トップページ » 過去が苛む

過去が苛む




愚か者の祈り(book)
ヒラリー・ウォー 沢万里子訳 
東京創元社(創元推理文庫) 2005年

原作1954年刊。改訳ですね。もとのままでも差し支えなかったような気もしますが、何はともあれ、最近絶版だった名作が次々に再版されているのはありがたいことです。ミソもクソも文庫本のサイクルに流されて、あっという間に書店から姿を消すのはおかしいですよ。ドイルやクリスティー以外にもいい本はたくさんあります。息長く売ってもらいたいものです。

郊外ののどかな住宅地で、無残に顔を潰され、切り刻まれた惨殺死体が発見され、町は大騒ぎに。
被害者の若い女の身元は杳として分からず、犯人についても決め手となる手がかりは見つからず、捜査は遅々として進まない。手詰まりになったダナハー警部は、部下のマロイのアイデアを採用し、被害者の頭部の復元に踏み切った。やがてマロイの苦心の「作品」が完成、顔を取り戻した被害者の転落の人生が浮かび上がる。

巻末解説によると、作者ウォーは警察小説と一般中流家庭の「御近所の犯罪」物の草分けだそうです。ワーカホリックの上司と真面目な若い部下という設定も、今やフロスト警部シリーズなどでおなじみですが、この人が始めたのですね。
無残な殺人事件の捜査を主軸に、伝統のドブ板・積み上げ型捜査に固執する口の悪いダナハーと、頭が良くて柔軟なマロイの軽妙なやり取りに、事件を選挙に利用しようとたくらむ、バカで目立ちたがりの市長がからんで、ストーリーテリングもなかなか。危うく徹夜になるところでした。
推理物を夜読み始めるのは、危険ですね。




トラックバックURL
コメント
1. Posted by BlogPetのありす   2005年08月19日 10:47
東京でヒラリーなどをウォーされたみたい。


コメントを書く




情報を記憶: 評価:  顔   星