Blogの話題づくりに困っていた折、二児パパ先生からはご自分の経験談を提供してくれました。(^^♪
以下、二児パパ先生から頂いたメールをそのまま転記させて頂きます。m(__)m

----------

僕が経験した初めての骨折、おそらく「上腕骨解剖頸骨折」のお話です。

まだ、国家試験に合格して間もない頃の事です。
知人が勤務している老人ホームで認知症のお婆さんが深夜に転倒し、肩から落ちて強打。本人は痛みをすぐに忘れベッドに戻ったが、朝になると肩がちょっと腫れているから見て欲しいとの事でした。

連絡は昼頃にあり、急がないからという話だったので、用事を済ませ夕方に行きました。

早速様子を聞いてみると、ベッドでずっと寝ていたそうです。
安静にしていたのかなと、患部を視るため布団をめくると右肩が防具を着けたアメフト選手のように腫れ上がっていました。
色は赤と紫が入り混じり、予想していた腫れとは全く別の物でした。

尋常ではない、それを見た瞬間に耳から煙がでるように真っ白になりましたが、その中から頭に浮かんだのは「骨折」。

「ではどうする・・・熱は??」と浮かび確認すると微熱がありました。
次に浮かんだのが「骨折しているならば場所は・・・」と腕を触ろうとすると、激しく左手で抵抗されました。
ホームの職員さんに抑えて頂き、慎重にゆっくり細かく探しましたが、大きく腫れた右肩周辺はとても触って解るものではありませんでした。

次に浮かんだのは「動か・・・して・・・みる?」と、ゆ〜っくり肘を90度屈曲し、肩の辺りに僕の左手を当て、恐る恐る右手で外旋すると『クコッ』と両手に感触が伝わり、ビックリして

わっ!!!!\(゜□゜;)/っと手を放してしまいました。(失敗その1)


「う.....これがひょっとして軋轢音?」

・・・と思いつつ、手を放してしまった事に気付き慌て、パタッと外旋状態となった右肩を見ると外旋“し過ぎ”ているように見え、また頭が真っ白に・・・

「とにかくせめて場所の特定を・・・」と再び手を当て確認しました。

すると、肩峰下付近に軋轢音を確認する事が出来ました。
十数分の出来事ですが、ここまで何時間もかかったように感じました。

「僕にはどうしようもない」と骨折している事を伝え、すぐ救急車で病院へ行くように伝えましたが、職員さんに折れている場所を聞かれ、「ここがですね・・・」と軋轢音を感じた場所に触って確認して頂きました。

その際、軋轢音を感じてもらうように何回か内外旋してしまいました。(失敗その2)


帰ってすぐ本を確認して、一度確認した軋轢音はあまり再現するものではないと書いてあるのを読んだ時に青くなりました、、、。

後日電話があり「ナントカけい骨折だった」と伺い、どうなったか聞いてみると、「特に何もせず右肩に腰痛ベルトみたいなものを着けているが、お婆さんは“折れている”右手で美味しそうに食事をされている」そうでした。σ(^-^;)

固定方法が包帯やギプスではなく、腰痛ベルトを使うという事にとても驚きました。
数ヶ月後には何も無かったように右肩を動かしていたそうです。

----------


二児パパ先生は、整骨院に勤務されている勤務柔道整復師です。
ある老人ホームで入所者が転倒し、肩部を負傷したようです。
その老人ホームには二児パパ先生の知り合いの人が勤務していたので、二児パパ先生が呼び出されることに。

二児パパ先生が患者さんを見たのは、受傷から12時間あまり経った頃だったようです。
時間の経過に伴い患者さんの肩は腫れ、二児パパ先生が見た頃には「防具をつけたアメフト選手の肩のようだった」だったと例えています。
・・・そうなんですよね。上腕骨近位端部骨折で腫脹が伴ったもの(時間が経過したもの)は、二児パパ先生の例えにあるように腫れてきます。
ただ、太郎の臨床経験では解剖頸骨折が少ないため推測の域を越えないのですが、この患者さんの骨折線は外科頸に及んでいたのかも知れません。腫脹の程度が強いようですからね。

二児パパ先生のお話にもあるように、軋轢音を確認するのは必要最小限度にとどめるべきでしょうね。(^^;
軋轢音を何回確認しても、骨折していることには変わりありませんし、それで整復できるわけではありません。でも、初めて軋轢音に触れた時、「これが軋轢音かぁ〜!」などと、ついつい何度も再現したくなるものなんです。
ですから、二児パパ先生の犯してしまった過ちにもうなずけます。(^^;

二児パパ先生は、肩峰の下付近で軋轢音を触知したとあります。
太郎が行う触診は主に腋窩から行います。遠位骨片を内外旋させ、肩峰下付近で軋轢音を触知することもできるのでしょうが、腫脹が著明な場合は腋窩からの方が分かりやすいかも知れません。

上腕骨近位端部骨折の固定は近年、簡易なコルセットを用いて行われるのが主流になってきているようです。
ある整形外科医の先生からは、「高齢者に発生した上腕骨近位端部骨折は整復操作を行うことなくコルセットで固定し、骨癒合さえ得られれば良い」というのが整形外科における近年の考え方であると聞きました。
肩関節には相当のROM制限が残るものの、ADL上ほぼ支障を来たさないまでに改善されると言います。(高齢者にADL上必要な肩関節のROMは100度程度屈曲できれば問題ないとする考え方です)

患者さん個人によって必要とするROMは異なるでしょうが、うなずけなくもありません。
それならば、私たちが上腕骨近位端部骨折を整復する場合も、骨癒合後にその患者さんが必要とするROMを見越して(?)、必要に応じて骨軸を合わせる程度の整復でも良いと考えられます。

上腕骨近位端部骨折の固定








上腕骨近位端部骨折に対する簡易固定




(画像)は三角巾で患肢を提肘し、遠位骨片の転位状況(内転または外転)に応じて腋窩にタオルなどを入れ、バストバンドを用いて上腕を側胸壁に密着させています。
枕子となるタオルとバストバンドにより、槓杆作用を利用した固定をとっています。

【参考文献】
石黒隆ほか:上腕骨近位端粉砕骨折の保存的治療の適応と限界−下垂位での早期運動療法について−.Monthly Book Orthopaedics Vol.10 No.4:14-21,全日本病院出版会,2004

なお、画像はないのですが、近年では上腕骨近位端部骨折用のコルセットが多用されています。
そのコルセットは上腕骨近位端部からMP関節の手前までを覆いつつ、前掲の画像と同様に上腕を側胸壁に密着させた肢位を保持するようになったものです。


整骨太郎のホームページ
整骨太郎のひとりごと(Blog)−目次