昨日のBlogでは、後十字靭帯(PCL)損傷に見られるsag sign(サグ・サイン)についてお話しました。

sag signは踵を台の上に置かずとも、ベッドの上で膝を立てただけでも確認が可能ですね。

PCL損傷の鑑別にはsag signの他、徒手検査法として後方押し込みテストがあります。

Drawer sign







Drawer sign(ドロウワー・サイン) :
患者を背臥位、股関節45°、膝関節90°屈曲して検者は殿部を足関節内・外転、内・外返し中間位の前足部に乗せて固定する。
次に脛骨中枢端を検者の両手でつかみ、静かに前後方向に引いたり押したりして膝関節の動揺性を確認する。

Drawer signで脛骨中枢端を前方に引くのは前方引き出してスト、後方に押すのは後方押し込みテストと呼ばれます。

前者は前十字靭帯(ACL)損傷を、後者はPCL損傷を見る検査法です。

PCL損傷に対して前方引き出してストを施行






さて、昨日登場したYuちゃんの膝はPCL損傷でした。
この場合に行う徒手検査法は後方押し込みテストとなります。
でも、昨日のBlogではそれを行わず、前方引き出しテストを行っていたのにお気づきですか?

PCL損傷は、徒手検査を行わずともsag signで確認が行えます。
PCLを損傷した患者さんが来院された場合は、sag signを見ようとしただけで疼痛を訴えるか、膝の違和感(不安感?)を訴えます。

そのような患者さんに後方押し込みテストを行うのは、どんなものでしょうか?
後方押し込みテストを行うのは言わば、PCLの断裂を助長させるようなもの。

ですから、PCL損傷が疑われる患者さんには後方押し込みテストを行うのではなく、sag signや前方引き出しテストを行うのがお勧めかも知れませんね。

要は、教科書をはじめ徒手検査法を紹介する書籍にあるようなテスト法は、それを少しだけ行うのにとどめることです。

前方引き出しテストや後方押し込みテストでは、びっくりするほど脛骨が前後に移動します。
ついつい、どの辺りまで移動するのだろう?と思って力を入れ過ぎて見てしまいます。

そんなことをした患者さんに限って経過は非常に悪く、治癒するまでに長期を要します。

徒手検査は、病変の確定こそはできても施術(治療)には全く効果をもたらしません。
特に、膝関節に行う徒手検査法は注意が必要です。


【参考文献】
「柔道整復学−理論編」 (社)全国柔道整復学校協会 教科書委員会編集・平成15年4月・改訂第4版


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