2005年04月16日

水温差にも負けず、水質差にも負けず。

 6坪の広さがあり、巧く表現の出来ない複雑な形をしており、樹木が生い茂る池というのは常時、複数の環境が存在する。暗い所、明るい所。水温が高い所、低い所。新水が注がれる所、古い水が淀む所。浅い所、深い所。これらの要素を組み合わせると環境は無数にあり、水中で2メートルも移動すればそこは別の環境と言える。魚は一々驚いている筈なのだが、そんな素振りは見せない。魚はこれらの環境を一日中渡り歩く。

sako0504ike 『水温が違う。』
 真夏の炎天下、日の当たる睡蓮の葉の直下では水温約40度。日が当たらず新水が注がれる木陰では約30度。10度もの水温差がある。夏の晴天日の日中なら場所により5度の水温差は日常的に発生する。これまで読んだり見たりした飼育指南では金魚は一瞬で5度の水温差を味わうとショックを受けて死線を彷徨うことになる筈で、10度の水温差というのは死線を完全に越える筈。しかし、魚はそんな素振りは見せない。魚はこれらの環境を一日中渡り歩く(我家の魚達はM(マゾ)かも知れん)。この大きな水温差は曇れば収まる。春、秋、冬では晴天であっても夏よりは水温差は縮まる。高水温期での水温差は低水温期よりはダメージが少ないのでは?と考えることもできるが、あくまでも推測。
『水質が違う。』
金魚は急な水質変化に弱い生物と聞いているが、6坪の広さで約7トンの水量の池に蛇口を全開にして水を注いでも池の奥まで新水が届くまでには数時間はかかる。機械で掻き混ぜるわけではないので入り江の様な所では古い水がいつまでも淀みヘドロや落葉が堆積する。おのずと新水が注がれる所とでは水質には大きな差ができる。魚はphショックと呼ばれる堪え難い苦しみを味わっている筈だが、魚はそんな素振りは見せない。魚はこれらの環境を一日中渡り歩く(我家の魚達はやはりMかも知れん)。ただ雨や風が吹けば水が混ざり合い幾らか均質になるし、アンモニア濃度測定やph検査は経済的事情から行なったことがないので思い過ごしの可能性は否定しない。

 この池では魚達には移動の自由を保証しているので、居心地の良い場所に留まることもできるし、嫌な場所には近付かないこともできる。しかし池に餌を撒けば10度の水温差も水質差も乗り越えに餌に突進する。この事から金魚という生物は食い物に意地汚い性格の持ち主であると言える。日中は餌を求めて彷徨い泳ぐのが性らしく、あらゆる所を移動する。移動先の水は数秒前と同じ水ではない。この観察はこれまでの金魚飼育学の常識を覆すことになるのか?・・しかし、この環境に耐えられるタフな魚だけが生き延びたとも言えるし、複数の環境があるということは選択肢の幅が広いという前向きな解釈もできる。この猫の目のように水がクルクル変わる池を魚がどれほど嫌がっているのか?・・案外、気に入っているのか?・・全く不明。どっちにしても、池を均一な環境にするために木を切ったり、機械で水を混ぜたり、池を四角にしたりする気は無いので「好きな所で泳げよ。」というしかない。
 以下はその他のちょっとした観察・・
(1)冬は少しでも水温が高いところへ移動する。水深の深い所や新水の注がれる場所。当池の場合、冬は新水水温の方が数度高い。
(2)夏は新水が注がれるところへ移動する傾向がある。当池の場合、夏は新水水温の方が低い。シャワーで給水するので溶存酸素も多い。
(3)魚は体調を崩すと水温が高く浅いところへ移動する傾向がある。日が当たると浅い所の方が水温が高くなるのと、水深が浅い方が体の負担が軽いせいかと考える。
(4)夏の炎天下では魚は木陰に常駐すると思っていたが、それほどでもなかった。時々は薄暗い木陰で涼む魚もいる。

『追記』
上記の観察は昨年(2004年)、池に50匹程のワキンが居た頃の話。

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この記事へのコメント

1. Posted by やまね   2005年05月02日 16:04
 よく観察されていて、いろいろ参考になります。
私の場合、自然の沼地や湿地での観察ですが、瓢箪池の金魚のような魚の行動が見られます。
 水面に木陰があったり、水草で開放水面が制約される部分があるのも、多様な環境になり、金魚に限らず、よさそうです。
 人間でも、時には、広々した所で走り回りたいし、小さなスナックで飲みたいですから、いろいろ在るのがいいのでしょうね。多分。
2. Posted by 瓢箪池管理人   2005年05月03日 09:13
瓢箪池の主でございます。
やまね様、ごぶさたです。このような自然観察の裏付けあるコメントを頂くと瓢箪池もまんざらではない気がしてきました。
先日、久しぶりに地元の山と川を散策できました。散策といってもヤマメ釣りがてらなんですが。渓流は今時分が一番気分いいです。ウグイスも鳴くし甲羅の青い小さなカニが沢山いました。

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