さて完全に新学期が始まったと、ぶかぶかの制服を着て学校に通っている人たちを見ると実感できるから不思議だ。

以前に「中学生になる君に」という拙稿を書いた。
二番煎じではないが「中学生になった君へ」という題で、新学期から、もう一つ、二つ、三つ注意しておくべきことをご容赦願いたい。

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①学校は「お役所」なので、「紙切れ」の扱いは慎重に考えなさい。
 
新中学生では何を言いたいのかわからない、と思う。ボーっとしている2年生でも、3年生でもわからないだろう。

でもこれは覚えておく必要がある。誰もこんなこと中学生には注意しないからだ。子供だから言ってもわからないだろう、と思っていることもある。でも私は「子供や、子供である生徒の可能性を信じる」陣営に所属しているつもりだ。だから難しいことで、嫌な真実でも伝えることにしている。わかるかもしれないからだ。
もちろんなるべくわかりやすく、受け止めやすい言葉に変換はするが。

お役所というのは「紙切れ」で動く。その「紙切れ」にハンコやらサインやら押したり、書いたりして、上の指示や許可が出て、初めて動きだしたり、止まったり、認められたりするものだ、ということだ。

そしてその「紙切れ」が証拠になって扱われる。極端な話だが、その「紙切れ」に書いて「ある」ことなら、実際には「なかった」ことでも「ある」ことになるし、書いてい「ない」ことは、実際には「あった」ことでも「なかった」ことになる、ということだ。

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では中学校生活での一番大切な「紙切れ」は何か。
 
それは「年間予定表」と「試験の範囲」を書いた紙だ。
もちろん他にも「健康診断のお知らせ」とか「遠足の日程」を知らせてくれる紙もそれなりに大事だが、一番大切なものは?の基準で上げると、これらだ。

そのテスト範囲を示した紙には「今度実施される中間や期末などの定期テストで出る範囲」が書いてある。それが「証拠」になって「前のテストで出た範囲のすぐ後から、次の定期テストの範囲に入る」ことを、よく忘れている人が多いのだ。

どういう場面で大事になるか。
例えば、1年生の1学期の期末テストは6月の最後にある。普通は3日間で終わるから、7月1日から7月20日ぐらいまで、テスト返しやスポーツ大会をやりながら、また再び授業が始まる。

で、9月に2学期が始まって、10月半ばにまた2学期の中間テストがあるけど、その範囲の最初は、6月末から夏休みが始まる7月20日までのことも、ちゃんと出る、ということだ。

まあこの場合なら「あ、あんなところからも出るのか、だいぶん忘れているぞ」と勉強し直すだろうから、たぶん大丈夫だろう。

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ところが、1年生の教科書が最後まで終わらない場合が、時々あって、そこが問題になる。
 
2年生の最初の1学期の中間テストは5月にある。
「あまり進まなかったから今度はラクだ」と思っていると、1年生の最後の学年末のテスト範囲から外れていたところもちゃっかり出て、びっくりする、と言う場面だ。

つまり公立の学校は「お役所」なので、「ここまで教えなさい、テストに出しなさい」という命令を、文部科学省という上級の行政組織から命令されているので、生徒が覚えていなくても、範囲を忘れていても、そんなことに関係なくテストに出さねば、教師は自分のクビが危ない、となるわけだ。

さて1年生の学年末は2月下旬にある。
 
めでたく2年生になるから「これはもういらないな」で、試験範囲を書いてある1年最後の学年末テストの範囲を書いた紙を、自宅の部屋の大掃除で捨ててしまうこともあるだろう。
 
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さて、5月下旬にある2年生最初の1学期中間テストまで、1年でどこまで勉強したかなんて覚えているだろうか?

何か特別なことでもない限り、普通の人間は3日前の夕食に何を食べたのかも覚えていないはずだ。「作った私が忘れています」と正直におっしゃったお母さんもおられたぐらいデス。

「遠足のお知らせ」や「健康診断のお知らせ」の「紙切れ」は捨ててもいい。
でも「試験の範囲」を書いた紙と、「年間スケジュール表」は捨ててはいけない、と言いたいわけだ。

特に最近「ゆとり教育からの完全脱却」を目指して、勉強する範囲が増えている。教科書もぶ厚くなった。でも授業時間はあまり増えていない。増やす方法は3つぐらいだ。

1つ目は、7時間目まで授業を行う。当然部活時間は減る。
2つ目は、土曜日を午前中は授業をする。
3つ目は、夏・冬・春の休暇を短縮する。特に夏休みは今の半分にする。そのために空調システムの設備投資を進める。

これぐらいしかない。あるいは3つ全部いっしょに実施する。
私は別にどれでもいいが、生徒には1番目と3番目はイタイだろうな。

特に、1年生は「中学に慣れるための紹介時間」がどうしてもたくさん必要だから、出遅れはよくあり、その影響で「1年生の教科書」が全部終わらないことが、最近よく起きる。

