学校に入学して間もない頃に学習することだし、基礎的なこと過ぎて国家試験での出題率が極めて低い部分だからもうお忘れの人も多いでしょう。

【柔道整復学−理論編(改訂第4版)】P.18から抜粋して要約

組織の損傷時に加わる力は「急性」と「亜急性」のものに分類できます。

1) 急性の力
原因と結果の間にはっきりとした直接的関係が存在するもの。

2) 亜急性の力
「蓄積性の力」または「反復性の力」とも言う。
反復あるいは持続される力によって、はっきりとした原因が自覚できないにもかかわらず損傷が発生するもの。

分かりやすく言えば、「1)急性の力」は「階段を下りていた時に踏み外して足を捻った」というものです。
この場合では、受傷した日時が「平成○年○月○日○時○分」というふうにはっきりとしています。

それに対して「2)亜急性の力」は「ゴルフの打ちっ放しの練習をしているうちに肋骨の疲労骨折(ゴルフ骨折)を受傷した」というものですね。
前述した「1)急性の力」のように受傷した日時は分かるようで分かりません。
受傷した日時は、言わば発症した(疼痛が出現し始めた)日時と言い換えることもできますからね。

前述した「ゴルフの打ちっぱなしの練習を・・・」というケースではまだ、原因は明らかです。
これは、「2)亜急性の力」の中でも「反復性」または「蓄積性」とも言えるでしょう。

冒頭に書いた「2)亜急性の力」の定義では、「はっきりとした原因が自覚できない」とありますね。

これは、「散歩にでる前は何ともなかったが、帰宅してしばらくしたら足首に痛みを感じた。それで痛いところを見たら少し腫れていた」というものでしょうか。

散歩に出かけた途中に足首を捻挫しているようです・・・単に、歩き疲れて足首が痛いというわけではありません・・・患部に腫脹まで認められるのですからね。
でも、患者さんには足首を捻ったなどという記憶(自覚)がありません。

中には、「朝、起きて立とうとしたら足首が痛い。見てみると腫れている。思い当たることと言えば、2、3日前に散歩に出かけただけ」などというケースも少なくありません。

特に困るのが、例えば「膝が痛い」として来院した患者さんで、原因を聞いても「何もしていない」というもの。
かと言って、膝関節内側裂隙(内側側副靭帯)に損傷所見(圧痛)がある。
正に、「はっきりとした原因が自覚できない」ケースに該当するのでしょうね。

教科書ではこのような「原因が自覚できない」亜急性(蓄積性・反復性)損傷は柔道整復師の業務に含まれています。

しかし、健康保険施術を行う上では明確な原因がないものは認められません。

ですから、前述したような原因が不明瞭な外傷である場合は、患者さんにいつ、何をした時に痛みが発生したか?根気よく思い出してもらうようにする必要がありますね。
その原因が思い出せないと、健康保険施術の適用が受けられません・・・健康保険の適用を受けない自由(実費)施術となってしまいますからね。

さて、教科書では「亜急性損傷」を次の3つに分類しています。

1)使いすぎ(over use)
2)使い方の間違い(misuse)
3)不使用後の急な負荷(disuse)

健康保険では「1)使いすぎ」による単なる疲労は適用できません。
例えば「重いかばんを提げて長時間歩いた。それによって肘が痛くなった」だけでは単なる「使いすぎ」であり「筋肉疲労」となりますね。
それでは外傷でないので健康保険の適用外です。

同じ「使いすぎ」でも「重いかばんを提げて歩いていて、かばんを持ち上げようとした時に捻った。それから痛みが発症した」であれば外傷として健康保険の適用となりますね。

なかなか「どの瞬間に受傷したか?」特定するのが難しい場合もありますが、現行の健康保険制度では「受傷した瞬間」を聞き出す必要があるのです。

なお、施術録には「受傷した瞬間の前後にあった動作」を書いておく必要があります。
単に、「重いかばんを提げて歩いているうち(時)に受傷した」だけでは認められませんのでご注意を。

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