ミジンコのこと

2005年10月06日

2005年瓢箪池水産試験場のミジンコ

mk0510suisou1 以前、瓢箪池界隈に自生するドラマチックなミジンコの生涯を投稿したが、これから語る瓢箪池水産試験場のミジンコは管理人の個人的な都合と気紛れに翻弄される哀れなミジンコの話。4月の中旬、小さな水槽で田圃を再現しようと試みた。この時点でミジンコにとっては迷惑な話が始まる。まずは耐久卵からの孵化というミジンコが神秘のベールを脱ぐ感動的な場面からのスタートを目論み、耐久卵が混在していると思われる田圃の泥を水槽に入れ、水を張り、ミジンコの孵化を待った。巧くいったら水槽にも稲の苗を植え、田園箱庭というか・・田園盆栽というか・・そこはかと侘び寂びの漂う渋いビオトープ水槽を作るつもりだった。しかし、この水槽から続々とミジンコが現れることはなかった。特別短気な性格ではないが、その頃には周りの田圃では自生のミジンコがウヨウヨ泳ぎ始め、それを見ると長期戦覚悟の自然孵化増殖は、あっさりと断念。田圃のミジンコをコソッと採取した。スタートで躓いたが、目的はミジンコの大量自家生産方法の開発なので、最初の種は卵だろうと生体だろうが拘る必要は無いとも考える(管理人は目的のためなら手段を選ばない男かも知ん・・)。
 今年のミジンコレポートは、昨年のよりは深化した内容を予告していたので、作戦とテーマらしいものを少しばかり。今年のテーマはズバリ!『瓢箪池式ミジンコ大量ウハウハ生産方法の開発』。しかし、このテーマは今年だけでなく永遠のテーマでもある。管理人はミジンコを眺めるだけで幸せというミジンコ愛好家ではなく、金魚の稚魚にたらふくミジンコを食わせてやりたいという野心家であるので、「生産」という経済的な効率を追求しなくては意味が無いのである。低コスト、少労働、小スペース、省エネ、短期生産、無公害(無臭かつ妙な生物、廃棄物が発生しないこと)、これらの全ての要素が高次元でバランスの取れた生産方法の開発を目論でいる。ただ農林水産省やその他の組織から研究資金の援助を受けているわけではないので、自ずとその実験設備は管理人のポケットマネーが許す範囲となる(援助希望の方はドシドシ申し出てくだされ)。自分では純な生物科学レポートを目指しているくせに、いつもどうでもいい前書きが長いのが、瓢箪池物語の特色。

 思いつきで水槽を用意してミジンコを飼育しても比較検討ができるサンプルが無いと、普遍的なデータの収集にはならないと考え、今年は4つの同じ素材・サイズの水槽を用意した(ポケットマネーの限界)。複数のサンプルを同時に同環境でスタートすることによって、環境要素の違いが与える影響を確認できればシメシメ。4つしかない水槽を有意義かつ有効的に活用するために観察テーマを「ミジンコが喜ぶ培養水とは?」に絞ることにした。昨年、ミジンコサイトや本を読み漁るうちにミジンコは植物プランクトン(緑藻など)が大好物!という記述を読むことが多かったので、それならばと言うことで植物プランクトンの供給源として別水槽で濃厚な青水を常時維持してミジンコに与えようと考えた。作り方は簡単で金魚の飼育水を水槽に入れ、日の当たる明るい場所に置き、二酸化炭素と栄養素を水槽に供給すればOK。二酸化炭素の供給は時々、息をエアーチューブで吹き込むことで解決。栄養素は金魚の飼育水の排水時に出る金魚の糞と飼育水を入れることで解決。当時は4月初旬だったが、10日ほどで旨そうな青水が出来上がる。この青水水槽が準備できると2005年のミジンコ観察が始まった。

『4つの水槽の共通設備・共通環境の概要』
 今年購入した水槽は、幅約60センチ、奥行き約40センチ、水深約20センチの容量約40リットルのプラスチック製の世間ではモルタルなどを捏ねるトロ箱と呼ばれる左官用の容器。全ての水槽に外部環境の影響が可能な限り等しく受ける場所を探したところ、ナンキンを飼っている水槽のすぐ隣にスペースを発見。ここはガレージの軒下で雨水は入らず、屋根が透明な素材なので日中は明るい。ここに4つの水槽を仲良く並べることにした。低コスト、省エネが標語なので機械的エアーレーション(エアーポンプなど)は設置していない(実はポケットマネーの都合)。ただし吹きさらしのため風通しは良好である。それぞれの水槽にそれぞれの飼育水を満たし、田圃で採取したミジンコ(タマミジンコ系だと思う)を同時に同量(目分量)投入した時点で準備と作業は、ほぼ完了。セッティングができると後は蒸発した分のみを水槽別の処方箋どうりの液体を給水して常時満水を維持するだけの割りとラクチン方法である(少労働)。

