魚の診療記録
2005年12月06日
病名不明
9月に1匹のナンキンが傾いて泳ぐようになった。昨年も別のナンキンが似た症状を見せ、その時は、水槽の魚ごと纏めて餌を止めたら数日後には復調したので、今回も同様の処置を行なった。しかし今回は悪化して写真の様な姿で水槽の底に横たわった。こうなれば迷わず隔離治療しかない。実は、この姿には見覚えがある。2004年に飼育していたランチュウの死ぬ前の最後の姿がこんなだったのである(魚ファイル「ランチュウブラザーズ2003」参照)。まずは鰓病を疑った。しかし、左右の鰓は正常に見えた。鰓病ならその他の魚も症状が出ると思うが、他のナンキン達には異常がない。管理人のキャリアでは自信を持った診断は出来ない。病名を確定できないので薬は使わない(ケチだからではない)。0.5パーセントの塩水の中でしばらく過ごさせることにした。その後、傾いた体が少しづつ正常に立ち、少しは泳ぐ様になり、回復傾向か?と餌を少し与えたが全く食べない。魚体は痩せるばかり・・「こりゃダメだな。」と諦めていた。3週間経つと塩水を作るのが面倒になり、ただの水での換水に切り替えた。諦めつつも、唯一、回復を確認する手がかりは、餌を食うか?食わないか?なので、毎日、数粒の餌を水槽に落としていた。・・ある日、修行が足りない断食明けの坊さんの様に餌に飛びついて来た。それからはバクバクと餌を食い、太い凛々しい糞を水槽の底へ残す様になり、一安心。ここまで治療開始から約一ヶ月。痩せてワキンの様なシルエットになってしまい、そして不思議なことに頭や尾鰭の朱色の部分が色褪せ、淡いオレンジ色になった。毎日、見続けた管理人でないと同じ魚とは思えない。病名も原因も全く見当が付かないが、回復したのが何より。塩水が有効だったとも言えるし、初期の段階で餌を止めたことが良かったとも言えるし、隔離して安静にしたことが良かったとも言えるし、別の治療法ならもっと早く回復したとも言えるし、どれもあまり関係が無く、ほって置いても同じ結果だったかも?とも言える。幾らか腹も迫り出し、そろそろ仲間の水槽に戻すか?と考えていた、ある10月下旬の朝・・猫に盗られて姿を消す。享年2歳。
2005年02月28日
水カビ病
魚の体表にフワフワした綿の様な物を付着させているのが水カビ病。とても発見し易い病気。昨年(2004年)、たった一匹のランチュウに4月から8月の5ヶ月程の間で3回も発症したのがこの病気。3回とも同じ箇所(尾筒と腹の境の鱗が最も密集し泳ぐと鱗が最も軋む部分)に症状がでた。カビ系の疾患にはメチレンブルーが有効とのことなので0.5パーセントの塩水に規定の薬量を溶かし魚を入れた。翌日から患部が少しづつ小さくなり1週間ほどで消えた。2ヶ月ほどするとまた同じところに水カビが生える。前回の治療では完治しなかったのか?恒常的に水槽の中に水カビ菌が高密度で生息しているのか?は不明だが同じ処置を施してまた直った。2ヶ月ほどするとまた同じところに水カビが生えた。3回目である。塩水を作るのが面倒になり、以前、瓢箪池前オーナーが鯉の傷口に直接、赤チンを塗布していたのを思い出し、同じことを試みた。魚を捕まえる。患部の水カビを綿棒で削ぎ落とす。魚は悶える。水カビを落とした患部は爛れている。メチレンブルー原液を綿棒にて患部に直接塗布。魚はまたも苦しむ。水槽に戻す。しばらく激痛で狂った様に泳ぐがしばらくすると大人しくなる。患部と周辺の鱗は入れ墨の如く青く染まっているが、日ごと薄くなり、消えた頃には傷も直っていた。爛れた患部も傷あとらしい痕跡は無かった。
水カビ病は瓢箪池で泳ぐワキンでもよく見かけた。繁殖期にオスに絡まれ続け擦過傷を負い体調に異変をきたしたメスは、全身に水カビが廻り死んでゆく(写真参照)。繁殖期以外でも時々発症したが、この場合は悪化して死んだ魚は見なかった。不思議といつの間にか消えている。多分、自力で水カビを落とし自己治癒させる強靭なワキンの成せる力技と推測している。
水カビ病は魚体の表皮を破壊し体内の塩分調整能力に大きなダメージを与える。患部からはその他感染症の併発の危険もある。塩水浴と薬を併用した処置の方が効果的と思うが、魚が嫌がる急な水質変化の負担を考慮すると、患部が小さく症状が軽い場合は薬を直接塗布するだけでも対処できるのではと考えている。
水カビ病の予防としては魚の体表に傷を付けないことと、水中の水カビ菌の密度を下げる(マメに換水する)以外には思い付かない。そして、なにより魚を病気にさせない事と、最小の処置で最大の効果が瓢箪池式名医への道。
2005年02月06日
魚の診療記録を始める
これまで死んだ魚を沢山見た。労力を惜しまなければ救えた魚も沢山いたと思う。見殺しというのは楽なようだが、それなりの心労を伴う。管理人は薄情なうえ名医からはほど遠い人物であるので、これまで魚の病気や治療について多くは語らなかったが、何度かは魚に治療を施した経験があり、その処置が適切だったかどうかは別として体調を戻した魚もいる。これからは精を出して治療しようと心を入れ替えたわけではないが、ヤブ医者の診療記録でも存在していれば後で役立つこともあると思い『魚の診療記録』を新カテゴリーとして追加した。自分自身が経験した魚の病気やその処置、観察できた魚の変化のことなども今後、記録してゆきたい。霊長類からすると魚は下等動物ということになるが、魚が人間より愚かであるという説得力を持った考察を見たり聞いたりした記憶は無い。そして、魚にあって人間に無い器官、人間にあって魚に無い器官を相殺すると等しくなる。人間と同じく皮膚病から精神病まで、あらゆる病気が人間と同じ次元で存在し、病気になったり死んだりするのは人間と大して変わらない理由や原因があるとも考えている。魚の治療が難しいのは、何処が痛いか苦しいか?何が辛いか?・・何も話さないことに尽きる。そして魚にとって多くの敵が飼育者の目に映らないこと。
次回の『魚の診療記録』のテーマは水カビ病について。我家では頻発する病気。
『追記1』
これまで魚の健康維持や病気やその処置について、書籍やサイトで沢山の知恵や処方を学びました。沢山の方々に感謝申し上げます。

