【学生の方へ(要約)】

鎖骨骨折の整復は比較的容易ですが、整復位の固定を維持することが難しく、変形治癒を残しやすいと言われています。また、稀に偽関節形成を後遺することもあります。
治療には保存的療法と観血的療法がありますが、どれくらいまでの状況が保存的療法の許容範囲なのでしょうか?

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鎖骨骨折の整復は、比較的容易と言われています。
これは、定型的な転位を呈するものも含みます。

【復習】
鎖骨骨折の定型的転位
 近位骨片・・・上方やや後方に転位(胸鎖乳突筋の作用)
 遠位骨片・・・下垂(上肢の重量)・短縮転位(大胸筋・小胸筋)

整復は容易な鎖骨骨折ですが、整復位の固定を維持することが難しく、多くは再転位をもたらして変形治癒を招きやすいと言われます。
鎖骨骨折の変形治癒は機能障害の問題となりませんが、美容上の問題からも、変形治癒を招かせないことが必要でしょう。

それでは、どれくらいまでの症状が整復位の固定を維持できて、どれくらい以上の症状では再転位を招くのでしょうか?

太郎が行う鎖骨骨折の整復は、そのほとんどが背臥位によるものです。
整復の後、再転位を招かないように骨折部に手を当てて安定させた上で、ゆっくりと座ってもらいます。(この時はまだ、固定は施していません。)

患者さんに座ってもらってから、患肢をゆっくりと挙上するように指示します。
この時、患者さんの患肢は斜め45°くらい前方に挙上してもらうのが良さそうです。
また、患者さんが不安を訴えるようであれば、骨折部に手を当てて安定させてあげると良いでしょう。

この患肢の挙上を行ってもらう時はまだ、固定を一切施していません。
えっ? そんなことができるのかって?

・・・はい。できるのです。

近位骨片の骨折端と遠位骨片の骨折端が、引っかかるような形になっていれば、ゆっくりとながら患肢を挙上させることが可能です。

挙上してもらう角度はせいぜい100°程度(90°+α)で十分です。

挙上できたら、今度はゆっくりと下ろしてもらいます。

この一連の動作ができれば、保存的療法の許容範囲内です。
外固定を施しても、固定中に再転位を招くことはまずありません。

患肢の挙上を行っても、途中で急に力が抜けたように患肢を下ろしてしまった場合は、力が抜けた瞬間に整復位が得られてあった骨折部に再転位が起こったことを示唆します。

また、最初から患肢を挙上できない場合は、整復位が得られていないことを示唆します。

太郎は、このようにして、固定中に再転位を招く可能性があるかどうか判断します。
患肢の挙上途中に力が抜けてしまう(再転位を起こす)ケースでも、患者さんに対して再転位を招きやすい(変形治癒を残しやすい)ことを説明した上で、改めて整復して固定を行うこともあります。

なお、この方法を以前、先輩の先生に話した時は、「整復を行った後で再転位を起こさせるとは何事か!」と大目玉をくらったことがあります。(>_<)
ですから、あまり人さまにお勧めできる方法ではないことであることを申し添えます。m(__)m


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