太郎の学校では12日(火)、卒業試験を控えています。
3年生の皆さんは、この試験の結果によって卒業できるかどうか決まってしまいます。
気分的にもきっと落ち着かないでしょうね。(^^;

どこの学校の3年生の皆さんも、この時期、卒業試験を受けるのでしょうか?
国家試験も来月早々に控えています。
それだけに、卒業試験は国家試験の予行演習のような気持ちで受験されると良いでしょうね。φ(..)

手の舟状骨骨折は、国家試験を受験するに当たって必ず抑えておくべき骨折の一つですね。

これまで実施された15回の国家試験のうち、なんと11回も出題されています。
問題数としては、15問もあります。

【舟状骨骨折からの出題歴】
第2・3・15回=各1問
第4・5・6・7・8・11・12・13・14・15回=各2問
このうち第11・12・14回は各1問が臨床実地問題


出題されていないのは、第1、9、10回のわずか3回。
昨年実施された第15回試験では有鉤骨に関する問題が出題されましたが、それまでに出題された手根骨骨折の問題は皆、舟状骨骨折に関する問題なのです。

僭越ながら、私も国家試験に舟状骨骨折に関する問題を出題するのに賛成です。(^^;
舟状骨骨折は、臨床的にも注意が必要だからです。

まず、舟状骨骨折は、手根骨骨折のうち最も多く発生するんですよね。

骨折した部位によって、結節部骨折遠位1/3部の骨折中央1/3部の骨折近位1/3部の骨折の4つに分類されました。
なお、C羆1/3部の骨折は、医学書によっては「腰部の骨折」とか「体部の骨折」と表現される場合もあります。

4つの分類のうち、最も多発するのは「中央1/3部の骨折」です。

【参考】
〃訐疉瑤旅折+遠位1/3部の骨折・・・10%
C羆1/3部の骨折・・・70%
ざ甍1/3部の骨折・・・20%


症状には、手関節(特にsnuff box部=橈側)の腫脹や疼痛があります。
手関節の運動制限と、手関節の伸展(背屈)+橈屈に際して運動痛が著明です。
圧痛は、snuff box部舟状骨結節に認めます。
第1中手骨第2中手骨の骨軸に沿っては、軸圧痛も認められます。
握手をすると手根部に疼痛を訴えます。
また、陳旧性骨折では、手関節の運動痛、運動制限、脱力感などがあります。具体的には「腕立て伏せができない」とか、「座敷で手を付いて立ち上がれない」など。

前述した症状だけを見ていると判別しやすい(見つけやすい)ように思えるのですが、実際の臨床では、見落としてしまう可能性が決して低くはないのです。

転位のあるものをはじめ、X線検査で骨折線が確認できるものは見落とす可能性はまずないでしょう。
でも、初検時のX線検査では骨損所見が認められなかったのに、受傷から2週間も経過した頃にもう一度X線検査を行うと、舟状骨の両側(橈側および尺側)にうっすらと仮骨の形成を認めるものが少なくありません。
中には、初検時のX線検査では認められなかったのに、骨折線までもが確認できる場合もあるほどです。

第11回の国家試験では、次のような臨床実地問題が出題されています。

【問題93(第11回試験)】
24歳の男性。スノーボードで練習中転倒し、左手掌を雪面に強くついた。左手関節部付近に疼痛を訴えたが、症状は捻挫のようであり、医療機関でのエックス線診断によると、骨折線や脱臼は確認されなかった。キャスト材を用いた固定で患部の安静を図ったが、3週間後、左手関節スナッフボックス部に限局性圧痛があり、左手関節背屈、橈屈時の運動に疼痛がみられた。
この時点でまず行うべきことはどれか。


1. 包帯固定への変更
2. 温熱療法の開始
3. エックス線再検査の依頼
4. 神経損傷の確認


初検時の症状は捻挫のような軽症で、エックス線診断でも骨損所見が確認されていません。
この時のエックス線診断を鵜呑みにしたままであれば、舟状骨骨折の存在を見落とす危険がありますね。
実際の臨床でも、このようなことが起こっているのです。
この問題の答えは3が正解ですね。

それだけに手掌をついて手関節捻挫を疑う患者さんであっても、舟状骨骨折である可能性も視野に入れておくべきです。

このように、臨床の現場において見落としてしまう危険性をはらんでいる外傷であるからこそ、「柔道整復師になった後も忘れてはいけないよ!」という出題者の意図が働いて毎年のように出題されるのでしょうね。

さて、舟状骨の骨折を語る時、前述したような発生機序、分類、症状だけではちょっと足りませんね。
整復法は元より、固定・後療法、合併症・鑑別診断など、試験勉強で理解しておくべきことはまだ他にもあります。

舟状骨骨折が難治である理由も大切ですね。(理論編教科書 P.201)

これは、第4回の試験に出題されました。
剪断力」が、一つのキーワードでしたね。

また、「阻血性壊死」もキーワードです。
阻血性壊死は、近位骨片に起こるのでした。

中央1/3部(腰部)の骨折や近位1/3の骨折では、骨折する部位によっては近位骨片への血液供給が途絶えてしまいます。
血液供給の途絶によって、阻血性壊死を招きます。

もう一つ忘れてはならない後遺症は偽関節
偽関節は、固定の除去が早すぎた場合に招いてしまいます。

関節包内骨折であるものは、関節液が増量します。
その結果、仮骨形成を妨げる原因となります。

教科書では、舟状骨骨折の固定期間は約8〜12週と記載されています。

骨折した部位によっても異なるところですが、骨癒合期間の目安は以下に示すとおりです。

【舟状骨骨折の骨癒合期間(部位別分類による)】
遠位1/3部・・・6〜8週
中央1/3部・・・6〜8週
近位1/3部・・・10〜12週


舟状骨骨折の固定は、骨折線の閉鎖を認めるまで固定を継続することが望ましいとも言われます。
固定期間は文献によって様々ですが、概ね10〜14週、平均して12週と言ったところです。
また、近位1/3部の骨折は、観血療法の絶対適応とする文献もあるほどです。
なぜ、近位1/3部での骨折の固定期間が最も長く、また観血療法の絶対適応であるとも言われるのかお分かりですね?(分からない人は、もう一度Blogを最初から読み直してみましょう)

これまた教科書に記載はありませんが、舟状骨骨折の骨癒合期間は骨折部位のみならず、その骨折型によっても左右されるのです。

【舟状骨骨折の骨癒合期間(骨折型による)】
横骨折・・・約6週
斜骨折・・・約12週


斜骨折の場合は、横骨折の2倍もの骨癒合期間を要するようですね。

なお、舟状骨骨折については実技編教科書(P.94〜98)にも掲載されています。
ここにも大切なことがまとめられていますので、きちっと目を通しておきましょう。

それでは、今日の講義はおしまい。
お疲れさまでした。m(__)m


【参考文献】
副島 修:「手根骨骨折の診断と治療」MB Orthopaedics Vol.18-No.12:P.9-15,2006(全日本病院出版会)

【参考Blog】
お勧め学術誌−「Monthly Orthopaedics」



整骨太郎のホームページ
整骨太郎のひとりごと(Blog)−目次