この春、太郎の学校を卒業したKさんが、学校にやって来てくれました。
柔道整復師免許を取得したものの、思うような就職先が見つからずにいたそうです。
それよりも、Kさんの年齢的な理由もあって、なかなか就職先が見つからなかったのかも知れません。
Kさんは社会人を経験して、太郎の学校に入学してきました。
年齢も、太郎とほとんど変わりません。

卒業生が顔を見せにやって来てくれるだけでも嬉しいのに、就職の報告にわざわざ足を運んで来てくれたKさん。
太郎が学校に出勤する曜日に合わせてやって来てくれたようです。

Kさんは、開業を目指しています。
そのために研修して、臨床経験を積み重ねたいと言います。

「これから接骨院に就職して研修しますが、開業までにここ1軒だけで研修を続ければ良いでしょうか? それとも、何軒かの接骨院で研修を重ねた方が良いでしょうか?」

接骨院の場合、診断を確定させるまでのプロセスにはじまり、診断、そしてそれに対する治療法は、接骨院によって大きく異なってきます。
前距腓靭帯損傷などでは診断から治療に至るまでほぼ同じ経路をたどるでしょうが、腰部捻挫などでは診断(病変の確定)から治療に至るまで、接骨院によって多種多様であることも稀ではありません。

昨今の接骨院現場では、骨折や脱臼よりも、腰痛などの軟部組織損傷に対する治療が多くなってきています。
それだけに、傷病に対する考え方や治療方法などは多岐にわたると言えるでしょう。
余談ですが、これが柔道整復施術が学問として認められない原因の一つです。

さて、Kさんの質問に対する回答は、人それぞれによって異なるでしょう。

一つの接骨院で研修を積み重ね、研修を行った接骨院のレプリカ的な接骨院を作ることも悪くはありません。
研修先接骨院のレプリカを作るのであれば、その研修先の接骨院の診断方法や治療方法には絶対的な信頼を持てるはずですね?

接骨院によって診断方法や治療法方が異なるのであれば、複数の接骨院で研修を重ね、オールマイティ(?)な診断方法や治療法法を身につけるという考え方もあります。
この場合は、一つの接骨院あたりで研修する期間は短くなりがちですから、一つの接骨院で研修を積み重ねるのに比較して、研修で得る知識や技術はやや浅くなってしまうかも知れません。

就職(研修)してもらう側となる接骨院としては、できれば長い間、勤務し続けてもらう方が有難いかも知れませんね。
でも、接骨院の中には研修生の立場を考えて、できれば複数の接骨院で知識や技術を習得できるように、2、3年間の勤務を経て次の研修先を探すように促すところもあります。

1軒の接骨院で研修を積み重ねて開業する方法と、複数の接骨院で研修を積み重ねて開業する方法。
どちらが良くて、どちらが悪いなんて、なかなか決めかねますね。

でも、一つだけ言えることがあります。
研修期間が長ければ長いほど、それに比例して知識や技術が習得できるか?と言えば、案外そうでもなさそうです。
例えば、1年間研修したAさんと5年間研修したBさんでは、臨床経験こそBさんの方が長いですね。
でも、Aさんは1年の間、毎日熱心に研修に取り組んだのに対して、Bさんはただ臨床に出て施術に携わるだけだったらどうでしょうか?
Aさんの知識や技術は、Bさんの知識や技術より優位に立っている場合も少なくありません。
要は、漠然と研修を続けるのではなく、毎日の施術でどれだけの疑問を感じて、それらの疑問を解決するために試行錯誤を繰り返したかによるのです。

太郎の先輩に当たる先生方もこのBlogを読んで下さっているのに、また偉そうなことを書いてしまいました。m(__)m

「卒業して半年経って、ようやく就職先が決まりました。長い間、ご心配をおかけしました」

あぁ、ダメですね〜。(^^;
近ごろ、感傷的になってきたのでしょうか?
何気なしにKさんの口から放たれた言葉なのでしょうが、太郎の心にグッときます。
Kさんが在学していた3年間の記憶がよみがえってきます。
懐かしいなぁ。

「講義があるので、これで失礼します」と言ってKさんとの話を打ち切り、教務室を後にした太郎。
太郎の心は嬉しさに満ちていました。

【補足】
今日のBlogでは、理解して頂きやすいようにあえて「診断」という表現を用いました。
これは、病変を確定させるという意味で用いてあります。


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