【学生の方へ(要約)】

初めて脱臼を整復した日は、誰でも緊張するものです。それでも、誰もが通っていかなければならない関門です。
その日のために、今から疑似体験を積んでいくことが大切です。

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先日、3年前に太郎の学校を卒業したT先生から電話がありました。
少し興奮気味で・・・たった今、肩関節脱臼の患者さん(男・35才・肉体労働者)を整復したとか。・・・T先生にとって、初めての肩関節脱臼の整復らしいです。

この患者さんは今までに3回、肩関節を脱臼したことがあるようです。
でも、一番最近脱臼したのは5年ばかり前。

発生機序は、バレーボールをしていて左横の方に飛んできたボールが左手に当たって受傷に至ったとのこと。
転倒したわけではなく、単に、やや外転した肩に伸展させる外力が加わって受傷したものです。
よほど、当たったボールが強かったのでしょうか? それとも、5年前の脱臼に続発した反復性脱臼でしょうか?・・・5年も前だと、反復性脱臼とはちょっと言いにくいですね。

T先生はこの患者さんを背臥位にして、腋窩に足(母指球部)を入れて牽引整復したとのことです。・・・Hippocrates法に準じたものですね。

T先生のお話では、整復の瞬間に、「ボコッ」という整復音が耳で聞こえたとのことです。
また、整復前も整復時も、ほとんど痛みを訴えていなかったこの患者さんが、整復後に鈍痛のような痛みを訴えたとのことです。

もちろん、整復前後において、重篤な神経損傷や血管損傷は認められていないとのことです。
整復後には、肩関節機能が回復しています。

心配になったT先生は、夜の遅い時間でしたが、この患者さんを救急病院に行くよう指示しました。

結果は・・・骨折もなく、ちゃんと整復ができていたとのことです。

多くの先生が体験する初体験の肩関節脱臼の整復は、緊張のせいで「いつの間にか整復ができていた」というのが最も多いですね。
T先生が聞いた整復音は、むしろ珍しい方でしょう。
・・・太郎が経験した肩関節脱臼の整復音は全て、手で感じるものです。

整復後に患者さんの痛みが出現したのは、整復法に問題がありそうですね。
術者の足を患者の腋窩に入れて整復する方法は、対抗牽引を行うのに効果的です。
ところが、この方法では、患者さんの筋緊張がある状態(リラックスできていない状態)でも整復が行えます。
できれば、対抗牽引は患者さん自身の力で行ってもらう方が良いかも知れませんね。
今回のT先生の場合は、対抗牽引となる足への力の入れ具合が、ちょっと強過ぎたのかも知れません。

脱臼の整復は、患者さんに痛みが伴わないように行うことが可能ですから。


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