記憶があいまいなら「物」に頼るしかない。
「紙切れ」の保存には注意して置いた方がいい。

②番以降は、また今度にします。 

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実は春講習の始まる前に私は不謹慎にも「春講習が終わるまでは地震とか来るなよ。終わったら来てもいいからね」と公言していたんです。

そしたら……

来てしまいましたよ、本当に、すごいのが、熊本に。そして大分に。観測史上初の「動く震源」のパターンで。小松左京先生の「日本沈没」にはあったけど。
 
ここに改めて、自分の不謹慎な発言をお詫びいたします。
すみませんでした。

と、私が個人的に何を詫びようが、別に地震の被害が元に戻るわけでもないので、何の意味もないのはわかっています。でもまあ、気持ちの問題なので。

言い訳させてもらえば、さらにはこう言っていました。
「現代の日本は何が起きるかわからない自然状況だから、勉強できる時に、できる限り勉強しておいて『勉強貯金』を増やすことが賢い方法だ」とも。

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これは実体験と科学的根拠に基づいています。
1995年1月17日に阪神淡路大震災が起きました。

あの時、地震のほんの3日前に、センター試験が終わっていて本当に良かった。もし実施の最中に来ていたら、と考えるとぞっとします。当時はこのへんの生徒たちも神戸大学が試験会場だったからです。

電気は17日のお昼には復旧したのですが、さすがにウチも自粛で休塾になりました。
でも生徒たちは学校もしばらく休校になってしまい、行き場所がなかったのでしょう。別に声をかけてもいないのに、集まってきて、やることもなしに、茫然と塾でテレビを見ていたのを覚えています。
「あ、あそこ、先週通ったところだ」とか「あそこ知ってる」
「あのお店潰れている…」とか言ってました。
無関心を装って、漫画や本を読んでいる人もいましたね。 

私もやる気が起きずに、1時間毎に数字が増えていく死者数のカウンターを、現実のものでないような気がして、ボーと見ているだけでした。1か月後に私立高校や大学、2か月後には公立高校や大学の試験を控えていたのですが、なぜか周りに、なすすべもなく存在している(初めての疑似体験に、精神的に腰が抜けて、へたり込んでいたのかもしれない)塾生たちを改めて眺めて
「まあ、日頃勉強しているし、自然を畏れる時は畏れた方がいいもんな」と
考えていたことを思い出しました。

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そして1週間ぐらい経って少し日常が戻ってきた時に、「阪神大震災特集」の雑誌を何冊か買い、読んでいたら、ある著名な地震学者が
 
「これで完全に日本の地震は活動期に入ったと考えるべきだ。つまり50年~100年の間に、全国の各地で、地震やそれにともなう津波が日本を襲うだろう。そして東京に大地震が来て、また休止期に入ることは地震の歴史が証明している」
 
と述べていました。今でもその雑誌は手元に置いてあります。

あの時は「ホントかな~」と半信半疑でしたが、あれから20年経って、その学者の言ったことが実現していくのをマノアタリに見ていると、「専門家って、プロってすごいな~」と実感するとともに、今後少なくもまだ30年~80年は、嫌でも活動期が続くことを覚悟しなければいけないわけです。
 
そして最後は首都が壊滅することも、です。

1855年に起きた安政の大地震とその後に起きた一連のトラフ地震が江戸幕府への信頼を崩壊させ、倒幕につながったと言われています。

1923年に起きた関東大震災が、「大陸進出」へのきっかけになり、1936年に起きる満州事変につながる経済的な原因だと言われています。

さらには1944年に和歌山を襲った南海地震で起きた津波で、多大な被害を被ったにもかかわらず、海軍も陸軍も救援に来なかったのを見て「ああ、これでは戦争に負けるかもしれない」と祖父が漏らした、と母が言ってました。軍にはすでに、国民を救出に来る余裕もないのだ、と一庶民の祖父に見抜かれたわけです。江戸幕府と同じですね。

核のある今の時代では、今度はどんなことになるのか想像もつかない。
まあ他国に迷惑をかけるのはやめにしたいけど。
 
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それでも「減災や防災」を学習面から考えた場合、やっぱり日頃から「勉強貯金」をしておくことが一番だ、と私塾の一講師としては、今回の熊本・大分の地震を見て、再認識したのでした。
 
うむ、完全に無力というわけではなさそうだ。

亡くなった方のご冥福を祈り、被災されている多くの方々に、お見舞いを申し上げます。
そして、熊本や大分の中学生や高校生、そして小学生の人たち、負けてはいけませんよ。
阪神間の子供たちも負けなかったんデス。
九州男児・女児の君たちなら、大丈夫ですよ。 

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百人一首紹介記事内の「各歌との関連リンク」は、今週中には設置完了できると思います。もうしばらくお待ちください。

では今日はこのへんで失礼します。

m(_ _)m