「近い将来、柔道整復師の施術は健康保険が利かなくなるのでは?」
時々、このような質問を受けることがあります。

そうでしょうね。
柔道整復師の施術が健康保険の適用を受けることになったのは昭和11年(1936年)のことです。

当時は、今のように医療機関が発達していませんでした。
また、整形外科もほとんどありませんでした。

その頃、骨折や脱臼などのケガをした患者さんの多くは接骨院(ほねつぎ)を訪れました。
不足がちであったお医者さんに代わって、柔道整復師が手当てにあたっていたわけですね。
そのようなことから、柔道整復師の施術が「受領委任払い制度」による健康保険の適用を受けることとなったのです。(*1)

当時は、骨折や脱臼などのケガに対する手当てを行う医療機関の絶対数が少なかったのです。

今はどうでしょうか?
今では、街の至るところに整形外科がありますね。

と言うことは、昭和11年の頃のように柔道整復施術について健康保険を適用させる必要性もなくなってきたと考えられるかも知れません。

柔道整復師が行う施術は医療ではありません。
医療は医師が行うものです。

医療に位置づけられていない柔道整復施術ですから、これだけ整形外科が増えてきた今ではもう必要ない?

一部では、柔道整復施術について受領委任払い制度を適用させるどころか、健康保険の適用さえも必要ないという考え方もあるようです。

でも、柔道整復師の行う施術は保存療法に特化したものです。
整形外科の先生も保存療法を行いますが、柔道整復施術とは幾分異なるところもあります。

だから、患者さんの中には整形外科を受診する人もいれば、接骨院を訪れる人もいるのでしょうね。
柔道整復施術が良いと思って接骨院に来てくれる患者さんがいる。
私たちの行う施術が、患者さんに認められている証拠です。

しかし、柔道整復師の中には骨折や脱臼などの外傷患者が訪れた場合、全く見ることもなく整形外科の受診を促すと聞きます。
これで良いのでしょうか?
患者さんは、その接骨院での手当てを望んでやって来たのでは?

骨折や脱臼の整復ができないことを攻めているのではありません。
整形外科の受診を促す前に一度、自分で見て、せめて応急手当だけでも行うべきではないでしょうか?
それでないと、患者さんがその接骨院を訪れた意味がありませんね。

緊急を要する外傷であれば救急車を要請すれば良いでしょう。
でも、そのような外傷であれば整形外科の受診までに、また救急車が到着するまでに行うべき応急処置がありますね。

また、保険請求において不正をはたらいたとして処分される柔道整復師、保険金詐欺に加担したとして逮捕される柔道整復師、わいせつ行為を行ったとして逮捕される柔道整復師が後を絶ちません。

国民や保険者からの信頼によって成り立っている柔道整復師の健康保険適用です。
国民や保険者からの信頼がなくなった時はどうなるでしょうか?

その時こそ、柔道整復師の健康保険の適用がなくなるでしょうね。
これから柔道整復師になろうとする皆さんは、皆さん自身で柔道整復師の保険施術制度を守っていくのです。


*1 「償還払い制度」と「受領委任払い制度」

例えば、施術料金が1,000円で、患者さんの健康保険を適用した自己負担割合が3割であったとします。

「償還払い制度」であれば、患者さんは一旦、接骨院に1,000円(施術料金の全額)を支払います。
その後で、患者さんが健康保険の保険者(市町村など)に対して償還払い請求を行います。
そうすると、施術料金から自己負担割合分(300円)を差し引いた700円を返してもらえるのです。

一方、「受領委任払い制度」は現行の制度ですね。
施術料金1,000円に対して患者さんは、自己負担割合分である300円を接骨院に支払います。
差額の700円については、本来は患者さんが接骨院に一旦支払うものです。
接骨院に一旦支払って、その後で保険者から返してもらうものです。
その患者さんが一旦支払っておいて後で保険者に償還払い請求を行って差額を返してもらう手間を省く意味で受領委任払い制度があります。
本来、差額の700円は患者さんに返してもらう権利があるわけですね。
でも手続きを簡略化させる意味で患者さんは700円を支払わず、その700円は保険者から接骨院に支払ってもらうように委任を行います。
これが「受領委任払い制度」と呼ばれるものです。


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