太郎が初めて整復した外傷は肘内障です。

見習い(就職)先に、ぎゃぁぎゃぁと泣き叫ぶ幼児が来院されました。

その時は既に、初検で来院された患者さんでも検査に当たり、判断がつきかねるももの以外はほとんど自分が施術を行っていました。

お師匠さんは、患者さんの様子に応じて私の施術前や施術後に見てくれます。

幼児のお母さんからは「手を引いた途端、急に泣き叫びだした」と聞きましたので、「肘内障かな?」と思い、お師匠さんに「肘内障らしい患者さんが来ています」と報告すると共に整復を依頼しました。

それまでも、骨折や脱臼などが疑われる患者さんは自分が検査や処置を行うことなく、お師匠さんに報告すると共に整復を依頼し、自分は助手として対抗牽引や整復後の固定などしかしたことがありませんでしたから。

ところがその日は、いつものお師匠さんとは異なりました。

「あっ、そう。それなら君が見ておいて下さい」

肘内障の整復は実際にやったことはないものの、先輩から教えてもらって何度もシミュレーションを行ってあります。

お師匠さんの腕を借りて整復操作を行った際は、「これなら患者さんが痛がらずに整復できるでしょう!」というお墨付きをもらったこともあります。

肘内障の整復は行ったことがないものの、ある程度の自信があったように思えます。

でも、お師匠さんにその幼児を見るようにと言われた途端、急に冷や汗が吹き出てきたように思います。

いざ、幼児を前に検査を行おうとすると、先ほどまでは「肘内障だろう!」と思っていたのが「これだけ痛がっているのだから、上腕骨顆上骨折かも知れないんじゃないだろうか?」とか「鎖骨骨折の疑いもあるかも」など、いろんな疑問が頭の中をよぎってきます。(>_<)

「いや〜っ、これは肘内障だろう!」と判断をつけて、整復を行おうと幼児の手を持っても、「あれっ、肘内障の整復って、こんな持ち方で良かったのかな〜?」。

あれだけ回数を重ねた整復練習なのに、いざ本物の患者さんを前にすると、頭の中が真っ白になってしまいました。

なんか、ものすごく長い時間、整復操作を行ったような気もします。
自分が整復したのには間違いないのですが、どのようにして整復を行ったのかさえ記憶が飛んでしまっています。

認定実技審査に臨む学生の皆さんは、この時の太郎のような感じで受験するのでしょうね。

このように、どの柔道整復師であっても初めて整復した時があります。
太郎のように学校で偉そうに教鞭を執っている者や、学会で数多くの症例を報告している人も初めての整復があるのです。

初めて整復する場面に直面するまでは、これだけ練習してあれば整復できるだろう!なんて思いがち。

太郎は気が小さいものですから、初めての整復で頭が真っ白になっったのかも知れません。
記憶が飛んでしまったのかも知れません。

でも、初めての整復に際しては誰でも少なからずの緊張感は感じるでしょう?

人それぞれに感じる緊張感は異なるでしょうが、緊張を感じながらも正確かつ速やかに整復できるよう身体で覚えておいた方が良いかも知れませんね。

できればいろんな人の手や足を借りて、整復シミュレーションを行っておくのがお勧めですね。

皆さんの初めての整復が、太郎のように頭が真っ白になって記憶が飛んでしまわないようにならないことをお祈りします。(^^;


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