも、歩いて10分の所にはウェストミンスタ大聖堂やビッグ・ベンがあるし、テムズ川を渡れば、巨大な観覧車ロンドン・アイまですぐだ。大英博物館までだって、バスで10分くらい。

 ナショナル・ギャラリーにかけられる時間は有限であることの方が多い。例えば、2時間でナショナル・ギャラリーを回るとしたらどうしようか。2時間でナショナル・ギャラリーを一通り抑えるのはほとんど無謀な気もしなくもないけど、それくらいしか時間がかけられないケースも結構あると思う。

 幸運なことに、ナショナル・ギャラリーのウェブサイトには「必見の30作品」が掲載されている。14世紀から19世紀にいたるまでバランスよく紹介されている。これを参考にすれば、有名どころはしっかりと抑えられるという寸法。ただし、その時々で展示されていなかったりするので注意。必見って言っているのに、とは思うけど仕方がない。

 そうは言っても、鑑賞時間2時間で30点は必見の作品って多くはないか。あの広い館内を歩いて、必見の30作品を探して、鑑賞してってすると、あっという間に2時間が経ってしまいそう。時間の余裕が欲しい。もう少し自由に見たい人や、お気に入りの時代や地域の画家に集中したいという人も多いはず。ということで、大胆かつ勝手に必見の作品を5点までに絞り込んでしまおう。

 ナショナル・ギャラリーで必見の作品を5点選ぶとしたら、以下の作品。
ダ・ヴィンチ 「岩窟の聖母」
ホルバイン 「大使たち」
フェルメール 「ヴァージナルの前に立つ女」
ターナー 「戦艦テレメール」
ゴッホ 「ひまわり」


ルネサンスが生んだ万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチの油彩画である「岩窟の聖母」。

ヘンリ8世の宮廷画家を務め、イギリスの美術史に大きな影響を与えたホルバインの傑作肖像画「大使たち」。

現存する作品は30数点しかない17世紀オランダの巨匠フェルメールの佳作「ヴァージナルの前に立つ女」。

イギリス美術史最大の画家ターナーの一枚にして、BBCが企画した「イギリス国民が選ぶイギリスが所蔵する最高傑作」に輝き、2020年以降の20ポンド紙幣の図案としても採用される「戦艦テレメール」。

「炎の画家」ゴッホの代表作にして、ナショナル・ギャラリーで最も人気のある一枚「ひまわり」。

 ラファエロの良作もある。ダ・ヴィンチのカルトン「聖アンナと聖母子と洗礼者聖ヨハネ」も外しがたい。カラヴァッジョの「エマオの晩餐」という傑作もある。レンブラントはどうしようか。などなど色々と思うことはあるけど、この5点を推したい。

 例えば、30分しかナショナル・ギャラリーに行く時間がなかったのなら、この5点だけを鑑賞しても良いのではと思う作品。この5点を観ればナショナル・ギャラリーに行ったと言うのは過言かもしれないけど、この5点のどれも見なかったと言えば、ナショナル・ギャラリーに行ったことを疑われるような、この美術館を代表する作品たち。

 これら5点は見逃さないようにして、あとは、LEVEL 0(1階)の展示室に行くのを忘れないようにすることと、中世からルネサンスの絵画が展示されているフィリップ・ウイングへのルートで迷わないようにすることの2点に気を付ければ大丈夫。

 そのために、入口のところで1ポンド払って館内マップを購入した方が良いかもしれない。

 美術館は大きく分けて、中世からルネサンス、16世紀、17世紀、18世紀以降の4つのエリアに分けられていることもマップから分かるはず。必見の作品を5点まで絞れば、他の作品を観たり、館内の雰囲気を楽しんだりする時間もたっぷりとれる。
 興味のある時代と地域の展示室に多くの時間を割くのも良し、全く知らないところで新たな発見を探すのも良し。

 肝心なところを押さえつつ、それぞれのスタイルでロンドン・ナショナル・ギャラリーを満喫するのが一番だと思う。

 ロンドン・ナショナル・ギャラリーに興味をもって、もう少しこの美術館の有名作品を知りたい方は、ロンドン・ナショナル・ギャラリー見どころ紹介一覧をどうぞご覧ください。


 ロンドンの有名美術館・博物館については、「ロンドンで必見の美術館・博物館8選」もどうぞご覧ください。

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