『4つの水槽の異なる培養水』
〔水槽1〕
隣のナンキン水槽から排出される糞を含む飼育水をそのまま放置。蒸発分は同じ金魚の飼育水を糞を含めて追加。自然と青水(ミジンコの餌)になり、ミジンコが増えれば言うこと無し。
〔水槽2〕
水槽1と同質の水に別水槽で培養した青水を混ぜ常時、植物プランクトンを高濃度で維持。蒸発分は別水槽で作った青水を追加。水槽1より高密度で餌を存在させ、より大量生産を目論んだ。
〔水槽3〕
水槽2と同質の水にキャベツの葉を入れ放置。キャベツの葉は腐敗・分解の過程でインフゾリア(ミジンコの餌)が発生。蒸発分は別水槽で作った青水を追加。水槽2に補完的に動物性の微生物を発生させ、よりミジンコを喜ばせ、さらなる大量生産を目論んだ。 
〔水槽4〕
田圃の泥と完熟堆肥、油粕、刻んだ藁を混ぜ水槽の底に敷き、新水を入れ、設置時に青水を添加。蒸発分は新水と青水を追加。濃密な培養水で爆発的大量生産を目論んだ。

mk0510mo 〜〔水槽1、2、3〕のその後の様子〜
 水槽1、2、3の様子は水槽ごとに幾らかの違いはあったけれど、良く似た経過を辿ったのでまとめてレポート。どの水槽も設置から数日は、少しは増えたか?と思われる気配はあったが、もし稚魚の餌として少量でも採取したら壊滅状態になる程度のものであった。どの水槽も、「ミジンコの飼育」という観察素材レベルで「生産・増産」という経済レベルには達しなかった。ミジンコのことを幾らか学習し「ミジンコは植物プランクトンが大好物」と理解していたので青水を供給すればミジンコが増えるだろうと単純に考えていたが、それだけでは十分ではないという結果になった。この中では、植物プランクトンと腐敗分解されたキャベツの葉に付着する微生物が多量に存在する水槽3なら増殖しても良さそうだが、そういうことにもならなかった。実は、青水の原液水槽にもミジンコを放して見たが、同じ結果であった。植物プランクトンという餌の問題ではなく、別の条件が満たされていなかった可能性は否定できないが、その条件とやらは推測すら出来ない。
 この水槽1、2、3、青水原液水槽のミジンコは、どれも水槽の隅に密集する。どういう理由かは不明だが、生物が局地に密集する傾向があるのは、水槽の環境が総体的・基本的に悪いと考えてよいと思う。そして、どの水槽の生息密度も田圃には及ばない。それでも、約2ヶ月の間、増えることはないが死滅せずに存在し続けた。ミジンコの寿命は2〜3週間とのことなので、幾らかは子孫を残していたらしい。植物プランクトンは重要な餌には違いないと思うが、それだけでは足りないのである。
 これらの水槽には数週間経つと粉状の細かい藻(あるいは苔かも?)が水面に発生した。この藻がミジンコの良い餌となり爆発的な繁殖を期待したがそういうことにもならなかったし、この藻が増え始めるとミジンコの密度が低下し始めた。一部の植物プランクトンや藻は毒素を発生する種もあるらしく、もしやそれが原因では?とも考えられるし、表面を覆う藻が水中の要存酸素量を下げたとも考えられるが、管理人にはそれを立証できる能力は無い。6月下旬になるとこの藻が水面を覆いミジンコは死滅。写真に撮ると世界遺産の湿原の衛生写真と瓜二つ。なかなか美しかった。

