2005年12月21日
菊地成孔のチアー&ジャッジ 第3回
チアーに一票(既聴)
tattaです。
菊地成孔さんのディベート手法で新曲分析、という企画に参加します
http://www.bounce.com/interview/article.php/2304/
前回、達郎の回は5BPという評価をいただきました
macで検証してなかったのですが
レイアウトが崩れていたようで、読みづらいということで2ポイントマイナスでした
知人のmacでびらいたら酷いことになってましたよ
(筆者はWin環境なのです)
そこには縦一行のテキストが・・・
よくお読みくださったものだと・・汗顔の至り
さて今回のテーマは
倖田來未 “You/Sweet Kiss”
−妖怪が日本を徘徊している エロカワという妖怪が
■ジャケット
まずCDジャケットから見ていこう。
ジャケットはCDの「顔」であるからして。
まずくぅちゃん
(彼女は自分のことを「くぅ」「くぅたん」と呼ぶ。ファンもこれに倣っ
て彼女をそう呼ぶ)
が身に纏っているのは「毛皮」。
いかにもシャーマニック。いかにもバーバリズム
モチーフはアイヌだろうか、北欧なのだろうか
官能的興奮と異国趣味的バーバリズムとダンスの結合を
avexが実現させるのかと、はや興奮が隠せません
そして右下に「01」というナンバリング。
当人のクレジットおよび曲名よりこちらのナンバーが
圧倒的に大きく記載されている
収集癖のある者には、
「ああもうどうしても12まで全部集めなきゃ」
という強迫観念を植えつけるかもしれない
12週連続リリースというセンショーナルなショウの幕開けであるからして
気合のはいったものを投入してくるだろうという予感
(12作はまだ全て完成しているわけではないらしい。
あくまでジャケットのみ)
そしてそういった期待と関係なく刻まれているのが
avex御馴染みのCCCDマーク
消費者は泥棒であるという前提にもとづく注意書き
煙草のパッケージに例をとるまでもなく
これもまたデザイナーの仕事を台無しにしてくれる
・・気を取り直して
内ジャケを開くと縦長にくぅちゃんの全身ポートレイトがあらわれる
帽子からはトナカイの角が生えている
どうやら12枚12国のファッションのうち
一発目はジャパンで始まらずアラスカだということがわかる
ポーズに着目すると
くぅちゃんのとっているポーズは変形の「シェー」にも見える
・・ひょっとしたら今回歌詞は赤塚ワールドのように難解で、
かつ突き抜けたのものなのかもしれない
また素肌に毛皮、そしてファーの靴といえば
インテリジェンスモンスター、今は亡きブルーザー・ブロディを彷彿させる
渋谷発「移民の歌」なのかもしれない。
ギャルはどこへ大移動していくのか
見ようによっては中期クリムゾンの変人パーカス、ジェイミー・ミューアをも想起させる
ははんプログレで来たか
「太陽と戦慄 パート109」か。
そして・・・
流れてきたのは、いかにもavexのサウンド、だった・・・
■サウンド
悪く言うと当たり障りのない
よくいうと冬の情景関係の冷えた恋人たちの心象をうまく重ねあわせている
まさにウインター・バラードである。
打ち込みプラス生ピアノ、ストリングス(ブラスは聴こえなかったなあ)
アコギが利いている感じもする
達者なプレイだがプレイヤーのクレジットはない。
作曲はYoko Kazuyaと菊地さんはお書きになっていたが
これは単なる誤植で「Kuzuya」がただしい。葛谷葉子。
http://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/YokoKuzuya/profile/index.htmlシンガーソングライターだが自分のアルバムはしばらく出していない
現在の活動は楽曲提供が主になっているようだ。
楽曲自体はいかにもavexという
特徴もないが不可もなく。
リフレインはいつのまにかアタマに入っていくという按配式だ
調はCマイナーかしら。あまりキーは高くなく、
おおいな跳躍といった劇的なメロの進行はない
カラオケで歌ってください、と言われているような
さて
倖田の楽曲クレジットをざっと見てみると
作家を固定していないことがわかる。(作詞は本人がメインだが)
敢えて型にはまらないという意図なのだろうか
12シングルすべて作家を変えてくるのだろうか。
ちなみに12/14発売の2発目「Birthday Eve」ではKosuke Morimotoが作家という
ことが判明している
(倖田には昨年「奇跡」という曲を提供している作家で話題の「修二と彰」にも一曲提供している)
倖田のボーカルだが、まさにIt's avexという感じ
浜崎あゆみと節回し、発声が似ている
しかし水泳の息継ぎかというくらいはっきりとマイクに捉えられた
ブレスや、かみしめるような歌い回し、ここぞという部分で
声をかすれさせるテクニックからある種の感傷が醸し出される
バラード好きの面目躍如である
(彼女は百恵、高橋真梨子、鈴木聖美が好きだそうな)
個人的にはもう一曲のほう「Sweet Kiss」のほうが好みだが
ここでは割愛する。ノリのよい楽曲である。
■クリップ
この曲のビデオクリップでは本人が演じている
中身を要約すると
ファッションデザイナーを目指す倖田と
カメラマンの塚本高史のカップルが
愛し合い、そしてだんだん離れていく。
ついに倖田は家を飛び出す。
塚本帰宅。倖田を走り追い求める。
雪は降る
クリップで特徴的なのは、映像が基本的にスローであること
これはメイキング(たまたま見た)で監督が映像美を追求したかったとのこと
(メイキングで倖田は監督にに疑問を唱えるのだが)
まあそういう作品になっている
倖田は寂しがりやの健気な女の子という役回りで
(ファーの帽子はジャケットとの暗合か?)
