「リハビリテーション医学(改訂第2版)」の教科書では、障害の3つのレベルの関係を【画像 曚里茲Δ房┐靴討い泙后

WHO国際障害分類初版(ICIDH)生涯構造モデル(1980)
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これは、1980年にWHO(世界保健機関)によって制定された「国際障害分類(機能障害・能力障害・社会的不利の国際分類)」(ICIDH)と呼ばれるものです。
このモデルは疾患・変調が原因となって機能・形態障害(機能障害と形態障害の総称で、前後関係で誤解の恐れがないときは機能障害あるいは形態障害でよい)が起こり、それから能力障害が生じ、それが社会的不利を起こすというものです。
一種の「バイパス」として直接機能・形態障害から社会的不利が生じる経路が示されていますが、これは例えば顔面のアザやひきつれのような形態障害が、それ自体は何らの能力障害を生じませんが、社会的不利を起こし得るといった場合とされていました。

重要な意義をもった国際障害分類初版でしたが、その意義を認めつつも色々な建設的な批判がなされました。
主観的障害の重要さに着目した上田 敏氏は1981年、【画像◆曚坊任欧覯正モデルを提起しました。

障害構造における主観的障害の意義



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この要点は、ー栖気ら直接社会的不利にいたる経路(バイパス)の追加(ハンセン病、エイズなどの疾患が例え何らかの機能・形態障害や能力障害がなくとも著しい社会的不利を起こす等)、⊂祿欧亮膣囘側面の追加で、このうち,禄斗廚任呂△襪部分的なもので、△呂呂襪に重要なものです。

一方、障害というマイナス面だけしか見ないのではなく、むしろ障害のある人の持つプラス面にこそ注目すべきだという意見が多くの人によって述べられました。

障害のある人に対してリハビリテーションを行う時の目的は、かつての人生への復帰ではなく、障害を持ったという条件下での、新しい、QOL(人生の質)の高い人生・生活の創造・確立です。
それを目指して行うリハビリテーションのプロセスは従来考えられてきたように障害を軽減する(マイナスを減らす)ことが主ではなく、むしろプラスを増大させることの方が重要である。大事なことは、このプラスとは今現在目の前にある「残存機能」ではなく、むしろ今は目に見えないが、適切な働きかけをすれば引き出すことのできる潜在的な機能・能力であるということです。【画像】

障害の概念と障害者の概念との異同−リハビリテーションの目指すもの



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カナダのケベックのグループは、社会的不利を固定的なものとして捉えるのではなく、「社会的不利状況」という名称で、流動的な状況として捉えるべきことを提唱しました。
そして、それがなぜ起こるのかということについて「環境因子」が重要であるとし、中でもマイナスに働く「障害物」と機能障害・能力障害との相互作用によって社会的不利状況が起こるという、「カナダモデル」を提唱しました。そして、その立場から国際障害分類初版のモデルにこのような環境因子が含まれていないことを批判しました。

これらの批判を受けてWHOは2001年、世界保健会議において国際障害分類の改定を行いました。
改訂の過程で国際障害分類の目的が、単に初版の場合に想定された(国際疾患分類:ICDと同様の)衛生統計のツール(道具)としてのものにとどまらず、初版発表以来の障害問題をめぐる状況の時代的変化や初版そのものの引き起こした思想的な影響等によって大きく変化したことが確認されました。

1) 障害分野における「共通言語」の確立(異なる専門の専門家同士の間、専門家と障害当事者の間、専門家や障害当事者と行政との間、等々の理解・協力の促進のための共通言語)
2) 保健・医療・福祉・介護・教育・職業等の場における障害の総合評価、サービス計画、結果評価等のための臨床的ツール
3) 障害分野の諸問題に関する調査・統計、特にその国際的な比較のための標準的な枠組み
4) 研究手段
5) 障害に関する各種制度・政策の基礎付け
6) その他、教育・啓発など多くの分野での活用

中でも、1つめの共通言語が重視されています。

ICF:国際生活機能分類の特徴

1) プラス面を示す名称の採用
2) 包括的名称としての「生活機能」と「障害」
3) 疾患から健康状態へ
4) 相互作用モデル【画像ぁ

ICF(国際生活機能分類、2001)の生活機能構造モデル



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5) 環境因子
6) 活動と参加との共通リスト
7) 活動の評価における「能力」と「実効状況」

【画像ぁ曚房┐垢茲ΔICFの生活機能構造モデルは全て両方向の矢印でつないだ2次元的で相互作用的なモデルとなり、全てが関連付けられるようになりました。

ところが、冒頭に述べたように、皆さんの「リハビリテーション医学」の教科書は未だに1980年当時のWHO国際障害分類初版(ICIDH)障害構造モデルが掲載されています。
この教科書の第1版発行は1993年3月20日ですからこの版はまだよしとしても、2002年5月には第1版第9刷が発行され、2003年4月には改訂第2版が発行されています。
改訂第2版が発行された当時はICF(国際生活機能分類、2001)の生活機能構造モデルが正式決定された2001年5月から2年を経ています。

先日のBlog(上腕骨近位端部骨折の分類−今と昔)で「柔道整復学」の教科書が20年前の理論のまま掲載されていることをお話しましたが、リハビリテーション医学まで古い理論を採用するというのは問題があるように思えます。

さて、国家試験の受験生の皆さんはどちらを覚えれば良いのでしょうか?
2001年にICF(国際生活機能分類、2001)の生活機能構造モデルが決定された後もなお、国家試験には1980年のWHO国際障害分類初版(ICIDH)障害構造モデルを元に出題されているのが現状です。
かと言って、現行は2001年のモデルなのですから、いつ、国家試験に新しいモデルが出題されても不思議ではありません。
教科書ベースの1980年モデルとともに、現行の2001年モデルも覚えておくべきでしょう。

【記事引用】
「ICF:国際生活機能分類と21世紀のリハビリテーション」(上田 敏)から抜粋


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