問題 4 応急の手当について正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 患者の求めがあれば骨折の施術もできる。

2. 応急手当後には医師に紹介する。

3. 脱臼の患部を一応整復する。

4. 医師の同意を得ずに引き続き施術を行う。


これは、先日の国家試験で「午後の部」に出題された関係法規の問題です。

太郎の学校教務の模範解答は「2」と「3」。
また、他の学校の模範解答も多くがこのとおりのようです。

選択肢4は、論ずるまでもありませんね。
これは誤りです。

柔道整復師法第17条では「施術の制限」として、「柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない」と規定されています。

要するに、骨折や脱臼を受傷した患者さんに対して「骨折や脱臼の施術には医師の同意が必要ですから!」なんて言って全く施術をしないとすれば、患者さんにとっては気の毒なお話です。

骨折や脱臼を受傷した患者さんは、1分1秒でも早く、痛みを和らげて欲しいものです。
取り急ぎ、応急的にでも整復と固定を行い、患者さんの痛みをまず和らげてあげます。
骨折はともかく脱臼であれば、X線検査に頼らなくても整復を完了させてしまえます。

X線検査などで転位状況を確認してからでないと整復に着手できない場合や、整復に自信がない場合は、整復を行わず、固定だけ行うのも一つの方法です。
患部に動揺性を与えないように固定を行うのも、立派な応急手当に相当します。

患者さんにしてみれば、整復を完了してもらった上で固定してもらう方が、痛みは最も和らぎます。
でも、前述したような理由で整復を行わずとも、そのままにして動揺性を与えるままにしているのに比べれば、患部を固定してあげることによって痛みはかなり和らぐものです。

さて、選択肢にあるのは「医師の同意を得ずに引き続き施術を行う」とあります。
骨折や脱臼の場合で柔道整復師が応急手当が許されるのは、緊急性を要するからです。

整復や固定を行った後の後療施術を行う前からは、医師の同意を必要とします。
ですから、応急手当を行った後、引き続き医師の同意を得ずして施術はできませんね。


選択肢3は、「脱臼の患部を一応整復する」とあります。

一応?
Yahoo!辞書で「一応」とは、「1回」とか「十分ではないがひととおり」とあります。

脱臼の整復で「1回」行うと言うのはまだ良いとして、「十分ではないがひととおり」行うと言うのはどうも想像がつきません。(ーー;)

脱臼の整復は一発勝負です!
その場で整復を行って、その場で結果を出さなければなりません。

整復してみたものの、整復障害があって整復ができなかったケースを指すのでしょうか?
太郎はまだ、脱臼の整復を行って、整復ができなかったという経験がありませんが、もし整復障害が存在して整復ができなかった場合はその場で整復を中断して、医療機関に搬送するでしょうね。

でも、整復を行う前から「一応整復しよう」なんて思うことはありません。(ーー;)
あえて言うならば、脱臼の整復に慣れていなかった頃は、恐る恐るながらに整復しましたけどね。(^^;

やはり選択肢の「一応」の意味が理解しづらいのですが、「1回」整復を行ってみるのは良いでしょうし、「十分ではないがひととおり」行ってみることも、それで整復が完了すれば言うことなしでしょうし、もし完了できなかった場合は応急的に固定して医療機関に搬送すれば良いでしょう。

よって選択肢3は○で、解答の一つとなります。


残る解答はあと一つです。
選択肢1か選択肢2のいずれかということになります。

選択肢1は、「患者の求めがあれば骨折の施術もできる」というもの。

「施術」は、「初検としての施術(初回施術)」と「後療施術」に分けられます。

「初検としての施術(初回施術)」はさらに、「応急手当としての施術(応急手当)」と「それ以外の初回施術」に分けられるでしょう。
この場合の前者は骨折または脱臼で後療施術に先立って医師の同意を必要とするもの、後者は後療施術に先立って医師の同意を必要としない打撲や捻挫などの施術を指します。

今日のBlogの話題として取り上げている問題は、冒頭にも記したように「応急の手当てについて」と明記されています。

然るに、テーマは骨折または脱臼で後療施術に先立って医師の同意を必要とするものを指すと言えるでしょう。

さて、選択肢「患者の求めがあれば骨折の施術もできる」に戻りますが、ここに言う「施術」は、「応急手当としての施術」を指すのでしょうか?、それとも、「後療施術」を指すのでしょうか?

太郎の考え方では、テーマが応急手当についてなんだから、「応急手当としての施術」を指すのだろうと思いました。

また、厚生労働省(旧厚生省?)だったか県だったか忘れたのですが、以前、いずれかの官公庁からの通達文書(?)の中で、「柔道整復師が行う施術は患者さんの求めがあった場合に行うことができる」というのを目にしたことがあります。

柔道整復師の施術行為も民法の上では「契約」に相当しますから、患者さんから施術の求め(契約の申し込み)があるところへ、柔道整復師が施術を行う(契約の承諾)わけです。

【事例A】

 擺擬圓気鵝杤斉酸杏師に対して「施術をして下さい!」と求める。
   ↓
◆攴斉酸杏師】施術することに対して同意して施術を行う。


これを見ても分かるように、施術に先立って患者さんが柔道整復師に対して「施術をして下さい!」と求めています。

太郎が以前、通達文書(?)で目にしたのは、柔道整復師の方が患者さんに対して「施術をしてあげましょうか?」と施術を行うことについて同意を求めた上で施術を行い、療養費支給申請(健康保険請求)を行ったものでした。

【事例B】

 攴斉酸杏師】患者さんに対して「施術をさせて下さい!」と求める。
   ↓
◆擺擬圓気鵝杙椽僂鬚靴討發蕕Δ海箸紡个靴篤碓佞靴道椽僂鮗ける。


民法の規定では【事例B】のようなケースでも契約として成立するのですが、柔道整復師の施術行為の上ではこのようなケースが認められないとするものです。

従って、通達文書(?)にあった考え方を適用するならば、「患者さんの同意があったならば、骨折に対して(応急)施術もできる」となります。

むしろ、「患者さんの同意(施術の求め)がなければ、(応急)施術もできない」とも言えるでしょう。

以上のことから考えれば、選択肢1の解答は○となります。


しかし、太郎の学校教務の模範解答をはじめ、多くの学校教務では選択肢1は×と考えているようです。

これは、選択肢1の「患者の求めがあれば骨折の施術もできる」の「施術」を、応急手当としての施術ではなく、後療施術として考えているからでしょう。

選択肢1の記述中の「施術」が後療施術を指すのであれば、解答は×となります。
いくら患者さんの同意があったとしても、骨折の後療施術に対しては、医師の同意が必要なのですからね。


続いて、選択肢2の「応急手当後には医師に紹介する」です。

骨折の後療施術を行う場合は医師の同意が必要である旨は、法第17条に規定されています。

しかし、応急手当の後に医師に紹介を行うことが義務付けられているわけではありません。
ただ、これもまた、何かの通達文書で目にしたような記憶もあります。(^^;

でも、これが義務であったかどうかは記憶が定かではありません。

道義上、応急手当の後に医師に対して紹介するというのは正しい行為です。

しかし、法やその他の規定において考える時、ましてや選択肢1の記述と天秤にかけた場合、選択肢1と選択肢2のいずれが正しいのか判断に迷うところですね。(^^;


長いBlogとなりましたが、この問題の解答は、多くの学校教務が出した模範解答にあるように「2と3」かも知れません。

でも、もしかしたら(考えようによっては)解答が「1と3」かも知れません。

なお、太郎がこの問題を初めて解いたときは、解答を「1と3」にしていました。φ(..)


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