mk0510suisou4 〜〔水槽4〕のその後の様子〜
 結果から述べると唯一、ミジンコが大量増殖したのは、この水槽4のみ。実は、この方法はネットや本で読んだ歴史と伝統のある諸先輩のミジンコ生産法を参考にし、管理人の考えや好みでアレンジしたものである。この水槽の培養水の内容を少し詳しく語ると、田圃の泥が約4割、油粕(園芸用肥料)約2割、完熟堆肥(園芸用肥料)約2割、藁(乾燥した稲穂)を5センチ程に刻んだものを約2割。これらをバケツの中で水と一緒に捏ねた。捏ねた物を水槽の底に5センチ程敷き、水を張り、2リットル程の青水を植物プランクトンの種として添加する。そして田圃で採取したミジンコを放した。
 この水槽の設置当初の見た目は、泥水と全く同じで、藁や油粕の一部が水面に浮くが数日で底に沈殿する。田圃だと代掻きを終えた泥水が数日で澄んで来るが、この水槽の水は澄むことはなかった。最初の頃はヤニと泥が溶けた様な褐色の液体だったが、その後、白っぽい茶色の濁った液体になった。各種有機物を惜しげも無く投入したせいか時々、メタンガス(泥の中の空気かも知れん・・)が、ブクブク発生するほどの濃厚な培養液である。
 管理人がサイトや本で知識を得た情報では、人工的にミジンコを培養する際には以下の物質(配合比は不明)を投与するのが有効とあった。鶏糞(ニワトリのウンチ、その他の動物の糞でも代用できるらしい)、その他では油粕、完熟堆肥、藁、イースト菌、石灰なども有効らしい。イースト菌は、ミジンコの直接的な餌となり、一部では、かなり利用されるとのことである。石灰を投入するのは、多分、直接的な餌ではなく、有機物の分解過程で酸性に傾く水質を中性に戻す水質改良のためだと考えている(定かではないが・・)。近くに養鶏場もあり僅かの鶏糞を手に入れるのは不可能ではないが、管理人は個人的な好みから今年は不採用。しかし今後は要検討対象ではある。藁、油粕、完熟堆肥は、直接、ミジンコの餌になるかどうかは不明だが、腐敗・分解の過程で微生物が発生するのと、それらが植物プランクトンの栄養になることは明らかである。管理人の唯一のオリジナルアイデアは土を混入させたこと(既に何処かで採用されているかも知れん)。根拠理由を巧くは説明できないが、管理人の生物科学的直感センスが「泥を入れろ!」と命じたのである(実は田圃を参考にしただけ)。以下の効能を期待したのである。
(1)泥は有機物を包んだ状態で底で沈殿し、それ等が水中で急激に分解することを抑制し、急激な水質・環境変化を抑制するのでは?という期待。
(2)泥の中の各種微生物が水質を改善してくれるかも?という期待。
(3)泥の中の各種微生物がミジンコの良い餌になるのではという期待。
これらが期待通り水中で実現していたかどうかは不明だが、これらの効能が全くなかったという確証もない。
 水槽を設置して1週間程はミジンコの様子に大して変化は無かったが、その後、赤いミジンコが現れ始めた。田圃のミジンコの体色は透明なのだが、栄養豊富な環境のミジンコは赤いという記事を読んだ記憶があり、なるほど・・と納得。この赤いミジンコが現れてからは、ウハウハ(死語か?)するほど増え始めた。悪臭漂う水槽を眺めてウットリする姿は完全に奇人・変人の類いだが、赤いミジンコがウジャウジャ存在する水槽は管理人には明るい未来の光明。内心、大成功だあ!と喜んだが、あまりの増え方に過密が心配になる。人類が滅びないのは死ぬ人間より生まれる人間の方が多いからであるが、どんな生物も過剰密度になると繁栄の勢いが落ちるのは世の定。当時、ワキンの稚魚数匹を水槽育成していたので、毎日一部を掬い取り稚魚に与えた。採取後の密度は一時は下がるが直ぐに復活してしまう。増殖スピードを数字にはできないが、毎日、一部を稚魚の餌とした場合、2、3センチ程の稚魚なら数十匹は養えそうな手応えはあった。この水槽のミジンコは表層だけでなく中層まで均一に高密度で存在する。最盛期の田圃のミジンコにも負けてはいないのである。この水槽を維持するために管理人が行った作業は、
(1)数日に1度、蒸発した分を水で補い常時満水を維持。
(2)数日に1度、沈殿している底の泥を掻き混ぜ、腐敗分解が進行した有機物を飼育水中に溶かし込む。
(3)数日に1度、青水を1リットルほど添加する。
(4)毎日か数日に1度、ミジンコが増えた量だけ水槽から採取し、一定の生息密度を維持。
これらの作業で2ヶ月近い期間、高密度に維持できたことは、増殖サイクルが確立していたと考えても自惚れではあるまい。
 5月中にも既に存在したが、6月になるとボウフラやミズミミズや小さな生物が増え初め、ミジンコの生息密度が幾らか下がり始めた。写真中の赤いミジンコの粒に混じって写る黒く細い影は皆ボウフラである。ご近所の方々にはこの水槽は絶対に見せたくなかったが隠しようもなく、既に我家はご近所を悩ます蚊の巣窟だと噂された可能性は十分にある。玄関先には異臭(腐臭)が漂い、蚊が群れ飛び体に纏つくという、良識ある一般家庭では決してあってはならない状況が続く。6月の末にはミジンコ以外の生物の方が賑やかな水槽になり、自家製ミジンコを与えて育てた水槽のワキンの稚魚を瓢箪池に放した時点でミジンコ水槽は撤収。そして2005年のミジンコ研究は終了。今年の観察で得られた事は「歴史と伝統は重い。」と、いうこと。これからは諸先輩の語ることには素直に耳を傾けようと思う。昔からそうしていれば上司や先輩から虐められる経験も少なかったも知れないが、まあ何事も経験・・。投入する有機物の素材の選択や、それらの配合比や、その他の環境要素を組み合わせれば無限のバリエーションがあるが、この高濃度どろどろ溶液を培養水の基本にするのが『瓢箪池式ミジンコ大量ウハウハ生産方法の開発』への近道と考えている。実は『瓢箪池式』には、それほど拘っていなくて、誰かがこっそり大量生産方法の極意を教えてくれんかの〜?と思っているのが本心(やはり管理人は目的のためなら手段を選ばない男かも知れん・・)。
 今年も根性や執念とは無縁の気ままな観察になってしまったが、一歩は前進したと思える今日この頃。ただし、ゴールまであと何歩前進しなくてはならないのかは全く不明。今回、気になった事や、次回に試して見たい事や、なんとかせにゃならん事や、こうすればもしや・・とか、調べにゃならん事など、色々の事が幾らか見えてきたのでミジンコの自家生産に興味を持たれる方がいらっしゃれば御参考下され(参考にならんかも知れんが・・)。

