症状経過・治療内容






10) 初診から現在までの主要症状並びに治療内容

ここには、次の内容を記載する必要があります。

初検時における主要症状
現在(転帰時)までの主要症状の遷り変わり(症状の経過)
現在(転帰時)の主要症状の結果
治療内容


具体的には、次のようなことを書きます。

まず、初検時に確認した主たる症状を記載します。その他、それに付随する症状も記載します。

初検時に見られた主たる症状やそれに付随した症状が、転帰時までにどのような経過をたどったか記載します。

転帰時において主たる症状やそれに付随した症状が改善されたか(治ったか?)、まだ症状として残っているのかなどを記載します。

どのような治療を行ったのかを記載します。


たくさんの事柄を書かなければなりませんが、記載欄には限りがありますから、簡略に必要な事項をピックアップする必要があります。

まず、 銑の部分を例を挙げてお話します。


【例A/右足関節捻挫】

初検時、自発痛著しく歩行荷重に支障を来たす。
外果下部に腫脹を呈し、前距腓靭帯部に限局性圧痛および内反痛を認める。
経過は比較的良好にて治癒に至る。


【例A/解説】

初検時の主要症状やそれに付随する症状
「著しい自発痛と歩行荷重障害」が初検時の主要症状です。
そして、「外果下部の腫脹、前距腓靭帯部の限局性圧痛、内反痛」がそれに付随する症状です。

転帰時までの経過
「経過は比較的良好」という表現だけで、転帰時までの経過が良かったことを示しています。

転帰時の主要症状の結果
「治癒に至る」は、転帰時の結果を示しています。


このBlogで紹介している診断書は、通院日の記載欄(後述)は7か月分もあります。
ほとんどの診断書は半年分前後の通院日の記載欄がありますので、多くは傷病が治癒してからこの診断書を作成することになります。

ですから、「E承∋の主要症状の結果」は、「治癒に至る」となるものが多いでしょう。


なお、「 転帰時までの経過」としての記載方法には、次のようなものが挙げられます。


【例B】

・経過良好にて治癒に至る。
・経過は比較的良好にて治癒に至る。

・経過は緩慢ながら治癒に至る。
・歩行荷重痛が去り難かったが治癒に至る。
・内反痛が去り難く、長期固定を施行した結果、足関節に軽度の拘縮を招いた。


治っていくまでの経過がスムーズであれば、「経過良好」とします。
ちょっと治るのが遅いかな?と思う程度であれば、「緩慢ながら」という表現を用いると良いでしょう。
治り具合が悪かったのであれば、【例B】に掲げたように、具体的にどのような症状の治りが悪かったのか記載しておきます。

転帰で「治癒」は治ったことを指しますが、実務的にはもう少し詳しく分類ができます。


【治癒の分類】

a) 治癒
完全に治った場合。

b) 治癒見込み
転帰時時点ではまだ何らかの症状が僅かに残っているものの、あとは特段の加療をせずとも時間的な経過に伴って治ってしまうことが予測できる場合、治癒を見込むことができます。
治癒を見込んだ場合、治癒と同様に扱われます。

c) 症状固定
実際は治ったとは言えないのですが、転帰時現在において何らかの症状が残っているのですが、それに対して今後どれだけ治療を施しても全く改善が見込まれない状態を指します。
「症状が固まってしまった=それ以上、改善されない」という意味です。
この場合、転帰は「治癒」または「中止」で処理します。


なお、前述した「治癒見込み」または「症状固定」の場合は、その旨を記載しておきます。
また、治癒見込み時点に残っている症状や、症状固定となった時の症状も記載しておきます。


【例C】

・外果下部に微慢性腫脹、内反痛が去り難く、転帰時現在もその症状を僅かに残すが、日常生活動作上に支障を来たさなくなったため治癒を見込む。
・前距腓靭帯部付着部に軽度の圧痛、他動的な内反に軽度の疼痛を訴えているが、症状固定として治癒を見込む。


治療の途中(治癒しないうち)に診断書を発行する場合(転帰が「継続」、「中止」または「転医」)は、転帰時現在においてはまだ、症状が残っていることになります。
その場合は、転帰時現在の症状を記載しておきます。


【例D】

・(継続の場合)転帰時現在もなお、足内反制限を訴え、歩行荷重障害を認める。
・(中止の場合)外果部の腫脹および内反痛を残しているが中止。
・(転医の場合)自発痛去り難く、歩行荷重に支障を来たしたまま、○○整形外科(○○市に)転医。


転帰が転医の場合は、【例D】に記したように、分かれば転医先医療機関の名称および所在地も記載しておきます。
できれば、【例E】のように、転医の理由も記載しておくのが良い方法です。


