ある程度の成績を修めて、もし推薦を受けることができたら、次なる「敵」は小論文と面接だ。面接と小論文のどちらも大変なものだが、ここでは小論文に絞り、今まで小論文の指導をしていて気が付いたことを縷々述べる。
 
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①世の中の動きに中学生は鈍い

これはいつも思う。確かに勉強や私的な活動で忙しいのはわかるが、CMで流れる言葉ぐらいはチェックする姿勢が必要だし、日常会話でも、知らない言葉が耳に入ったら、やはり調べる「アンテナを張り巡らせた日頃の態度」が大切だ。
 
もしあなたの保護するご子弟が、どうやら推薦を受けれるぐらいに、順調に成績が上がってきたなら、少なくとも半年、できれば10か月は「世情チェック」を怠らないように、指導する。しかもこれは急にはなかなか準備ができないから、注意したい。

もちろん親・保護者の方も現在の世界情勢や・国内の動きに鈍感では話にならない。あなた様たち、ご自身もも、きちんと勉強しなければいけません。親・保護者って大変です…。
 
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②まともな映画を定期的に見ることを義務付ける。
 
理科系生徒なら近未来を描いたSF映画、文化系生徒なら歴史モノや人情モノの映画を2週に1本は見るように義務付け、その後、親・保護者とご子弟の間で討論会を持つこと。
 
その際、流行のものではなく、「定番・名作」を、ネットなどで調べて鑑賞する。「2001年宇宙への旅」「クリスマス・キャロル」「ターミネーター」「サウンド オブ ミュージック」などDVDで「一山なんぼ」で売っているようなものでいい。
 
最近の中学生は極端な例だと「イソップ物語」の中身は愚か、「イソップ物語」という名前すら知らない人もいる。試しにご子弟に「賢いカラス」とか「酸っぱいブドウ」って知っている?と質問してみればいい。知っていたら安心してもいいが、そうでないときは、となる。

我々のような昔の人間なら「絶対知っている話」を、みごとに知らない現代の子供が多くなったし、当塾にも存在する。伝統と伝説・神話を軽んじた国の末路みたいなものだ。私はそういう内情を知っているから、もはやがっくりはしないけど。

なぜ映画か?本を読むのはメンドウだが、映画を見るのはラクだし、長くても2時間で終わる上に、寝っころがって、お菓子も食べることができる(行儀は良くないけど)からだ。また、私が子供あるいは学生のころは、映画は高価な娯楽だったが、今はいくら見ても定額制のものも多い、まるで夢のような時代で、これを利用しない手はない。でも、子供の好きなものだけ見させていては、絶対に成長しないから、親・保護者の出番である。

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③小論文は最初は「お固く」始めない。
   雑談レベルのテーマで、まずは原稿用紙に書くことに慣れる。

いきなり「◎◎高校に入って君は何をしたいか、将来何になりたいか」という定番テーマは、一番最後に書いた方が良いし、最初に「道」を決めてしまうと、それに「憑りつかれる」ことが多いので、やめる。

それよりは「発想の材料集め」「発想の仕方の練習」として、
「テーマA…飼うとしたら犬と猫のどちらがいいですか」とか
「テーマB…冬の寒い日に食べるならおでんですか、それとも肉まんですか」
「テーマC…最近3か月で『マジっすか?』と思ったことは何ですか」
などの軽いノリのテーマから始める。

そもそも日記を書くことすら習慣になっていない子供も多いし、学校での作文と言っても「教師に気に入られるための作文」しか、書かないことも多い。これでは「個性の発現」も、へったくれも、あったものではない。よって身近なテーマ、極端に言えば雑談レベルのお題から始める方が、とっつきやすい。
 
そして100字ぐらい書けたら「お前はエライ!」と心底から褒める。実際にエライのだから。このわけは次回に述べたい。実は文句をたくさん言いたいので、この話題を出した。
 
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④必ず直接・具体的体験による本人的感想を組み込む。
赤はちょこっと使うからインパクトがある。廊下の非常ベル、ネットサイトの赤ボタン、あるいは女性の口紅も同じ。

最初のテーマAなら「なぜ犬あるいは猫が可愛いと思った直接的理由…モフモフしていたから、お手をしたから」、テーマBなら「ちくわが好きだから」、テーマCなら「おばけだと思ったから」とか何でもいいから、自分の体験を組み込む。小論文に絶対必要なのがこれだ。

