「脱臼の患者さんの整復(応急手当)を行った後、後療施術を行うために対診をお願いしたところ、捻挫ですという回答が届いたのですが・・・」

Y先生からのご質問です。

骨折の場合であれば整復を行っても骨折線は残っていますから、骨折との診断が下されるでしょう。
一方、脱臼では、整復を行ってしまうと関節窩と関節頭の位置関係は正常になってしまいますから、脱臼とは診断されにくいでしょうね。

柔道整復師法第17条では、脱臼や骨折の患部に後療施術を行おうとする場合は医師の同意を必要とする旨が規定されています。

但し書きとして、応急手当の場合は医師の同意を得ることなく行えると規定されています。

さて、この法第17条にある「医師の同意」はどういった理由から規定されたのでしょうか?

柔道整復師は医師のようにX線装置などの科学的な診断機器を持ち合わせていないばかりか、何よりも診断権を有していません。
それだけに、脱臼で骨折を伴っているものを見落とす可能性もあるでしょうし、骨折でも観血療法を適用すべきかどうかの判断がつき辛いですね。
そのような理由から、脱臼や骨折の後療施術を行おうとする場合には、医師の同意を得るようにとの規制があるものと解すことができますね。

次に、この「医師の同意」とは、何についての同意でしょうか?

これは、「患部に対して後療施術を柔道整復師が行っても大丈夫ですよ」と言うものです。
言い換えれば、「脱臼である」とか「骨折である」と言う診断は、この「同意」の中には含まれていないと解すことができるでしょう。

脱臼の場合、それを整復してしまうと関節構成体の位置関係は正常(原位置)となります。
結果、捻挫と言う診断が下されても致し方ないでしょうね。

それなら、脱臼の整復を行わずに対診?
いえいえ、応急手当で1分1秒でも早く、整復を行って痛みから解放してあげるべきですね。

Y先生の対処に間違いはありません。

対診先からの回答が「捻挫」であると言うことは、いわばY先生の整復が適切に行われたことを裏付けているわけですね。
また、この回答をもって後療施術を行っても良いと解すことができるのではないでしょうか?
もし、後療施術について同意が得られないのであれば、対診先からの回答は後療施術を禁じる内容になるはずです。

完全脱臼であれば、その外観を見て患者さんでさえ脱臼であることに予想がつくはずです。
いざとなれば、患者さんが受傷時(整復前)の外観について述べてくれるでしょう。

太郎であれば、以上のように解釈して、脱臼として保険請求を行いますね。
【注意】
今日のBlogは、保険請求に関する太郎の考え方をお話したものです。

脱臼の後療施術を行おうとする場合に必要となる医師の同意に関する考え方をはじめ、その場合の保険請求上の取り扱いに関しては、所属される団体によって異なる可能性があります。

実際の実務については、所属される団体の保険部に問い合わせるなどして行って下さい。


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