【例E】

・経過が緩慢で自発痛去り難く、歩行荷重障害が改善されないため、○○整形外科(○○市)に紹介の上、転医。
・自発痛および歩行荷重障害が改善されないため患者が転医を希望。○○整形外科(○○市)を紹介。
・自発痛および歩行荷重障害が改善されないため患者が○○整形外科(○○市)への転医を希望したため転医。


「初診から現在までの主要症状並びに治療内容」の欄には、「 初診時主要症状」、「 転帰時までの症状経過」、「 転帰時主要症状」に次いで最後に、「 治療内容」も記載する必要がありましたね。

「 治療内容」に記載する内容は、施術録の処置欄からピックアップして書くことになります。
具体的には、患者さんに対して行った処置の種類を記載します。


処置の種類には、次のようなものがあります。


【処置(治療)の種類】

・低周波
・極超短波(マイクロ波)
・超音波照射
・乾式ホットパック
・湿式ホットパック
・頸椎牽引
・腰椎牽引
・柔整手技
・運動療法 など

処置にはこの他、シーネ(副子)固定、テーピング固定、包帯固定などがありますが、固定に関しては「固定具使用の場合」記載欄(後述)に記載しますので、ここでは記載しません。

また、急性期(炎症期)には冷罨法を施行しているでしょうが、これは温罨法(温熱療法)に比較すると短い期間であるため、ここで記載しないのが一般的です。


「 治療内容」としての具体的な記載例は、次の通りです。


【例F】

・治療は、低周波通電、極超短波照射などのいわゆる物理学的療法。
・治療は、低周波通電、湿式ホットパック、腰椎牽引などのいわゆる物理学的療法。


低周波は「通電」、極超短波(マイクロ波)や超音波(超音波診断を除く)は「照射」とします。
治療として行ったものをいくつか列記した上で、その最後に「・・・などのいわゆる物理学的療法」と記しておけば、柔道整復師が行う施術として認識してもらえます。
なお、「理学療法」は理学療法士が行うものとなりますから、柔道整復施術の「物理学的療法」と区別すべきでしょう。

施行した治療の種類は全て列記する必要はありません。
主たる治療となるものをいくつか列記し、最後に総称として「物理学的療法」である旨記載しておけば差し支えありません。
このような理由から、前述したように「冷罨法」という治療の種類は記載しないのが一般的なのです。
記載するならば、「冷罨法」よりも多く施行されたであろう「温罨法」でしょうね。
なお、「温罨法」を行った旨記載したいのであれば、「温熱療法」とすれば良いでしょう。

 銑い鯆未靴撞載すると、次のようになります。


【例G/腰椎捻挫】

初検時、仙棘筋硬化著しく不橈性疼痛を認める。加療に伴い漸次改善。治癒に至る。
治療内容は、低周波通電、極超短波照射などの温熱療法を主とするいわゆる物理学的療法。


【例G】は簡単過ぎて、記載欄には余るほどですね。
ですから、【例G】に掲げた記載例よりもう少し詳細に症状等を書いても良いでしょう。
ただし、いくら詳細に記載するからと言って、記載欄からはみ出してしまうことは良くありません。

また、主要症状をはじめとする記載は、専門用語を用いるほか、医学的な論拠に基づくものでなければなりません。


明日のBlogにつづく】


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【例H/悪い記載例】

(専門用語を用いない記載例)
(誤) 内出血や腫れがなかなか引かず、階段の昇り降りにも支障を訴え続けていた。

(正) 皮下溢血や腫脹が去り難く、階段昇降などの日常生活動作に支障を訴え続けていた。

(医学的論拠に基づかない記載例/右足関節捻挫)
(誤) 内反捻挫による前距腓靭帯および腓腹筋損傷。他動的な足回内強制時に前距腓靭帯部および腓腹筋部に疼痛を認める。

(補足) 内反捻挫によって前距腓靭帯損傷は起こりますが、それによって腓腹筋損傷は一般的に考えられにくいですね。また、前距腓靭帯損傷であれば内反痛が症状として現れますが、他動的な足回内(外反)に疼痛を伴うのは一般的ではありません。

(正) 内反捻挫による前距腓靭帯損傷。内反痛は認められないが、他動的な足回内強制時に同靭帯部や腓腹部にも疼痛を訴える。

(補足) 内反捻挫によって前距腓靭帯損傷は問題ないためそのまま記載します。しかし、これによって腓腹筋損傷は考えられにくいため、この時点では記載していません。次いで他動的な回内痛が主要症状ですが、前距腓靭帯損傷に考えられるべき症状を記載すべきでしょう。この場合は、「内反痛は認められないが・・・」としています。そして、他動的足回内強制に伴って、前距腓靭帯および腓腹部に疼痛を訴える旨記載しました。(腓腹筋損傷である旨は記載せず、運動痛として腓腹部の疼痛を伴うとしています) また、(誤)の例示では「疼痛を認める」と記載しましたが、(正)の例示では「疼痛を訴える」にしました。この使い分けについては後述します。