同世代の女性の移入を誘うであろう熱演である
けなげな女の子
ベッドシーンもあり、また心象風景として
(寂しさを表現してる?)半裸のバストショットで唄うシーンもある
「やってますね(ニヤニヤ)」
・・うーん・・いや、これらは「男性への」サービスというあざとさは感じられない
「女性に」そう、あの感じ、あの感情というリアリティを与えている。
(ちなみにこのクリップはちょっと変わった形での続きものとなっている。)
■影響と共感
彼女は公式サイトでクリスティーナ・アギレラが好きだと書いている
そこでアギレラの「My Reflection」というDVDを見てみる
アギレラ初のコンサート・ビデオでABCのクリスマス特番だったものだ
アギレラはヒットチューンと並んで
フリーの「All Right Now」やEtta Jamesの 「At Last」などをカバーし
ブライアン・マックナイト、ドクタージョンと共演もしている
歌唱力はすばらしくただのアイドルではないことを見せ付けている
面白かったのは「What a Girl Wants」のMCで
「男の子が欲しいものを歌う曲は多いけど、これは女の子の曲」
と言うとギャルたち(若干大味)が総立ちで「イエーーー!!」
「これは女の子に新しい強さと自信を与えた曲なの」
「でもその女の子たちに力づけられてもいるの」
うわあ、同性殺しだな
同世代の同性と同じ視点、同じ恋。
アギレラは気のつく頑張りやさん
「家族やスタッフは大事にしているわ」
アギレラは親しみの湧くステキなアイドル。
---アタシもああなりたい・・。
倖田も同じスタンスのようだ
インタビューでこう語っている
「女のコに認められたいんです。同性に認めてもらえるアーティストになりたい。女のコが
「カッコよくてエッチ!」って思う写真を選びたいんですよね。
男のコに「萌え」ってされるんじゃなく、カッコいい女性でありたい。」
萌え、はないと思うが(笑)
また「Hot Stuff feat.KM-MARKIT」については
「『いくぞー!女について来い!この世の中も女のものなんだ!』みたいなノリを伝えたかったんですよね。」
まさに先のアギレラの如し、である
倖田の対象は1に女性、とみるべきである。
女性誌の掲載も多い
『S Cawaii』 表紙
『VOCE』
『with』
『Popteen』
今やファッションリーダー、オピニオンリーダーとして認められていると言ってよい
「倖田嬢の作り方」とコーディネイト、メイクを解説したものもあるそうな
彼女は
「くぅたん」「くぅちゃん」(プライベート、共感の対象)
と
「倖田來未」(エロかっこいい。オフィシャル。憧れの対象)
をうまく融合させている
本人いわく『You』が12曲中一番お気に入り(バラードだから)だそうで
これは「倖田來未」と「くぅちゃん」の融合体だと言っている
恋をする「くぅちゃん」の心のなかを「倖田來未」が詞にしているのだ
■エロカワ、エロかっこいい
倖田のたたずまいは「エロカワ」「エロかっこいい」と
プラスで評価されている
東京・渋谷のハチ公前とSHIBUYA TSUTAYAのイベントで
「男を落とすためのエロではなく、女性からかっこいいと言ってもらえるようなエロ」
と定義し、「女の子はダイヤモンドの原石。彼氏が悪かったらボロボロになる。原石を光
らせてくれる男性に巡り合えるようになってほしい」
恋愛至上主義、なのである
同時に「みなさんもぜひもっと女性ホルモンを活発にさせて頂きたい」
とも言っている
「みなさん」とは(当たり前だが)女性なのである
■ギャルへの訴求
80年代、ナオミ・キャンベルやデスティニーズ・チャイルド、TLC
といったヒップホップ的ファッションがギャル(当時はコギャル)にとり入れられ
安室の登場によりブレイクスルーを迎えた。
そのころから今に至るまで渋谷109は聖地として健在である
さて今やコギャルは死語となり
その年齢にあたる女の子は「ギャル」を自称している
ギャルの低年齢化である
ただ先に倖田が表紙を飾った『S Cawaii』はこういう雑誌だそうな
「大人系ギャルを極めるステイタスマガジン
「Cawaii!」を卒業した、短大・専門学校生やフリーターなど、“大人
系ギャル”のための新・ファッションバイブル。 」
細分化されているのである。
高校生とは同じにされたくないのである。
倖田はちょうどこの層にいちばんヒットしているのではないかと考える
(もちろん高校生にも共感を得ているだろうが)
■avexの名の下に
今や倖田は大塚愛と並んでavexの稼ぎ頭となりつつある
avexはもともと輸入レコードの卸からスタートしたのだった。
今や「我が国唯一の、純粋な音楽会社として上場している
エイベックス・エンタテインメント」と菊地さんは書いてらっしゃるが
上場しているのはエイベックス・グループHD(株)で
