とある柔道整復師団体の会報に、柔道整復師による応急手当について掲載されていました。

【施術の制限】柔道整復師法第17条
柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない。

W県であった出来事です。

ある患者さんが自転車で転倒して股関節部を受傷し、その当日、A先生の接骨院を訪れました。
この患者さんを見てA先生は、骨折の疑いを認めました。それで、医療機関の受診(医師の同意)を患者さんに勧めたそうです。

それに対してこの患者さんは、「座っているだけだから何とか仕事が行える」という理由で、このままA先生の元を通院するだけで様子を見たいとし、医療機関の受診は行いませんでした。

A先生は、3日後にもこの患者さんに医療機関の受診を勧めましたが、この患者さんがそれに応じることはありませんでした。

ところが、受傷から17日後、症状が悪化して歩行困難となったため、整形外科を受診しました。
その結果は、大腿骨骨折。
患者さんは、この整形外科で手術を受けることになりました。

今回のケースは、労災保険が適用するものでした。

A先生は、この患者さんが受傷した日から16日目まで施術を行っています。
なお、医師がこの患者さんを診断したのは受傷17日目です。

当初、所轄労働基準局の見解は、A先生の初検の日だけ骨折としての整復料を算定し、2日目以降16日目までは医師の同意が得られていないことを理由に打撲として請求すべきというものでした。
初検日だけが応急手当と認められたわけです。

それに対してA先生は、「この患者さんに対して初検当日から医療機関の受診を勧めたものの、患者さんの意思によって受診しなかったこと」、「骨折と診断されたものを初検日だけ骨折で請求し、再検日以降は打撲として異なる傷病名に置き換えて請求するのは不適切である」ことを理由に、所属する柔道整復師の団体を通じて折衝したとのことです。

結果、A先生が施術を行った日の全てが柔道整復師の行う応急手当として認められ、骨折として請求できたとのことです。

なお、前述した折衝のやり取りは厚生労働省大臣官房人事課職員第一係主査との間で行われていますが、通達のように発出番号などが付されていない点などから、今後も物議をかもす可能性も否定はできません。


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