(1)小さな水槽で得られるミジンコの量はしれている。もし、この伝統的なミジンコ培養法を確立できたとしても、稚魚にたらふく、ミジンコを与えたいなら稚魚の育成水槽の数倍の規模のミジンコ水槽が必要と考える。いっそ庭にでかいミジンコ池を造るのが一番効率的かも?・・と思う今日この頃。
(2)ミジンコの生態を一語で語ると『蜃気楼』。複数のミジンコ水槽を用意しなければ採取量は不安定となる。
(3)ミジンコは数週間単位での増殖サイクルがあるらしい気配を感じる。
(4)我家の気候では金魚の自然産卵は4月中旬から始まる。稚魚に十分なミジンコを与えるためには4月の中旬には確保できる必要があるが、4月以前の寒冷期からの周到な準備が必要と思われる。
(5)ミジンコが必要な時期は4月中旬からの約3ヶ月間。長期間継続的にミジンコが確保できる設備の構築は重要な課題。
(6)水中の酸素が豊富で呼吸の楽な環境ならより多くのミジンコが発生すると考える。ただしミジンコは水流を嫌がる生物なので単純にエアーレーションすれば良いわけではない。水流を発生させずに水中の要存酸素量を上げる方策を検討。
(7)ボウフラ等(ミジンコの天敵)のミジンコを捕食する生物を培養水槽に入れない。網を被せて解決。発生した場合は排除するしかない。
(8)ミジンコが本当に喜ぶ餌を生物学的に解明できればより効率が上がる。水槽に投入する素材・配合比などは今後の課題。
(9)ミジンコが本当に喜ぶ水質を科学的(PH、アンモニア濃度など)に解明できれば、効率が上がる。今後の課題。
(10)ミジンコが本当に喜ぶ環境を物理的(水温、水深、水流、明るさ・・)に解明できれば、効率が上がる。今後の課題。
(11)ミジンコ水槽立ち上げ時に乾燥休眠卵(耐久卵)用意できれば、効率が上がる。今後の課題。
(12)植物プランクトンだけでなく各種の微細生物が存在する方が効果的らしい。
(13)我慢すれば良いだけだが、腐臭の様な匂いをなんとかしたい。何か消臭剤の様な物は無いのか?今後の課題。
(14)金魚の稚魚はボウフラを食う。

『追記1』
我家にミジンコどころではない重大事件が発生しなければ次回の観察は2006年の冬を予定。テーマは、自生のミジンコが採取困難な4月中旬までにミジンコを湧かせるレシピの開発。

『追記2』
 水槽のワキンの稚魚(当時、2〜4センチ)にボウフラを与えたところ、食料にしているらしく夕方には居なくなっていた。ワキンの強靭な消化能力のなせる技なのか?金魚全般に共通することなのか?は不明だが、いっそボウフラで稚魚を育てることは可能か?という要研究課題が発生。

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2005年07月28日

田圃のミジンコ

mk0507tanbo1 4月から6月までが瓢箪池界隈の田植えシーズン。早く苗を植えると早く新米が取れるので幾らか高く売れ、害虫が湧く季節の前に収穫ができ作柄が幾らか良くなるので一石二鳥のご利益があるらしい。しかし4月に田植えを行なう農家はこちらでは少数派で6月になり田植えを行なう農家が多い。それは何故かと言うと6月からは水利組合から委託された水管理人が田圃の灌漑を一手に引き受け、田圃への水引きという農家の日常の労働を代行してくれるのである。今の時代は米が沢山取れるより手間が掛からない楽チン農法を選ぶ農家が多い。こういった事情はそれぞれのお国柄で色々あると思う。
 4月から続々と田植えが始まり、管理人も夕暮れの散歩代わりに田圃の畦道を歩く日が多くなった。ホウネンエビやカブトエビがお気に入りの子供が数人いてバケツで持ち帰るのを見かけたが「ミジンコがウジャウジャおるどー。」という会話は聞いたことが無いのでミジンコは興味の対象ではないらしい。それでもこういう子供達が、いつか、簡単楽チン大量ミジンコ生産法を編み出す可能性は皆無ではない。
 最初は何処の田圃がいつ田植えをしたかを把握していたが、続々と新田が現れると「アレッ?」という事態になった。それでも植えられた苗の成長を見れば大体の検討が付くのは長い田舎暮らしの恩恵。4月初めに田植えを終えた田圃では2週間ほど経つとポチポチとミジンコが泳ぎ始めた。その後、オタマジャクシ、ホウネンエビ、カブトエビが泳ぎだす。タニシ、水生昆虫等も蠢く。4週間も経てばこれらの水生生物が浅い水中で入り乱れて生存する。水温や日照の関係か、4月よりも5月に田植えを行った田圃の方がミジンコの発生が早い。約1週間でチラホラ存在し約3週間でピークを迎える。その頃には水生生物も多数現れ、しばらくするとミジンコの生息密度は下がる。同じ日に田植えを行なってもその後の水中の生物の様子は田圃ごとに違い、場所によりミジンコの発生状況は全く異なる。順調にミジンコが増え、長期に渡り存在している田圃にはミジンコ以外の水生生物が少ない傾向があるというのが管理人の観察。天敵というのはいかに恐ろしい存在であるかという証。田圃は自然界と同じく自然環境の影響を多いに受けるが、基本的には人工の食料生産施設なので人為的な環境も多いに作用する。管理人が語れる限りの田圃のミジンコの生存環境などを少しばかり・・。 

