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コックピットの謎

ファイナル・アプローチ (上)(book)
ファイナル・アプローチ (下)(book)
ジョン・J. ナンス著 池 央耿訳 
早川書房(ハヤカワ文庫) 1995年


もともとパイロットでもあり、航空問題専門家でもある著者の経験と知識を遺憾なく発揮した、息もつかせぬ航空サスペンス。あまりにリアルなので、飛行機に乗るのが怖くなりそうです。

嵐の空港で起きた、未曾有の大事故。そのまわりに、あたかも事故機の破片のごとく、ばらばらの出来事や、人間関係が散らばっていて、お話はなかなか事件の本質にたどりつきません。上巻が終わる頃、ようやくすべての要素が有機的に結びつき、複雑なミステリーが姿を現します。



敵/味方、真実/嘘の区別もはっきりしないなかで、主人公の事故調査官は、各種の妨害をはねのけつつ、原因解明のため奔走します。

主人公をはじめ、関係者たちの誠実な行動が胸を打ちます。
ドキドキハラハラ度も満点ですが、一方で、不況にあえぐ航空業界の問題点を鋭く指摘した、まじめな意欲作でもあります。
これでかつての「大空港」(ヘイリー)のような大ベストセラーにならないのは、事故シーンがあまりに酸鼻だからでしょうか。まあ、たしかにかなり凄い描写もありますが、作者の目はあくまで冷静で、安いホラーなどにありがちな、えぐい感じはなかったと思います。



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