これは持ち株会社ですな
さて、実績を絡めれば依然浜崎が女王ではあるのだが
勢いは冒頭の二人のほうがあるように見える
なにしろ女性でアルバム、シングル共に1位というのは
本年倖田だけが成しえたことである(現時点において)
とはいえ彼女も長い雌伏のときがあったのだ
「デビュー当時には、「エイベックスに入れば売れる!」
っていう根拠のない自信もありました(笑)。
たとえば大手企業とのタイアップとか、
ビッグなチャンスをいただく機会もあったんですけど、
うまくいかなくて、何度もやめようと思ったし、
倖田來未をいつまで続けようか、ってことばかり考えてました。」
ちなみに倖田來未は芸名で本名は神田 來未子(こうだ くみこ)。
倖田って芸名はすごいですな。
僥倖の「倖」ですよ。
「思いがけない幸運」ですからね・・・言いえて妙な。
「FINAL FANTASY X-2」のテーマソングとなった
『real Emotion / 1000の言葉』がヒットしたのだが
もしこれがダメだったらあきらめていたという
avexに在籍することでお得意のタイアップというものが用意されるのだが
それはとても大きなプレッシャーでもあるわけですね
しかし彼女はそれ以降、あまりメディアの露出をすることなく
2ndアルバムを好セールスに導く
このことは彼女に自信を与えたようだ。
歌の実力で勝ち取った好セールス、という自信
■頑張りや、そしてセルフプロデュース
下積みがあっての今、ということを彼女はよく口にする
もともと浅ヤン「モーニング娘。追加メンバーオーディション」で
後藤真希とその座を争ったわけだが
同時に行われていたavexのオーディションで準グランプリを受賞しデビューとなる。
ただその後デビューまでに時間がかかり、またヒットまでも時間がかかったのだ
デビュー後しばらくクラブで歌っていたということで
まあ飲みの場だから聴かない客もいる
ここで鍛えられたという(ハスキーな声もここが出自か)
まるでキャバレー、ストリップ小屋を経た芸人の立志伝のようだ
(cf.てんぷくトリオ、談志、たけし。女性歌手でキャバレー回りをしたひとも多数だが、一人挙げると、それがためになったと公言している夏木マリ)
そういった下積みを経て、積極的に制作にかかわるようになる
3rdアルバムから彼女はプロデューサーとサウンドについて
ディスカッションするようになり
10th Single『Crazy 4 U』くらいからビジュアル面に
積極的に意見を出していったとのことだ
先に出た今回のPVでも監督との応酬があった
TVKのavexチャンネルというので丁度撮影の模様が出ていたのだが
(5日間でPV4本撮り!)
今回のスローを使った映像に対し
「なんか綺麗事になってる感じがするなあ」
と監督に疑問を投げかけている。
またOKだったシーンでも納得いかず再テイクを申し出ている
自我の肥大?
いや彼女は自分に自信を持っているし
支持者も確実に増えてきている。
セールスにも結果が出ている
クラブのママ、100人倖田嬢、12週シングル
と新奇な企画をつぎつぎに打ち出している
女性へのエールと並んで彼女が重点を置いているのは
「ヒトとはちがったことをしたい!」
である。
今後も関西ノリでバリバリ仕事をこなし
われわれを驚かせてくれるに違いない
■今後
小柳ゆき、SILVAといった先達(ソウルエロ姉さん)をすでに超えた感あり
さて紅白でその意志は貫けるか、というのが短期での興味
長期では海外への本格再出陣を期待したいところである
■チアーの理由
痛ましい事件などを鑑み
ロリへのカウンターとしてのエロカワ、を支持したい
成熟したエロ、が世の男性に求心力を持つことを期待したい
倖田の女性に向けた「恋愛へのチアー」をチアーしたい
ビバ恋愛ですよ。
おこぼれ頂戴。
男たちよ!女たちよ!求愛のダンスを踊ろう
(あと内ジャケのスカートがチアーガールぽかったんだもん)
tattaです。
菊地成孔さんのディベート手法で新曲分析、という企画に参加します
http://www.bounce.com/interview/article.php/2304/
前回、達郎の回は5BPという評価をいただきました
macで検証してなかったのですが
レイアウトが崩れていたようで、読みづらいということで2ポイントマイナスでした
知人のmacでびらいたら酷いことになってましたよ
(筆者はWin環境なのです)
そこには縦一行のテキストが・・・
よくお読みくださったものだと・・汗顔の至り
さて今回のテーマは
倖田來未 “You/Sweet Kiss”
−妖怪が日本を徘徊している エロカワという妖怪が
■ジャケット
まずCDジャケットから見ていこう。
ジャケットはCDの「顔」であるからして。
まずくぅちゃん
