「接骨院の受療(受診)妨害」という言葉を耳にされたことはありますか?

健康保険組合をはじめとする保険者が、患者さん(被保険者)に対して私たち柔道整復師の施術を受けないように促そうとするものです。

医療保険財政が逼迫してきていることもその背景にあるのですが、元はと言えば、私たち柔道整復師業界のルールを守らない柔道整復師が増えてきたことにもその一因がありそうです。

保険者はこれを「医療費の適正化」と称していますが、中には度を過ぎている(?)ものも見受けられるのが事実です。


一部(複数)の健康保険組合では被保険者に対し、接骨院を受療した場合の療養費支給申請書(レセプト)への署名は、負傷名、日数および金額を確認の上行うように促しています。

私たち柔道整復師の保険施術は受療委任払いですから、患者さんから療養費の受療委任を受けて成り立つものです。

患者さんが柔道整復師に委任を行った証(あかし)として、レセプトの委任欄に署名を行ってもらいます。

でも、負傷日、日数および金額を確認した上で署名を行ってもらうとなると不具合が生じます。

負傷日は初検の段階で分かるものですが、日数や金額はその月が終わらないと確定しません。

と言うことは、毎月、月末が済んで次の月に変わってから、患者さんに署名をもらうことになります。

とは言え、レセプトの提出締め切りは毎月5日、締め切りが遅い所属団体でもせいぜい7日です。

そうなると、月末が済んでその月のレセプトを仕上げ、一軒一軒患者さんの家を回って署名をもらうことになりそうです。

「療養費支給申請書は、受療者が柔道整復師に健康保険組合への請求を委任するものです。白紙の用紙にサインしてしまうのは間違いにつながる恐れがありますので注意してください」と被保険者に警告する保険者もあるようです。

ごもっともなようですが、月末を過ぎてから(レセプトに負傷日、日数および金額が書き込まれてから)でないと署名してはいけないと言うならば、署名してもらえるまでの間は受療委任がなされていないことを意味します。

受療委任がなされていないということは、患者さんには費用の全額を立て替えてもらう必要が生じてきます。

月末が過ぎるまでの間は施術のたびに費用の全額を立て替えてもらい、月末を過ぎてからレセプトを確認してもらう。
レセプトを確認してもらってから署名を行ってもらい、それと引き換えに立て替えてもらっていた費用(保険請求分)を返金する必要が生じてきます。

これでは、受領委任払い制度の意味がありませんね。

太郎の接骨院でも以前、患者さんが「保険者からはレセプトの記載内容を確認してから署名するように指導されているのですが・・・」と言われました。

その患者さんには白紙のレセプトに署名してもらわず、月が替わってから施術日数や金額が書き込まれたレセプトを確認してもらった上で署名してもらいました。
ただし、署名してもらうまでの間は毎回、施術に要した費用の全額(10割額)を立て替えてもらいました。

施術のたびに費用の全額を立て替えてもらっている時、患者さんは「健康保険が適用されているのですか?」と言う質問がなされました。
もちろん「立て替えて頂いている金額は健康保険の一部負担金額ではなく、健康保険適用前の費用の全額です」とお答えしました。

その時、患者さんは「健康保険が適用されるはずなのに、費用の全額(10割)を立て替えるのはおかしい!」とおっしゃられましたが、「健康保険を適用させるための受療委任の署名がなされていないのだから、署名を行ってもらうまでの間は10割額をいったん立て替えてもらいます」と説明しました。

一般に言う白紙委任に対する指導としては保険者の言うことにも間違いはないのでしょうが、ことのほか柔道整復師の保険施術における受領委任で白紙委任を問題視されてしまうとこのような不具合が生じてしまいます。


冒頭でも触れたように、一部の柔道整復師に施術日数の水増しを行う者がいた結果、このような事実を招いたものかと思われます。

私たちの先輩である柔道整復師の人たちが勝ち取ってくれた受療委任払い制度の適用です。
この権利を今後も継続して持ち続けるためには、保険者から信頼される柔道整復師でなければならないのです。

【参考】
相山接骨院HP健康保険組合からのお知らせに対する注釈


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