60歳の女性Fさん(会社員)が、「自転車同士で衝突しそうになってケガをした」と言って来院されました。

生活道路を自転車で走っていて交差点に差し掛かったところ、前方から来た自転車と衝突しそうになり、それを避けながら急ブレーキをかけたそうです。
自転車同士が当たることはありませんでしたが、急ブレーキをかけた際、右中指がハンドルに取り付けられてあったベルの部分に当たったように思えるとのこと。
とっさのことで記憶は定かではなさそうです。
なお、両足で踏ん張ったため、転倒はしていません。

右第3基節骨部に腫脹






自発痛はほとんどないものの、右中指基節骨の部分だけに腫脹が見られます。
運動痛もなく、基節骨中央部の背側に限局性圧痛を認める程度です。

Fさんの受傷は来院した当日です。
その場合は必ず、何時ごろに受傷したか聞いておく必要があるでしょう。

Fさんが受傷したのは来院の2時間前。
受傷から僅か2時間でこれだけ腫脹が及んでくる場合は骨損傷が懸念されるところです。

Fさんは右中指の腫脹の他、右肩関節後面と右肩甲骨内縁に疼痛を訴えています。
急ブレーキに際して腕で踏ん張り、ハンドルから上肢の長軸方向に外力が伝わって、肩関節や肩甲骨に及んだことが推測できます。
Fさんの負傷に際してかかった外力が小さくないことが推測できます。
このような自転車やバイクなどによる交通外傷は思いのほか外力が大きく、単につまずいて転ぶなどするよりも損傷が大きくなりがちです。

エコー(超音波観察装置)で検査しましたが、特に病変は見当たりません。
Fさんには「整形外科で検査したらヒビか何か確認できるかも」と対診を提案しましたが、元より症状が軽微であったため、対診は見合わせたいとのこと。
そういうわけで、腫脹や圧痛がなかなか改善しないようなら対診を行うという条件付きで、対診を留保することにしました。

運動痛もなく、限局性圧痛と僅かな自発痛のみの症状。
対診したところで「骨損所見なし!」かせいぜい「骨膜損傷が疑われます!」という回答が得られるのが関の山でしょう。
以前にも指摘を受けたことがありますが、対診先の先生からは「太郎君はちょっと疑問があるだけで対診するね〜。大げさだよ!」と言われそうです。(ーー;)

処置にしても、不全骨折(骨膜損傷)ではプライトンによる固定、骨損所見がなければ冷湿布だけといったところです。

Fさんの患部には冷湿布をして、包帯を施行しました。
包帯は湿布の被覆にとどまらず、中指と環指(第4指)をまとめて手関節上部の環行帯に終わるもの。
副子こそはありませんが、湿布が副子となる(?)上に包帯で固定していますから指の屈曲は不可能で、固定しているのと何ら代わりありません。(*^^)v

【追記】
指骨骨折(不全骨折を含む)を鑑別する方法として軸圧痛があります。
Fさんの指に軸圧を加えると、僅かながら痛みがあると訴えました。
軸圧痛を訴える場合は骨折を示唆しますが、Fさんの訴えは骨折に見られる軸圧痛とはちょっと違うような気がします。(ーー?)
なお、Fさんの負傷で考えられるのは剥離骨折です。
この場合は軸圧痛を認めません。


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