毎日のように返却されてくる書物たちを、元の位置に正確に戻す作業の最中、手に取ったはずの本が下に落ちていく。
 しまった――――。
 そう思って本を追いかけて僕も手を伸ばす。そうすると当然バランスは崩れ、僕は脚立から本と仲良く落下する。
 しまった――――。
  二回目にそう思うと、重力に従って僕は落ち、ガタついた脚立が書棚を攻撃し更に本が落ちてくる。

 ドッサアアアアアアァァァァ…………。

 「…………はぁ」
 大量の本の中に埋もれながら嘆息する。
 この図書館に就いてから半年近くが経つというのに、何故こうも変われないのだろうか。と。
  そうは考えつつも、この埋もれた状況から脱出すべく右腕を上へと、本を探りながら外へと出す。
「 サガラ、君はまた何をしているんだい」
  元々、そして重なり合った本によって大分聞き取りにくかったが、どうやらこの惨状を察知した僕の上司に当たるネロの声がどうにか聞こえる。
「すいません。またやりました」
「そう、かっ」
  ネロに出ていた右手を掴んで引張ってもらい、脱出完了。
「それは実に、潔い申し出だな。サガラ」
 当たり前だが、助けられ引っ張り出されたということは、ネロが目の前に 居る訳で…………。
 こうも広範囲の蔵書倒壊事故を起こしている逃げることも出来る
「いやいや。ほら、落としたのもたまたまじゃないですか、ねぇ」
「たまたま、か。君の思考では三日に一回、いや二日に一回の程度で本をこんなに、書棚六区域分の倒壊を起こすのを、「たまたま」で済ますのか」