で、問題なのはここだ。
もし体験が全然無い時や、極端に少ない場合はどうするの? だ。人生経験の少ない中学生なら十分ありうることだ。

まじめな生徒は「ウソは書けない!」と思ってしまうだろう。しかし小論文で点を稼ぎたいなら、小悪党ぐらいにはならなければいけない、と親・保護者は、あるいは指導者は諭さなければならない。

ウソをついたことのない人がいないのも事実で真実だし、でも、なるべくならウソはつきたくないのが人情で、まともな感覚だ。そこは尊重してこう言う。
 
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こうアドバイスすると、優等生君や才女さんほど「良いんですか?」とたいていは尋ねてくるが、大悪党、あるいはペテン師である私は胸を張って(?)「いいんです」と答えることにしている。
 
あるいは「これは祖国防衛戦争なのだ。どんな策を使っても良いから勝たなければいけないのだ」とも
言っている。ほとんど詐欺師かペテン師のノリだ。

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⑤ある程度は理に適った「奇抜なこと・どぎついこと・ハチャメチャなこと」まで
    書けるように
データーを集め、意識を改革し、試験会場で書ける胆力を養う。

さきほどの画像は、漫画「気まぐれコンセプト・クロニクル」からで、就活を始めようとしている学生に、若手社員がアドバイスをしているシーンだが、彼はこのような具体例も挙げている。

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これを高校受験に当てはめることは、ちょっと乱暴すぎるのも事実だが、応用する価値はある。
小論文と言っても多くても600字、少ない場合は200字しかない。また、原稿用紙に書かれた、物言わぬ文字だけが、自分を表現する道具だ。通り一遍の、お上品な事を書いていては「目立たない」だろう。経験上、そういう人は相当内申点が高くない限り、合格した試しがない。

また「成績が良い」ことは「まじめ」であり、意地悪くとらえれば「型に嵌っている」ことの可能性が大きい。もちろん何にでも例外はある。そもそも内申点が良い≒テストで良い成績を獲っているためには、教科書内容ぐらいは覚えていて当然である。でもこれが足枷になる可能性も否定できない。

また、運命を決する緊張した受験会場で、奇抜なことや、ハチャメチャなことを書くのは、相当の胆力が必要だ。よって日頃から「奇抜なこと・ハチャメチャなことを書くことそのものに慣れ」なければならない。そのための練習だ。
 
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⑥しかし「奇抜なこと」を考え出すにはどうしたら良いか?
最後はこれだ。
奇抜なことを考えるのにマニュアルなんてあるわけがないので、こういう質問が一番困る。でもヒントぐらいは出せる。

規範意識をはずしたり、ずらしたりしてみる」のも一策だ。
 
そこでよく上げる例が「ウサギを殺す」という行動を君はどう思うか?と質問してみる。たいていは「とんでもない話です!」と言う。現代の中学生としては、当たり前の反応で、もしこのような反応が出てこなかったら、逆に事態はヤバくなってしまう。
 
そこで
「確かに現代の社会で、学校で飼育しているウサギを殺す、となると、たいていは猟奇事件の前騒動になる。でも10万年前の原始人さんが、ウサギを捕えて殺すのはどうか? 原始人さんにとっては『ラッキー! これでまた1日生きれるぞ~』となるでしょう。倫理は時代によって変動するものです」
と発想を変えるきっかけになる「たたき台」にする。

あるいは昭和の最初まで、ウサギは繁殖力が強いが、捕獲しやすい小動物で、山に住む人々にとっては貴重なタンパク質であり、その骨は山では取れない超貴重なカルシウム源だったから、骨まで砕いてササミにして食べた、というと「ウサギのテリーヌ」というお上品なフランス料理ではないので、「残酷だ!」とびっくりする子供が多い。
 
「でも皆さんはイワシの骨まで砕いて作ったハンバーグを『健康食だ』と平気で食べています。山にはイワシはいないし、当時は山にまで魚が届かないから、仕方がなかったのでは?」と返答すると「そっか!」と納得してくれる人が多い。

まあこんな感じで「彼らを取り囲んでいる壁」を取り払っていけば「奇抜な発想」がしやすくなるようだ。ただし、行き過ぎないようにブレーキをかける必要があるのは、言うまでもない。


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いよいよ明後日は公立高校の入試発表です。どきどきしていたりして。

では今日はこのへんで失礼します。あ、私もどきどきしてきた。

m(_ _)m