(彼女は自分のことを「くぅ」「くぅたん」と呼ぶ。ファンもこれに倣っ
て彼女をそう呼ぶ)
が身に纏っているのは「毛皮」。
いかにもシャーマニック。いかにもバーバリズム
モチーフはアイヌだろうか、北欧なのだろうか
官能的興奮と異国趣味的バーバリズムとダンスの結合を
avexが実現させるのかと、はや興奮が隠せません
そして右下に「01」というナンバリング。
当人のクレジットおよび曲名よりこちらのナンバーが
圧倒的に大きく記載されている
収集癖のある者には、
「ああもうどうしても12まで全部集めなきゃ」
という強迫観念を植えつけるかもしれない
12週連続リリースというセンショーナルなショウの幕開けであるからして
気合のはいったものを投入してくるだろうという予感
(12作はまだ全て完成しているわけではないらしい。
あくまでジャケットのみ)
そしてそういった期待と関係なく刻まれているのが
avex御馴染みのCCCDマーク
消費者は泥棒であるという前提にもとづく注意書き
煙草のパッケージに例をとるまでもなく
これもまたデザイナーの仕事を台無しにしてくれる
・・気を取り直して
内ジャケを開くと縦長にくぅちゃんの全身ポートレイトがあらわれる
帽子からはトナカイの角が生えている
どうやら12枚12国のファッションのうち
一発目はジャパンで始まらずアラスカだということがわかる
ポーズに着目すると
くぅちゃんのとっているポーズは変形の「シェー」にも見える
・・ひょっとしたら今回歌詞は赤塚ワールドのように難解で、
かつ突き抜けたのものなのかもしれない
また素肌に毛皮、そしてファーの靴といえば
インテリジェンスモンスター、今は亡きブルーザー・ブロディを彷彿させる
渋谷発「移民の歌」なのかもしれない。
ギャルはどこへ大移動していくのか
見ようによっては中期クリムゾンの変人パーカス、ジェイミー・ミューアをも想起させる
ははんプログレで来たか
「太陽と戦慄 パート109」か。
そして・・・
流れてきたのは、いかにもavexのサウンド、だった・・・
■サウンド
悪く言うと当たり障りのない
よくいうと冬の情景関係の冷えた恋人たちの心象をうまく重ねあわせている
まさにウインター・バラードである。
打ち込みプラス生ピアノ、ストリングス(ブラスは聴こえなかったなあ)
アコギが利いている感じもする
達者なプレイだがプレイヤーのクレジットはない。
作曲はYoko Kazuyaと菊地さんはお書きになっていたが
これは単なる誤植で「Kuzuya」がただしい。葛谷葉子。
http://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/YokoKuzuya/profile/index.htmlシンガーソングライターだが自分のアルバムはしばらく出していない
現在の活動は楽曲提供が主になっているようだ。
楽曲自体はいかにもavexという
特徴もないが不可もなく。
リフレインはいつのまにかアタマに入っていくという按配式だ
調はCマイナーかしら。あまりキーは高くなく、
おおいな跳躍といった劇的なメロの進行はない
カラオケで歌ってください、と言われているような
さて
倖田の楽曲クレジットをざっと見てみると
作家を固定していないことがわかる。(作詞は本人がメインだが)
敢えて型にはまらないという意図なのだろうか
12シングルすべて作家を変えてくるのだろうか。
ちなみに12/14発売の2発目「Birthday Eve」ではKosuke Morimotoが作家という
ことが判明している
(倖田には昨年「奇跡」という曲を提供している作家で話題の「修二と彰」にも一曲提供している)
倖田のボーカルだが、まさにIt's avexという感じ
浜崎あゆみと節回し、発声が似ている
しかし水泳の息継ぎかというくらいはっきりとマイクに捉えられた
ブレスや、かみしめるような歌い回し、ここぞという部分で
声をかすれさせるテクニックからある種の感傷が醸し出される
バラード好きの面目躍如である
(彼女は百恵、高橋真梨子、鈴木聖美が好きだそうな)
個人的にはもう一曲のほう「Sweet Kiss」のほうが好みだが
ここでは割愛する。ノリのよい楽曲である。
■クリップ
この曲のビデオクリップでは本人が演じている
中身を要約すると
ファッションデザイナーを目指す倖田と
カメラマンの塚本高史のカップルが
愛し合い、そしてだんだん離れていく。
ついに倖田は家を飛び出す。
塚本帰宅。倖田を走り追い求める。
雪は降る
クリップで特徴的なのは、映像が基本的にスローであること
これはメイキング(たまたま見た)で監督が映像美を追求したかったとのこと
(メイキングで倖田は監督にに疑問を唱えるのだが)
まあそういう作品になっている
倖田は寂しがりやの健気な女の子という役回りで
(ファーの帽子はジャケットとの暗合か?)