mk0507tanbo2 『基本環境』
 田圃の水深は稲の栽培の都合で深くても10センチ程。水深が浅いことにより外気温・日射の影響を直接的に受け4月の冷える朝には水温12度だった水が晴天の日差しを受ければ午後には30度を超える。6月には40度に迫る日もあった。頻繁に川の水を引くので1時間程で水温・水質が急激に変化する。一日の水温変化は目まぐるしく日常的に数時間で10度以上の水温変化が発生し、ミジンコも生物なので急激な水温・水質変化はキツいには違いないと考えるが、この程度のことでは滅びないタフな奴らである。
 怠け者が田圃を管理し、給水を怠ると2、3日で水が無くなるか底をつく。もし田が干上がるとミジンコは一度死滅してしまう。再び給水すれば再び現れるが、一度初期化された環境から再びミジンコが湧くまでは新たな時間の経過が必要となる。田圃のミジンコの運命は人間の都合に翻弄される。
 雨の後はミジンコの密度が一時下がる。流れ去るミジンコもいるし、水中の栄養源が雨水で薄まり生存環境が悪化するのかも知れないし、急な水温低下や水質変化がダメージを与えるのかも知れないし、上空数千メートルから落下する雨の雫に叩き付けられ衰弱してしまうのかも知れない。

『水質』
 微かに泥臭い匂いはあるが川の水を頻繁に入れるので水は、おおむね透明で水質は金魚の飼育水よりは良好な可能性はあるが、川の水に家庭・産業排水が混ざっていないという保証は自分の目で源流から辿ってみるしかない。田植え前、田植え時には除草剤が散布され、農薬が皆無という田圃は殆ど無く、各種の化学肥料も撒かれている。厳密に化学的な検査をしていないので水質がどうのこうのと語る能力は管理人には無いが、高密度で各種の生物が存在するので金魚の飼育水と似た水質である可能性は大いにある。

『ミジンコの餌』
水を張った田圃ではリストアップ不可能なほど無数の微生物が発生する。ミジンコは微細な植物性微生物(緑藻、珪藻、藍藻、苔など)や微細な動物性微生物(細菌、バクテリア、インフゾリアやワムシの幼生など)などを捕食して生命を維持する生き物。もしや微生物でなくても微細な有機物なら栄養として消化してるかも知れない。田圃は夜明けから日暮れまで一日中、日射を受け、植物プランクトンが大発生するのかと思いきや、水が緑色に染まる青水になることは無い(藻が多量に発生する田はあり)。透明感は我家の金魚の飼育水以上である。これは田に頻繁に水を入れるのが原因だが、全く存在しないというわけではなく、実際に水を汲んで凝視すると細かな浮遊物体が無数に存在し、水はうっすらと濁っている。この濁りの正体がミジンコの栄養となるのではと推測するが、顕微鏡を所有していないので、これまた、どうのこうのと語る能力は管理人には無い。田植え前に代掻きした泥の中には雑草や前年の稲の株、藁などの有機物及びそれ等が腐敗分解した物質や、人間が撒いた窒素、リン、カリウムを多く含む化学肥料などが存在する。水を張ればそれらが水中に溶け出し無数の微生物を育む。育まれた微生物はミジンコを育み、ミジンコが他の水生生物を育み、水生生物は陸上生物の糧となることで田圃の生態系が出来上がっているが、この生態系を本意ではないが維持管理しているのが人間であるというのは非常に稀な事例。

『天敵』
オタマジャクシを代表として各種多数、田圃の生物研究家ではないのでミジンコ以外の生物の食性は不明なのでリストアップは管理人には不可能。ミジンコが発生した後に続々と天敵が発生する傾向があるのは、天敵はバカではない証。共存共栄と言う風景ではなく、弱肉強食というそれは厳しい自然の掟の生存競争が繰り広げられる。もし、田圃をアフリカに例えるならばミジンコはシマウマでオタマジャクシはライオンという関係に例えることも可能だが、実際はミジンコも肉食動物とも言えるし、オタマジャクシも鳥に食われるし糞はミジンコの餌となる微生物を養うので恨みっこ無しか?。
 自然の掟である食物連鎖からノホホンと外れた生物は人類のみで、やはり人間が一番の天敵らしい(ミジンコ狩りを趣味とする管理人などは特に・・)。

『発生するミジンコの種』
 数種の存在は確認済み。ただ「銘柄を答えよ。」と問われて回答できる知識と能力は無い(顕微鏡が欲しいのー)。肉眼で見るシルエットでは丸いタマミジンコ系が多く、その他、細っそらしたケンミジンコ系も存在する。どれも透明な体で水中では白や明るい灰色に見える。一部の田圃では緑の体色に変化したミジンコが現れた。葉緑素を含む餌を多量に食べたと推測しているが解剖したわけではない。(もしミジンコを解剖できたら凄腕のシェフか、ゴッドハンドと呼ばれる外科医になれるかも?)

