肩に痛みを訴えて来院する患者さんは少なくありません。
中でも、上腕二頭筋長頭腱(以下「バイセプス」と言います)部に圧痛を認める患者さんは多いことかと思います。
いわゆる肩関節周囲炎を伴った人によく見られる所見です。

さて、このような患者さんに対しては、炎症症状の伴う急性期には安静を保ち、炎症症状が消退した回復期(慢性期)になってから運動療法を始めるのが一般的です。

それでは、このような患者さんが急性期にあるのか、また回復期にあるのかと言う判断は、何をもって行えばよいでしょうか?
痛そうだったら急性期? それとも、ROM制限はあっても可動域の範囲内での運動に痛みが生じなかったら慢性期?

バイセプスにおける炎症の有無を検査する方法として、バイセプス・ストレッチ・テストがあります。
本来、このテストはバイセプスを取り巻く腱鞘で炎症を伴っているかどうか判断するものですが、少し注意深く観察することによって運動療法を行う時の指標となります。

上腕二頭筋長頭腱伸展テスト
(biceps stretch test=バイセプス・ストレッチ・テスト)

患者さんの肘を持ち、肘関節を伸展したまま肩関節を(後方に)伸展させていく。
肩関節に痛みを感じた時、肘の力を抜かせて肘関節を屈曲させる。
この時、肩関節の痛みが消失すると陽性。

このテストが陽性の場合は、回復期に移行したバイセプスの腱鞘炎が疑われます。
肘関節を屈曲させてもすぐ痛みが消失しない場合は、その痛みの程度によって判断します。

a) 肘関節屈曲後、徐々に痛みが減少して消失に至る場合は、急性期または亜急性期にあるバイセプスの腱鞘炎。

b) 肘関節を屈曲しても痛みが変わらない場合は、バイセプスの損傷や急性期にあるバイセプスの腱鞘炎。


回復期に移行したバイセプスの腱鞘炎では、温熱療法を施行した上で運動療法を行います。

a)の場合はその程度にもよりますが、温熱療法か安静か、判断が難しいところです。
従って、運動療法を行うにしても、自動運動にとどめるべきでしょう。

b)の場合は運動療法が禁忌となることはもちろん、その傷病に対する処置を考える必要があるかも知れません。


【参考文献】
「あん摩・マッサージ・指圧・鍼・灸・柔道整復受験ポイントマスター」 (医道の日本社)


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