同世代の女性の移入を誘うであろう熱演である
けなげな女の子
ベッドシーンもあり、また心象風景として
(寂しさを表現してる?)半裸のバストショットで唄うシーンもある
「やってますね(ニヤニヤ)」
・・うーん・・いや、これらは「男性への」サービスというあざとさは感じられない
「女性に」そう、あの感じ、あの感情というリアリティを与えている。
(ちなみにこのクリップはちょっと変わった形での続きものとなっている。)
■影響と共感
彼女は公式サイトでクリスティーナ・アギレラが好きだと書いている
そこでアギレラの「My Reflection」というDVDを見てみる
アギレラ初のコンサート・ビデオでABCのクリスマス特番だったものだ
アギレラはヒットチューンと並んで
フリーの「All Right Now」やEtta Jamesの 「At Last」などをカバーし
ブライアン・マックナイト、ドクタージョンと共演もしている
歌唱力はすばらしくただのアイドルではないことを見せ付けている
面白かったのは「What a Girl Wants」のMCで
「男の子が欲しいものを歌う曲は多いけど、これは女の子の曲」
と言うとギャルたち(若干大味)が総立ちで「イエーーー!!」
「これは女の子に新しい強さと自信を与えた曲なの」
「でもその女の子たちに力づけられてもいるの」
うわあ、同性殺しだな
同世代の同性と同じ視点、同じ恋。
アギレラは気のつく頑張りやさん
「家族やスタッフは大事にしているわ」
アギレラは親しみの湧くステキなアイドル。
---アタシもああなりたい・・。
倖田も同じスタンスのようだ
インタビューでこう語っている
「女のコに認められたいんです。同性に認めてもらえるアーティストになりたい。女のコが
「カッコよくてエッチ!」って思う写真を選びたいんですよね。
男のコに「萌え」ってされるんじゃなく、カッコいい女性でありたい。」
萌え、はないと思うが(笑)
また「Hot Stuff feat.KM-MARKIT」については
「『いくぞー!女について来い!この世の中も女のものなんだ!』みたいなノリを伝えたかったんですよね。」
まさに先のアギレラの如し、である
倖田の対象は1に女性、とみるべきである。
女性誌の掲載も多い
『S Cawaii』 表紙
『VOCE』
『with』
『Popteen』
今やファッションリーダー、オピニオンリーダーとして認められていると言ってよい
「倖田嬢の作り方」とコーディネイト、メイクを解説したものもあるそうな
彼女は
「くぅたん」「くぅちゃん」(プライベート、共感の対象)
と
「倖田來未」(エロかっこいい。オフィシャル。憧れの対象)
をうまく融合させている
本人いわく『You』が12曲中一番お気に入り(バラードだから)だそうで
これは「倖田來未」と「くぅちゃん」の融合体だと言っている
恋をする「くぅちゃん」の心のなかを「倖田來未」が詞にしているのだ
■エロカワ、エロかっこいい
倖田のたたずまいは「エロカワ」「エロかっこいい」と
プラスで評価されている
東京・渋谷のハチ公前とSHIBUYA TSUTAYAのイベントで
「男を落とすためのエロではなく、女性からかっこいいと言ってもらえるようなエロ」
と定義し、「女の子はダイヤモンドの原石。彼氏が悪かったらボロボロになる。原石を光
らせてくれる男性に巡り合えるようになってほしい」
恋愛至上主義、なのである
同時に「みなさんもぜひもっと女性ホルモンを活発にさせて頂きたい」
とも言っている
「みなさん」とは(当たり前だが)女性なのである
■ギャルへの訴求
80年代、ナオミ・キャンベルやデスティニーズ・チャイルド、TLC
といったヒップホップ的ファッションがギャル(当時はコギャル)にとり入れられ
安室の登場によりブレイクスルーを迎えた。
そのころから今に至るまで渋谷109は聖地として健在である
さて今やコギャルは死語となり
その年齢にあたる女の子は「ギャル」を自称している
ギャルの低年齢化である
ただ先に倖田が表紙を飾った『S Cawaii』はこういう雑誌だそうな
「大人系ギャルを極めるステイタスマガジン
「Cawaii!」を卒業した、短大・専門学校生やフリーターなど、“大人
系ギャル”のための新・ファッションバイブル。 」
細分化されているのである。
高校生とは同じにされたくないのである。
倖田はちょうどこの層にいちばんヒットしているのではないかと考える
(もちろん高校生にも共感を得ているだろうが)
■avexの名の下に
今や倖田は大塚愛と並んでavexの稼ぎ頭となりつつある
avexはもともと輸入レコードの卸からスタートしたのだった。
今や「我が国唯一の、純粋な音楽会社として上場している
エイベックス・エンタテインメント」と菊地さんは書いてらっしゃるが
上場しているのはエイベックス・グループHD(株)で
これは持ち株会社ですな
さて、実績を絡めれば依然浜崎が女王ではあるのだが
勢いは冒頭の二人のほうがあるように見える
なにしろ女性でアルバム、シングル共に1位というのは
本年倖田だけが成しえたことである(現時点において)
とはいえ彼女も長い雌伏のときがあったのだ
「デビュー当時には、「エイベックスに入れば売れる!」
っていう根拠のない自信もありました(笑)。
たとえば大手企業とのタイアップとか、
ビッグなチャンスをいただく機会もあったんですけど、
うまくいかなくて、何度もやめようと思ったし、
倖田來未をいつまで続けようか、ってことばかり考えてました。」
ちなみに倖田來未は芸名で本名は神田 來未子(こうだ くみこ)。
倖田って芸名はすごいですな。
僥倖の「倖」ですよ。
「思いがけない幸運」ですからね・・・言いえて妙な。
