十何年か前、兵庫県の公立高校入試制度には「第1希望の高校がだめだったら、行政側が決めるどこかの公立高校に行かなければならない」という非人道的な決まりがあった。意味がわからん、という方にもう少し説明すると、例えばある生徒X君が公立高校Aを目標に受験したのだが力及ばず、希望ではない公立高校Bに行政側の「配慮」で「合格」することを言う。これを親・保護者や受験生は、俗に「回される」とも表現していた。

合否を決めるのはもちろん当日のテスト結果 +学校での成績だが、もう一つの「回される」基準は住所、つまり事実上の学区だった。ある意味合理的な規定ではあったかもしれない。家から近いほうが通学には便利だからだ。

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しかし家に近いその高校が、自分には合っていない場合、たいていは自分の学力に合っていない=高すぎたり低すぎたりする時や、これ以上顔を見たくない先輩や同級生が通っていることが原因で、その公立高校BがX君には「絶対に行きたくない学校」である場合でも、本人の意志とは無関係に通わなければいけないのである。

当時も今も、狂っているとしか思えない規定だ。単純に行政側のプライドだけが原因だが、そこに悲喜劇が生まれることがよくあった。

さすがに今では緩和されていて、第1希望と第2希望を提出するときに、第2希望を明記しない場合は、第1希望に合格しなければ公立には進学せずに、先に合格している私立校に行ってもいいよという規定になっている。この制度に変えてから、一部の高校では定員割れを起こす事態が増えたが、行きたくない高校に無理に行くより、モチベーションが保持できるからいいじゃないか、と多くの人が考えている。

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話は戻り、悲喜劇の喜劇(?)の方だが、ある時あまり学力が高くない生徒が、かなり熱心に勉強を始めたので理由を聞いてみたら「私の家の近くにある緑台高校はレベルが高くて、行きたくない。だから遠いけど、私の学力にあったM高校に行くために勉強することにした」という。

M高校は緑台高校に比べるとレベルが低いわけだが、低い高校に行くために熱心に勉強するのは矛盾しているのでは?と意見すると、「それはそうだけど、私と同じぐらいのレベルの先輩がM高に行けずに、緑台高校に回されてしまって、授業は難しいし、宿題も多すぎるし、いくら勉強しても学年順位は全然上がらないから、全然面白くない、もっと勉強しておけばM高校に行けて高校生活をエンジョイできた、だからあんたはがんばりなね、と励まされた」というので、納得した記憶がある。

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こんな昔話をわざわざ書いた理由は、「逆だが同じようなこと」が、これからの日本全体で起きそうだからだ。もちろん、今回のコロナ禍=コロナ・インフォデミックも原因の一つだが、増税後の日本政府が経済立て直しの有効な手立てを打つことができなければ、不況から脱出して、国民全員が富めることはならない。

不況になれば、やはり資本金などがしっかりした企業は日本にそのまま存在できるだろうが、そうでない企業は休業から廃業、あるいは倒産するか、その前に賃金の安い国を探して海外に進出する。結果日本国内には会社の数が減ってしまい、就職戦線異常ありとなる。

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人間性やらなにやらもあるが、今はざっくりした話として割り切って、普通は成績の良い人から就職が決まっていくだろう。そしてそうでない人は海外に就職先を求めざるを得なくなる。

成績が良い人とは、勉強にバランスが取れている人のこととする。その特徴は中学・高校で英・数・国の成績が良いことで、化け物の数学と国語を制するには、英語ができることが必須だ。そうすれば大学も良いところに行ける。これは統計を取ったわけではなく、私の狭い経験からの話だ。

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これを就活に無理に当てはめてみると、「英語ができる人は日本にある企業に職が見つかり。英語ができない人が海外(その国の公用語が英語とは限らないけど)に行く」という皮肉な結果になってしまわないだろうか、と心配しているのだ。「レベルの高い学校に行きたくないために、レベルの低い人ががんばって勉強する」のと似ているようで、似ていないが、矛盾していることは似ている。

コロナ禍で、なぜか妙に忙しくて、変なことを考えてしまった。まさに「小人閑居して不善をなす」の典型だ。反省して明日からまじめに働こうと思う。やっと学校も正常化したみたいだから。

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今月6月5日、ニュースで出生率は1.36で前回より0.06ポイントも落とし、12年連続で下落続けて、統計を取り始めた明治より最悪の率でもあることが発表されました。現首相は、7年も政権を担当していて、やはり何も実現できていません。

いや首相だけではなく、政権政党は70年近くもこの国を支配しているのに、全然うまく行っていない。「一生懸命勉強したけど、試験はだめだった」という生徒にはなぐさめる言葉がありますが、結果の出せない政治家には特にないな、要するに無能だったのかと考えてしまいます。

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またニュースによればアメリカは混乱状態にあるようです。1年のうちに収束すれば忘れてしまう事実になりますが、越年すると尾をひきそうです。心理学者の岸田秀氏は「アメリカを精神分析する」の稿中で「アメリカは、個人に例えれば強迫的な性格神経症者である」とし、「経験の欺瞞が当人の都合の良いように偽られている…その経験の欺瞞が暴露され、当人が真実を認識するまで続く」「心の片隅でその欺瞞を知っていて、知っているがゆえに、正しいのだということを無理に証明しようとするが、当たり前だが成功しないので、余計にヒステリックに証明を繰り返す」と分析しています。

最後に氏は「アメリカがその歴史の欺瞞を全面的に認め…インディアンに強奪した土地を返還し、ハワイをハワイ人に返し、東京裁判を恥ずかしく思うようになり…そうならなければアメリカを信じることはできないであろう。おのれの犯した悪を正当化し、正義化した者は、正義の名においてどのようなことをしでかすか、わかったものではないからだ」と断言しています。

「アメリカを精神分析する」は1977年11月に「現代思想」という雑誌で発表されたものですが、今でも全く色あせていない、秀逸な論文です。私もまったく同じ意見です。

では今日はこのへんで失礼します。

m(_ _)m