『採取場所・採取方法』
 ミジンコは微細な体にしては高速で移動するが、水流に逆らえる程ではないので、水を引き入れると田圃の奥へと流される。よって給水口の反対側の土手沿いが採取には効率的。採取方法は子供がオタマジャクシを取る道具と大して変わらない。台所で使う柄の付いた網目の細かいスープの灰汁掬いで水中をサーと掬えばOK(余計な生物も入る)。それをバケツに入れ持ち帰る姿も子供と大して変わらない。ちょっと異様かも知れんが・・。

mk0507tanbo3 田圃のミジンコは初期に一時的ではあるが高密度で発生する。食物連鎖とサイクルが「一時的」には確立されているのだろう。1枚の田圃で安定して採取できるのは1週間から長くて2週間程であった。これは化学的・物理的な環境悪化よりも、ミジンコを捕食する天敵生物密度が高くなり増殖サイクルのバランスを崩すことの方が原因としては大きいのでは?と推測している。『初期に一時的ではあるが高密度で発生』という秘密を解明し、ミジンコを頂点とした『食物連鎖とサイクル』を確立して、天敵も存在せずに、安定した環境を人工的な施設で再現できれば『瓢箪池式ミジンコウハウハ生産法』の完成に近づくのか?と思うこともあるが、我家の背景には広大な田園地帯があり、ここで採取すれば済む話かも?とも思う。しかし、田圃をミジンコ採取のメイングランドにするには複数の田圃を確保しなければ安定した採取は不可能だし、多量に確保したいのなら田園地帯を頻繁に彷徨うことになる。これはシンドイ仕事だし、偏屈でケチなお百姓さんには銭をせびられるかも知れないし、バケツと編目のシャモジを持って畦道を徘徊する怪しい男と気味悪がられる覚悟が必要・・しかし・・なんにしても・・いつか・・ナンキンの稚魚が我家で生まれたら腹一杯のミジンコを食わせてやりたいのである。
 稲が大きくなれば株を地中に固定するために水を張った田圃を一度干す。この時点で田圃のミジンコは全て死滅。7月末の現在、既にミジンコが採取できる田は無い。カエルになり損ねたオタマジャクシは干物となり、移動手段を持つ数少ない水生生物だけが生き延びる。
 「もはやこれまで・・」と生存環境悪化を予知し自らの運命を悟った一部のミジンコはオスを産む(普段はメスだけで繁殖)。このオスの精子が卵と結び合わされ乾燥・凍結にも耐える耐久卵(休眠卵とも言う)を産み落とす。来年に、また、田圃に水が張られるとムクムクと仔ミジンコが孵り再び復活し各種生物の糧となる。瓢箪池界隈のミジンコは数・・・・・年、この生き様を繰り返してきたに違いない。
 
『追記1』
 レンコン畑がミジンコの有望な採取場所として有名なのは、田圃より水深があり環境が安定しているし、レンコンの葉が適度に太陽の直射を遮り水温を安定させるし、水量が大きいことはミジンコを捕食する天敵密度も小さいことが理由と推測している。残念ながら我家の近くにはレンコン畑は無く、田圃以外の採取場所を求めて近所の溜め池や用水路を観察したが田圃より高い密度でミジンコが存在する場所は発見できなかった。管理人に残されたミジンコの入手方法は、田圃を駆け回るか、自家生産かの2つの選択肢しかない。次回のカテゴリー「ミジンコのこと」への投稿テーマは管理人が今年、ミジンコ自家生産に挑戦したドキュメンタリーレポート『2005年、瓢箪池水産試験場のミジンコはどうなってしまったのかっ!?』を予定。

『追記2』
何処かに夏休みの自由研究の宿題でミジンコを観察テーマにする良い子はおらんか?オイちゃんは応援するぞ!

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2005年04月21日

再びミジンコ

 昨年、一瞬ではあるが夢に見た『瓢箪池印のミジンコの乾燥休眠卵販売の事業化計画』は、ちょっと考えただけでも達成・解決すべき課題が山程あり、怠け者の管理人が企てても実りの収穫までの苦悩や疲労に耐えられる筈はなく成功の可能性は皆無に近い。『ミジンコの乾燥休眠卵販売の事業』は「暇だが執念と根性だけは誰にも負けん!」という方や組織にお譲りいたす。それでも、昨年よりは幾らか進化と深化した装備と知識でミジンコの生態について観察を深めることが今年のテーマ。個人的には道楽は気ままにやる方が楽で楽しい。しかし、そんな根性や執念とは無縁の観察でも、少しづつでも深まり進化したら10年経てば何かが起るかも知れないのである。