「FINAL FANTASY X-2」のテーマソングとなった
『real Emotion / 1000の言葉』がヒットしたのだが
もしこれがダメだったらあきらめていたという
avexに在籍することでお得意のタイアップというものが用意されるのだが
それはとても大きなプレッシャーでもあるわけですね
しかし彼女はそれ以降、あまりメディアの露出をすることなく
2ndアルバムを好セールスに導く
このことは彼女に自信を与えたようだ。
歌の実力で勝ち取った好セールス、という自信
■頑張りや、そしてセルフプロデュース
下積みがあっての今、ということを彼女はよく口にする
もともと浅ヤン「モーニング娘。追加メンバーオーディション」で
後藤真希とその座を争ったわけだが
同時に行われていたavexのオーディションで準グランプリを受賞しデビューとなる。
ただその後デビューまでに時間がかかり、またヒットまでも時間がかかったのだ
デビュー後しばらくクラブで歌っていたということで
まあ飲みの場だから聴かない客もいる
ここで鍛えられたという(ハスキーな声もここが出自か)
まるでキャバレー、ストリップ小屋を経た芸人の立志伝のようだ
(cf.てんぷくトリオ、談志、たけし。女性歌手でキャバレー回りをしたひとも多数だが、一人挙げると、それがためになったと公言している夏木マリ)
そういった下積みを経て、積極的に制作にかかわるようになる
3rdアルバムから彼女はプロデューサーとサウンドについて
ディスカッションするようになり
10th Single『Crazy 4 U』くらいからビジュアル面に
積極的に意見を出していったとのことだ
先に出た今回のPVでも監督との応酬があった
TVKのavexチャンネルというので丁度撮影の模様が出ていたのだが
(5日間でPV4本撮り!)
今回のスローを使った映像に対し
「なんか綺麗事になってる感じがするなあ」
と監督に疑問を投げかけている。
またOKだったシーンでも納得いかず再テイクを申し出ている
自我の肥大?
いや彼女は自分に自信を持っているし
支持者も確実に増えてきている。
セールスにも結果が出ている
クラブのママ、100人倖田嬢、12週シングル
と新奇な企画をつぎつぎに打ち出している
女性へのエールと並んで彼女が重点を置いているのは
「ヒトとはちがったことをしたい!」
である。
今後も関西ノリでバリバリ仕事をこなし
われわれを驚かせてくれるに違いない
■今後
小柳ゆき、SILVAといった先達(ソウルエロ姉さん)をすでに超えた感あり
さて紅白でその意志は貫けるか、というのが短期での興味
長期では海外への本格再出陣を期待したいところである
■チアーの理由
痛ましい事件などを鑑み
ロリへのカウンターとしてのエロカワ、を支持したい
成熟したエロ、が世の男性に求心力を持つことを期待したい
倖田の女性に向けた「恋愛へのチアー」をチアーしたい
ビバ恋愛ですよ。
おこぼれ頂戴。
男たちよ!女たちよ!求愛のダンスを踊ろう
(あと内ジャケのスカートがチアーガールぽかったんだもん)
2005年11月17日
「菊地成孔のチアー&ジャッジ」第2回目
ジャッジに一票(既聴)
tattaです。
菊地成孔さんのディベート手法で新曲分析、という企画に参加してみます
http://bounce.com/interview/article.php/2237/
今回のお題は山下達郎の“白いアンブレラ/ラッキー・ガールに花束を”
なにせ山下達郎ですよ。わたしでも何かを語れそうな気なして。
「僕の中の少年」(88年)くらいから都度新作は気にしており
またシュガーベイブや過去にさかのぼって音源を聴いてきた。
■録音の変化を聴く
今回山下達郎は苛立っている。
録音機材の移行によりいままでのマイクが使えず、
歌唱法も変えたという。
歌と演奏がうまく溶け合わないという。
たとえば98年の「ヘロン」のような厚みは出せないと
そしてプロ・ツールス録音
さっそくシングル“白いアンブレラ/ラッキー・ガールに花束を”
聴いてみる
まず「白いアンブレラ」
う、音がワレテイル?まさか。
低音のバリサクやバストロンボーンとブラシの混ざり具合の
按配でそう聴こえるのかな。
ブラシは達郎が叩いているそうな
それにしても歌と演奏が・・溶け合ってないなあ
なんかボーカルが分離している感じ
「ラッキーガールに花束を」
コンピュータによるドラムとベース。
好みでいえば好きではない。
しかしこれはもう「POCKETMUSIC」(86年)からの問題で
いまさらのことではある。
あの頃も達郎は苦心していた。
また受け止める方も賛否両論あったと記憶している。
今回ボーナスで収められた「風の回廊」は
奇しくもその「POCKETMUSIC」に収録されていた曲だ
「POCKETMUSIC」はデジタル化の大波に
デジタルでもアナログの音を出そうと苦心したのだが
今回の大波については柳のように身をまかせ
そのなかで最善を・・というやりかたをしたという
それにしても
達郎の情報量の多いボーカルに現状のコンピュータの音では
拮抗できないのではないだろうか
情報量というのは彼の声の倍音成分だとか
節回しとかフェイクとか
あの独特のドイツ語のようにタンを切るような発声とか
そういうことを指しておりますです
サワリというかテクノイズというか・・
そういうものはコンピュータの音の側にはあまりない
比較として挙がった「ヘロン」を聴く(「COZY」(98年))
ボーカルは演奏に溶け合っていて、のびやかに感じる
達郎を聴く「醍醐味」というのは、この乗った感じのボーカルの
快楽をたのしむという部分が大きいのではないか
今回の録音にはそういうカタルシスがない
■「偉人」に向かう達郎?
