「骨折や脱臼の整復は、自分で体験しない限りその技術が身につかないのではありませんか?」
・・・学生の皆さんからはよく、このような質問を受けます。

なるほど、整復を体験してみない限り「できる!」とは言えないでしょう。
実際に整復ができてこそ、整復に対する自信がつくようにも思えます。

でも、いろんな整復を経験した人でも、初めて整復を行った時があります。
太郎も20年以上、柔道整復師として施術に携わっているとは言え、いまだに経験していない骨折や脱臼もあります。
自分の技術の許容範囲を超えていると判断し、応急手当だけ行って医療機関に搬送したものも1つや2つではありません。

学生の皆さんはまだ整復を行ったことがありませんね。
当然のことです。
と言うことは、太郎の整復経験は学生の皆さんよりも少し多いだけのことなんですよ。

初めて整復を行う時は大変緊張するものです。
その時の緊張を和らげてくれるものは何だと思いますか?
また、初めての整復に際して自信を持たせてくれるものは何だと思いますか?

それは、その整復を行う骨折や脱臼などの外傷に関する知識。
それとその外傷に対する整復の疑似体験数でしょう。

学生の皆さんは、言わば宇宙飛行士と同じなのです。

宇宙飛行士として宇宙に飛び立つ人たちは皆、宇宙ステーションでその日のために訓練を受けています。
訓練を受けている宇宙飛行士(を目指す人たち)は、まだ宇宙に飛び立った経験はありません。
宇宙に飛び立つその日を夢見て、シミュレーションを行っているわけですね。

もし、あなたがこの宇宙飛行士であればどうしますか?
私ならシミュレーションを受けるだけでなく、既に宇宙に行ったことのある人にいろいろ聞いてみるでしょう。
そうすれば、先輩宇宙飛行士からどのような訓練を受けるべきか、どうすればうまくできるとか、どうすれば失敗するとかいろいろと教えてもらえそうですね。

骨折や脱臼の整復も、宇宙飛行士の訓練と同じですね。
訓練生は皆さんです。
学校で整復実技を何度も繰り返し、頭の中で転位骨片の様子をイメージできるようにしましょう。
また、既に整復を体験してある先輩柔道整復師から体験談を聞いてみましょう。
骨折一つとってみても、骨折線の状況や患者さんによって整復が異なってきます。
体験談はできるだけ多く、いろんな人から聞くのが良いでしょうね。

太郎の個人的な意見としては、体験談は成功例よりもうまくいかなかった例を聞くことをお勧めしたいですね。
うまくいかなかった体験談はなかなか教えてもらえませんが、これを聞くことによって自分がそのような経験をすることを予防できるでしょう。

太郎の講義では、もっぱら成功例よりも難知例をお話します。
太郎にも成功例はあるのですが、難知例の方が記憶にとどまりやすいのです。
ですから、学校で太郎は「腕が悪い柔道整復師!」なんて思われているかも知れません。(^^;
もしかしたら、成功例よりも難知例の方が多く体験しているのかも知れませんけどね。


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