mzk0504tanbo そして、またまたミジンコの季節がヤッて来た。庭で咲く春の花より、田圃でミジンコを見る方が嬉しい管理人は変人の部類に入る(変態ではない)。管理人は田舎暮らしなので田圃はそこら中にある。昨年、幾つかの田圃を回りミジンコを採取した経験があり、採取量は不安定だが労働を厭わなければ、かなりの量のミジンコが手に入ることが分った。現在、2歳のナンキンも21匹おり、その気になれば今春からでも甘〜い蜜の香りするナンキンの自家繁殖にブラインシュリンプ(定番の稚魚用の餌)無しで手を染められるが、魚が増えることによる手間や気疲れ、ミジンコ採取で田圃を飛び回る疲労を伴う作業時間の捻出を考えると気が重くなるのである。金魚の繁殖には気力が湧かないくせにミジンコに対しては、こだわりを見せるのが管理人の不思議な性格・・実は昨年、臭い匂いに取り囲まれながらも、ミジンコ水槽を覗くのは池の魚以上にナカナカ楽しかったのである。水中でザワザワ蠢く姿や増殖したり消滅したりする蜃気楼の様に儚い生態に、極少数の人達ではあるがこの生物の魅力にハマるのがに良〜く解るのである。ただ管理人が純なミジンコ愛好家とは言えないのは、いつかは手を染めるナンキンの自家繁殖の日に備えて稚魚の餌となるミジンコを自宅で簡単に楽に無臭で確保するという「瓢箪池式楽陳ミジンコ繁殖法」の確立という壮大な野望が隠されているのである(壮大は言い過ぎかも知れん)。
 4月初旬に田植えが終わり水を張った近所の田圃では既にミジンコがチラホラ泳ぎ始めた。この田圃を師匠として見習い、我家でもミジンコ培養水槽を準備し、ミジンコの耐久卵(乾燥休眠卵のこと)が存在するであろう田圃の泥を培養水槽(タライ)に入れ、水を入れ、ミジンコの孵化を待つ状態。2005年ミジンコレポートはいずれまた・・。

『追記』
 実は昨年、面倒なミジンコ繁殖より、『画期的な稚魚用の人口餌の開発』を検討したことがある。サラサラした粉末や顆粒状の餌を水槽に撒けば稚魚はそれだけで大きく美しく育てば、世界の金魚業界に大貢献できるし、あわよくばビジネスになる可能性もある。しかし、その革命的人工餌の開発には稚魚を確保し生体実験を伴なった観察を続ける必要があり、想像しただけで心身が疲弊するので断念した。とりあえず断念したが諦めたわけでも忘れたわけでもないのが管理人の不思議な性格・・。

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2004年10月03日

ミジンコを制する者、繁殖を制す!

 池で金魚を飼い始めてから家族からクレームが来ることは無い。家計を破綻させるほどの出費はしないし、仕事に支障が出るほどの作業も無い。ガレージ下のランチュウのタライがちょっと邪魔と言われるぐらいか。ただ、ミジンコの培養実験には抗議が来た。臭うのである。ドブの匂いというのが一番近いだろうか。ボウフラも湧いてしまい蚊が飛ぶ。
 ミジンコについて管理人が学習したことを少しばかり・・。特筆すべき生態は「環境の良い時はメスだけで卵胎生により繁殖し、環境が悪くなるとオスが発生しメスが休眠卵という長期に渡る乾燥状態にも冬の低温にも耐える卵を生む。そして再び環境がよくなればその卵からミジンコが発生し子孫維持のサイクルを繰り返す。人類は滅んでもミジンコは永遠に不滅です。」といったところか。2004年の管理人の生まれて始めてのミジンコ飼育の様子などレポートしたい。

 実験期間は5月。環境は午前中だけ日の当る屋外の軒下、機械的なエアーレーションは無し、換水は蒸発した分を池の水で継ぎ足す。初めてのミジンコ飼育なので簡素な方法で行った。
 手順は、80リットルの容量があるプラスチック製タライに幾らか青水になった池の水を入れる。青水中の植物プランクトンがミジンコの餌になるらしい。インフゾリア(これもミジンコの餌)の発生したキャベツの葉を入れる。キャベツの葉を水に浸けて数日経つと表面がモヤモヤとした状態になり、そこにインフゾリアが発生するらしい。一握りの完熟堆肥と一握りの油粕を入れる(インフゾリア、植物プランクトンの栄養)。そして田圃で採取したミジンコを入れる。以上。
 その後の様子・・3日目あたりから少しづつ増えてゆくのが分かる・・約一週間後に増加のピークを向かえる・・この頃から水が腐臭を放ち始める・・ボウフラ、ミズミミズが発生する・・ミジンコが減少そしてほとんど居なくなる・・ミズミミズのパラダイスになる・・ここまで約4週間。以上。