菊地さんが、
達郎の成し遂げて来たことと今後の展望から
デューク・エリントンに比肩する存在になりうるのではと
書いておられたが、ちょっと首をかしげてしまう
達郎が自分のバンドを組んでない、などということではなく
達郎には父性を感じないという点で違和感を覚えるのだと思う
エリントンは黒人ミュージシャンの偉大なパパであり
畏敬を持って誰もが称える、そんな存在だったと思うのだが
さて達郎については・・そもそも本人がそういう存在になりたがっていない
またドメスティック志向の達郎とちがって
エリントンはコスモポリタン志向だったのではないだろうか
かれのエキゾチックな楽曲の数々は大バコで奏でられ、
コスモポリタン的状況がそこにあったように思える
■どのように聴かれてきたのか
30年。なにしろ長い。
シュガーベイブ
フォーク全盛のなかでああいう音楽をやるというのは
かえって過激だったのではないか
石を投げられたという時代
アメリカンポップス好きの好事家のみにその存在を
知られていた時代。
それからソロで
吉田美奈子とファンキーなナンバーを繰り出し
ライブでガンガン踊れる時代
ファンクで洒落たイメージ
ライブは六本木ピットインなど
そして大ヒット「RIDE ON TIME」(80年)
そして「FOR YOU」(82年)。
時代と寝た、という言葉が相応しい
アウトドア志向の楽曲。
ひとりで、または恋人と車中でテープで聴く。
「夏だ!海だ!達郎だ!」のイメージ
「シティ・ポップ」というカテゴライズ。
ライブは中野サンプラザ規模となりバリバリこなす
それから内省的な作品がつづく
ポップ職人というイメージで捉えられ
リリース間隔は数年間隔となっていく
ライブも減っていく
クリスマスソングの定番として「クリスマスイブ」が定着する
メディアは82年以降レコードからCDへの移行があった
レコーディングとしてはMIDIの登場、デジタル化
というのがあり、「POCKET MUSIC」で苦心したというのは前述した
さて
今回のシングルはどういう層が購入するのだろう
既存達郎ファンは買うのだろうか?
それこそ
>二重にエゲツない〈商魂(ライブ・ヴァージョンの1曲のために、
このアイテムを買わなくてはいけない)
と菊地さんの言うとおりで・・。
とはいえマニアックなファンが多いから
それなりに売れもするだろう
それにしても
新規参入で今回の音源から達郎に入っていく、
という購買層の顔が見えない
「ポワロ&マープルのOPで聴いてよかった」
という理由で購買したひとはどれくらいいるのだろう
集計があれば見てみたいものだ
残念ながらこの音源には「今の空気」を感じられない
“RIDE ON TIME”できていない達郎
(それはまるで紙プロの表紙で「RIDE ON TARZAN」
と達郎の真似をしたターザン山本くらいイケてない。笑えたけど)
皮肉にもプロツールスの音はJ-POPの王道で
「今の空気」ではあるのだが・・
達郎は誰に向けて、どう聴かれることを考えているのだろうか
報道資料として配られた「SONORITE」の自薦文はこう締めくくられているそうな
「なるべくおひとりで、ヘッドフォンでお聞きいただければと存じます」
あたかも神の前にひとり立つもの、のように。
この踏み絵の前に信者は懊悩するのだ。
というわけでジャッジに
tattaです。
菊地成孔さんのディベート手法で新曲分析、という企画に参加してみます
http://bounce.com/interview/article.php/2237/
今回のお題は山下達郎の“白いアンブレラ/ラッキー・ガールに花束を”
なにせ山下達郎ですよ。わたしでも何かを語れそうな気なして。
「僕の中の少年」(88年)くらいから都度新作は気にしており
またシュガーベイブや過去にさかのぼって音源を聴いてきた。
■録音の変化を聴く
今回山下達郎は苛立っている。
録音機材の移行によりいままでのマイクが使えず、
歌唱法も変えたという。
歌と演奏がうまく溶け合わないという。
たとえば98年の「ヘロン」のような厚みは出せないと
そしてプロ・ツールス録音
さっそくシングル“白いアンブレラ/ラッキー・ガールに花束を”
聴いてみる
まず「白いアンブレラ」
う、音がワレテイル?まさか。
低音のバリサクやバストロンボーンとブラシの混ざり具合の
按配でそう聴こえるのかな。
ブラシは達郎が叩いているそうな
それにしても歌と演奏が・・溶け合ってないなあ
なんかボーカルが分離している感じ
「ラッキーガールに花束を」
コンピュータによるドラムとベース。
好みでいえば好きではない。
