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バカにつける薬




ブレイン・ドラッグ(book)
アラン・グリン 田村義進訳
文藝春秋社(文春文庫) 2004年

さえない中年フリーライターのエディは、10年ぶりに会った友人ヴァーノンから怪しげな錠剤を渡される。ヴァーノンは、元妻メリッサの兄であると同時に、若い頃のドラッグ仲間でもある。きっとこれも何かヤバイ薬? 
ドラッグからはとうに足を洗ったエディだが、ヴァーノンに再会したことで、メリッサへの断ちがたい想い、青春時代への郷愁、思うようにならない人生への悔恨などを呼び覚まされ、ふと錠剤を口にしてしまう。
ところが、その薬は、いい気分になる幻覚剤などではなく、エディが全く想像もしなかった効能を持っていた。
「これさえあれば、人生をやりなおせる!」
しかし、薬のことを詳しく聞きだす前に、ヴァーノンは何者かによって殺害されてしまった。


大昔、まじめな受験生が覚醒剤にはまって死んだ事件が話題になったことがありましたが、まあ、おおむねそういう話です。
ネタそのものは新奇でもなんでもないけれど、面白いのは、じゃあ、今そういう薬があったら、人は何をするでしょうか、というところ。エディは曲がりなりにも作家なんだから、創作欲を満足させるのかと思いきや、180度違う方向に行ってしまうのですね。まさにそれがドラッグの毒ともいえるのでしょう。

誰もがはまる危険をもっているドラッグ。これを必要としないのは、初めからすべてが満たされている選ばれた人間のみ。
なんだか身もフタも無い結論ですが、時間と情報に翻弄されている現代人は、薬なんか飲む前から既にトリップ状態なのかも。
死なない程度にがんばりましょう。



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