「小学生でも、もっと気の利いたレポートを書くぞ!」と言われそうだが管理人は「大変良く出来ました◎」というコメントをいただくために悪臭に耐えたのではない。その究極の目標は「ミジンコの乾燥休眠卵を大量に採取する技術」である。ブラインシュリンプという孵化間もない稚魚に与える定番の餌があるがミジンコより栄養価が低くく、発生に手間暇がかかり、淡水では数時間後に死滅し飼育水を汚染する。そのうえ高価。必要は発明の母とばかりに、ある水産試験場がプラント設備のようなミジンコ製造マシンを数百万円で売り出したが、これを自分の小遣いで買えて、置き場を確保できる人は沢山はいないと思うし、このマシンが金額に見合う性能を発揮するという保証もない。もし小さな器に水を張り、ミジンコの乾燥休眠卵をパラパラと入れると数日後、大量のミジンコが湧き、その後も増殖を繰り返せば、管理人のようにささやかに自宅で淡水魚の繁殖を楽しむ者にとっては理想的な稚魚の育成システムとなると考えている。しかし・・小さな容器で大量に・・というところが非常に難しいらしい。魚以上に気難しい生物であるらしい。
 今回の実験内容は小学生以下か同等であったことは管理人も認めるが、ミジンコが魚の餌という「物体」ではなく、息もする、飯も食う、糞もする、子供もつくる我々と同じ「生物」であることを認知し、生態を理解し良い環境を提供してやることが「ミジンコ乾燥休眠卵大量採取技術」への道と理解したことが一番貴重な発見。このビッグな研究は瓢箪池の営みとは直接は関係なく、キンギョ以上の深みにハマる覚悟で取組む必要を感じるので、実験設備、内容が中学生レベルに達し、新たな発見も増えたら『ミジンコ物語』という独立したサイトの開設を検討したい。もし数十年後、ショップでミジンコ乾燥休眠卵のパッケージを見かけたらそのラベルには瓢箪印があるかも・・。野望の尽きない管理人である。
 ところで今回の実験で大量発生したミズミミズは魚の餌にならないのか?という疑問が出たのだが・・外見は赤虫やイトミミズに似ているのだが・・。ご存じの方いらっしゃらぬか?

『追記』
『ミジンコ物語』と言う新サイトの計画は面倒になり没。代わってカテゴリーに「ミジンコのこと」を追加。

3つのサイトをご紹介。
『淡水プランクトンのページ』
日本語での淡水のプランクトン関係では管理人の知りうるかぎりでは最も充実したサイト。「顕微鏡を持たざる者、プランクトンを語るな」ということを思い知らされる。リンクページも充実。管理人のプランクトン関係のブックマークのほとんどはこのリンクページからのもの。

『the Micropolitan Museum』
もしプランクトンが写真と同じサイズなら魚ではなくプランクトンを飼いたいと思わせるほど美しい写真が並ぶ。英文なので内容は不明。

『ミジンコをザクザク増やそう』
同好の志を見つけたような嬉しさがあり思わずご紹介。

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2004年09月25日

オーバーフローの落とし穴

mk0409overflow2 今年(2004年)の大きなテーマであり自然繁殖にはどうしても必要と思われた『ミジンコが自然増殖する環境の構築』は結果としては実現しなかった。あくまで「自然繁殖」にこだわる自分があって孵化した稚魚には何も与えなかった。が、稚魚の中から一匹でも秋を迎える当歳魚が出て欲しいという欲望に負けて田圃で採取したミジンコを池に投入した。この投入したミジンコが元となりその後、増殖するのではと期待したが、そういうことにもならなかった。ミジンコ投入の翌日から密度が薄くなってゆき、三日目でほとんど居なくなる。稚魚だけでなく親魚も混泳する池であるので親魚が食べた可能性もあるが、しばし池を眺めていると構造上の致命的な落とし穴を発見した。ミジンコにとっては正真正銘の落とし穴、オーバーフローパイプである。当池の様なエアーレーション設備のない溶存酸素量の少ない環境ではミジンコは水面近くを漂う。そしてオーバーフローに向かう緩やかな水流と共に流出するのである。対策として目の細かい網をパイプに巻いたのだが網にゴミが詰まり池の水位が上がるだけで流出には全く効果がない。さらなる対策としてオーバーフローから最も遠い場所でミジンコを投入する。さらなる対策としてオーバーフローする前に給水を止める。ミジンコの遊泳能力を超えない止水に近い状態でオーバーフローさせる、という気配りもしたのだが、やはり数日で居なくなった。このオーバーフローパイプだけがミジンコが増殖しない原因ではないと思うが、この問題だけでも『ミジンコが自然増殖する環境の構築』という課題が永久に解けない問題に思えてきたのである。しかし本当にミジンコが自然増殖する環境が必要で重大なことなのかと考えた場合、それほどでもないことに気付く。新しく生まれる魚は死んでゆく魚の分でいいと考えている。こんな池でも今年の初めての繁殖で30匹近くの魚が増えたのである。限られたスペースでの大量繁殖などは魚にとっても管理人にとっても迷惑なこと。
 いきなり萎んでいったテーマであるが、課題は課題として残しておいて、来年の繁殖期には必要な時に必要なだけミジンコが手に入る方策を考えてみたい。
 実は、良〜く目を凝らして池の水を覗けば小さなプランクトンらしい生物が泳いでいる。ただそれが「イカリムシ、ウオジラミでは絶対ない。」と言い切れないことがセツない。ただいま掘出し物の顕微鏡をインターネットオークションにて物色中。

seebee at 21:01|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!