しかしこれはもう「POCKETMUSIC」(86年)からの問題で
いまさらのことではある。
あの頃も達郎は苦心していた。
また受け止める方も賛否両論あったと記憶している。
今回ボーナスで収められた「風の回廊」は
奇しくもその「POCKETMUSIC」に収録されていた曲だ
「POCKETMUSIC」はデジタル化の大波に
デジタルでもアナログの音を出そうと苦心したのだが
今回の大波については柳のように身をまかせ
そのなかで最善を・・というやりかたをしたという
それにしても
達郎の情報量の多いボーカルに現状のコンピュータの音では
拮抗できないのではないだろうか
情報量というのは彼の声の倍音成分だとか
節回しとかフェイクとか
あの独特のドイツ語のようにタンを切るような発声とか
そういうことを指しておりますです
サワリというかテクノイズというか・・
そういうものはコンピュータの音の側にはあまりない
比較として挙がった「ヘロン」を聴く(「COZY」(98年))
ボーカルは演奏に溶け合っていて、のびやかに感じる
達郎を聴く「醍醐味」というのは、この乗った感じのボーカルの
快楽をたのしむという部分が大きいのではないか
今回の録音にはそういうカタルシスがない
■「偉人」に向かう達郎?
菊地さんが、
達郎の成し遂げて来たことと今後の展望から
デューク・エリントンに比肩する存在になりうるのではと
書いておられたが、ちょっと首をかしげてしまう
達郎が自分のバンドを組んでない、などということではなく
達郎には父性を感じないという点で違和感を覚えるのだと思う
エリントンは黒人ミュージシャンの偉大なパパであり
畏敬を持って誰もが称える、そんな存在だったと思うのだが
さて達郎については・・そもそも本人がそういう存在になりたがっていない
またドメスティック志向の達郎とちがって
エリントンはコスモポリタン志向だったのではないだろうか
かれのエキゾチックな楽曲の数々は大バコで奏でられ、
コスモポリタン的状況がそこにあったように思える
■どのように聴かれてきたのか
30年。なにしろ長い。
シュガーベイブ
フォーク全盛のなかでああいう音楽をやるというのは
かえって過激だったのではないか
石を投げられたという時代
アメリカンポップス好きの好事家のみにその存在を
知られていた時代。
それからソロで
吉田美奈子とファンキーなナンバーを繰り出し
ライブでガンガン踊れる時代
ファンクで洒落たイメージ
ライブは六本木ピットインなど
そして大ヒット「RIDE ON TIME」(80年)
そして「FOR YOU」(82年)。
時代と寝た、という言葉が相応しい
アウトドア志向の楽曲。
ひとりで、または恋人と車中でテープで聴く。
「夏だ!海だ!達郎だ!」のイメージ
「シティ・ポップ」というカテゴライズ。
ライブは中野サンプラザ規模となりバリバリこなす
それから内省的な作品がつづく
ポップ職人というイメージで捉えられ
リリース間隔は数年間隔となっていく
ライブも減っていく
クリスマスソングの定番として「クリスマスイブ」が定着する
メディアは82年以降レコードからCDへの移行があった
レコーディングとしてはMIDIの登場、デジタル化
というのがあり、「POCKET MUSIC」で苦心したというのは前述した
さて
今回のシングルはどういう層が購入するのだろう
既存達郎ファンは買うのだろうか?
それこそ
>二重にエゲツない〈商魂(ライブ・ヴァージョンの1曲のために、
このアイテムを買わなくてはいけない)
と菊地さんの言うとおりで・・。
とはいえマニアックなファンが多いから
それなりに売れもするだろう
それにしても
新規参入で今回の音源から達郎に入っていく、
という購買層の顔が見えない
「ポワロ&マープルのOPで聴いてよかった」
という理由で購買したひとはどれくらいいるのだろう
集計があれば見てみたいものだ
残念ながらこの音源には「今の空気」を感じられない
“RIDE ON TIME”できていない達郎
(それはまるで紙プロの表紙で「RIDE ON TARZAN」
と達郎の真似をしたターザン山本くらいイケてない。笑えたけど)
皮肉にもプロツールスの音はJ-POPの王道で
「今の空気」ではあるのだが・・
達郎は誰に向けて、どう聴かれることを考えているのだろうか
報道資料として配られた「SONORITE」の自薦文はこう締めくくられているそうな
「なるべくおひとりで、ヘッドフォンでお聞きいただければと存じます」
あたかも神の前にひとり立つもの、のように。
この踏み絵の前に信者は懊悩するのだ。
というわけでジャッジに