昨日のBlogでは超音波画像観察装置(エコー)について触れましたが、これについて少し補足しておきましょう。

私たち柔道整復師が用いるエコーは、「超音波画像観察装置」と呼ばれます。
時々、「医療機関にある超音波画像診断装置とどう違うのですか?」という質問を受けますが、器械装置そのものは医師が用いる超音波画像診断装置と何ら変わりません。
太郎の接骨院で使っているエコーも、器械本体裏側には「超音波画像診断装置」と表示されています。
それをあえて「超音波画像観察装置」と呼ぶのは、私たち柔道整復師には診断を行う行為が認められていないからです。(*1)

そう答えると、今度は、「超音波画像診断装置でも観察装置でも同じ器械であるし、患者さんの傷病を診断するのには変わりないのではないですか?」という質問が出てきます。
(^^;

エコーは、病変部分に超音波を照射します。
同一密度の組織内ではそれが直進しますが、密度の異なる境界面では反射と散乱を生じます。
要するに、筋と骨では前者が薄い白色で後者が濃い白色に描出(びょうしゅつ)されたり、血腫は黒く描出されるなど、組織ごとに超音波の反射が異なるために描出される画像に色調(濃度)の変化が現れるのです。
なお、エコー画像は白黒画像で、その画像が画面に映し出されることを描出と呼びます。

エコーは確かに、接骨院で用いられる他の医療器械とは異なり、治療効果をもたらすものではありません。
治療機械ではなく、検査器械の一つと言えるでしょう。

私たち柔道整復師は患部の様子をエコー画像に描出し、それを見ることをしますが、これはあくまでも施術の補助として行うものです。
この画像を元に、診断を行うものではありません。

施術の補助とは、例えば、損傷靭帯付近の血腫がなくなってきたから圧迫包帯を除去しようとか、損傷した筋断端がまだ癒合していないからまだしばらくは固定を続けようなど、施術を行う上での情報収集に用いると言うことです。

これに対して医師は、エコーを用いて診断を行います。
具体的には、描出された画像を元に、腱板が損傷されている(腱板断裂)とか靭帯が断裂しているなど診断を行うわけです。

もう少し解りやすく言えば、描出された画像を患者さんに見せて、それを説明して診断名を告げる行為と考えれば良いでしょう。
従って、柔道整復師がエコーを用いた場合、その画像を患者さんに見せて説明し、診断名を告げる行為は許されないことになります。

ただ、柔道整復師は、腱板損傷や靭帯損傷など、いわゆる軟部組織損傷(打撲・捻挫・挫傷など)に該当するものは医師の同意を得ずして施術が行えます。
また、施術に際しては、患者さんの病状についてインフォームド・コンセント(説明と同意)を行わなければなりません。
と言うことは、腱板損傷や靭帯損傷では、患者さんにその損傷程度や状況について説明しなければならないわけですね。
自ずと、「前距腓靭帯と言う靭帯を損傷しています。これは足関節の捻挫です」というふうに、傷病名を告げることも必要となります。

しかし、前述したように、柔道整復師は診断行為を行ってはいけません。
難しいところですね。

ここで、厚生労働省医政局医事課長が岐阜県健康局長あてに発出した文書を紹介しましょう。
これは、平成14年8月に、岐阜県健康局長が厚生労働省医政局医事課長に対して、柔道整復師がその施術所で超音波画像診断装置を使用しても良いかと照会した文書に対する回答です。(*2)


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医政医発第0909001号 平成15年9月9日

岐阜県健康局長殿

厚生労働省医政局医事課長


施術所における柔道整復師による超音波画像診断装置の使用について(回答)


平成14年8月9日付け医整第445号にて照会のあった標記の件について、下記のとおり回答する。





検査自体に人体に対する危険性がなく、かつ、柔道整復師が施術に関わる判断の参考とする超音波検査については、柔道整復の業務の中で行われることもある。
ただし、診療の補助として超音波検査を行うことについては、柔道整復の業務の範囲を超えるものである。

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このように、柔道整復師が超音波画像観察(診断)装置を使用することは許されています。
ただし、「施術に関わる判断の参考として用いる検査」としてであって、「診療の補助」ではありません。

診断についてもいろいろな考え方があるのですが、当たり障りのない方法として、次のような考え方が無難なところでしょうか。(^^;


【柔道整復師が用いる超音波画像観察(診断)装置の取り扱いについて】

1) 装置名の表現について
「超音波画像観察装置」、「超音波画像診断装置」のいずれの表現を用いても問題ありません。

2) 超音波画像の見方について
患部の損傷程度の把握や施術方針を決定するための判断材料として、柔道整復師が超音波画像を見て用いることは問題ありません。

3) 超音波画像を用いた患者さんに対するインフォームド・コンセントについて
「ここで骨折している」「ここで靭帯が断裂している」と診断と判断されかねない断定的な説明は好ましくないかも知れません。
インフォームド・コンセントとして超音波画像から得られる所見を患者さんに告げるのは許される範囲内と解釈されていますので、この場合は「ここで骨折しているように見えますね」「ここで靭帯が断裂しているように見えますね」と言う表現を用いるべきでしょう。
また、その超音波画像から得られた所見を確定(診断)するためには、医療機関で検査を受けてもらうように勧めれば良いと考えられます。

(*1)
本文では、医師が用いるものは超音波画像診断装置で、柔道整復師が用いるものは超音波画像観察装置と表現しましたが、装置そのものは同じものである上、厚生労働省による見解も明らかとなったこともあって現在では、柔道整復師が用いるものも超音波画像診断装置と呼ばれる傾向にあります。

(*2)
本文中に掲載した医政医発第0909001号文書(平成15年9月9日付け)は、株式会社エス・エス・ビー 三朝氏から提供を受けました。m(__)m


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