腕相撲や投球動作によって起こる骨折と言えば、どんな骨折でしたか?

そうですね。
上腕骨骨幹部に起こる螺旋状骨折です。

腕相撲によって起こったものは腕相撲骨折、投球動作によって起こったものは投球骨折と呼ばれます。

太郎が臨床で経験した上腕骨骨幹部の螺旋状骨折は、それほど多くはありません。(^^;

でも、同じ螺旋状骨折であっても骨折部位が常に真ん中(骨幹部中央部)とは限りません。
また、螺旋状骨折が起こる長さも異なるようです。

腕相撲骨折や投球骨折は自家筋力による骨折です。
ですから当初、太郎は骨折部位の違いは上腕骨に回旋力が作用した肩関節周囲の筋の違いによって異なるのかな?と、漠然と思っていました。
また、螺旋状骨折が起こる長さは、患者さんの上腕骨の強さ(回旋力に対する抵抗力)であるとか、回旋力が作用した強さによって変化するように思っていました。

腕相撲や投球動作によって上腕骨骨幹部に螺旋状骨折が起こったものは、上腕骨骨幹部に回旋力(捻転力)が加わって発生したことは疑う余地はありませんね。

これは、教科書にも書かれています。

螺旋状骨折=回旋力(捻転力)が働いた結果による骨折


上腕骨骨幹部に起こる螺旋状骨折






【図1:上腕骨骨幹部に起こる螺旋状骨折】



さて、上腕骨骨幹部に起こる螺旋状骨折のX線像を【図1】に描いてみました。

上腕骨骨幹部骨折に起こる螺旋状骨折は、【図1】に示すような2つのタイプに大別できます。

【上腕骨骨幹部に起こる螺旋状骨折の骨折部位と骨折線の走行】

(a) 上腕骨骨幹部中下1/3部で、骨折線が外上方から内下方に至るもの

(b) 上腕骨骨幹部中央部で、骨折線が内上方から外下方に至るもの


ところで、投球骨折が発生する際の具体的なメカニズムについては、2つの説があります。

【投球骨折の発生メカニズムと骨折部位との関係−2つの説】

(1)
上腕骨遠位がボールと前腕の重さの慣性により外旋されているのに対して、近位が肩周囲筋群で内旋されて骨折する。
この場合、骨折タイプの違いは単に骨折部位の違いによる。

(2)
中下1/3部に発生するもの(a)は、加速期初期に(1)と同様の機転で起こる。
中央部に発生するもの(b)は、加速期末期に上腕骨遠位が強く内旋されて起こる。


太郎の数少ない治験例から推測する上では、太郎は(2)の説に賛成です。(^o^)/
これの方が、しっくりときます。

中嶋寛之先生(日本体育大学大学院教授)によれば、腕相撲骨折や、外野からのバックホームでの投球骨折、手榴弾骨折などでは急激に強い力が働いて起こるので、中下1/3部の解剖学的弱点、すなわち腕橈骨筋と上腕筋の間の橈骨神経の走行に沿った骨折になると推測しています。

なお、手榴弾骨折と言うのは兵隊さんが手榴弾を投げることによって起こる上腕骨骨幹部の螺旋状骨折です。

また、中央部に発生する骨折は疲労骨折や投手に起こるものの一部に見られ、何か疲労性の因子が関与している可能性が推察されるとも同教授が述べています。

螺旋状骨折のメカニズムを考えようとしたとき、太郎は、タオルの両端を持ってその片方を固定させ、もう片方を捻って(回旋させて)みて骨折線の走行を推測してみました。
また、タオルの両端をお互い反対側に捻って(回旋させて)もみました。

低周波のコードは幾度となく捻ってみましたので、捻れた癖がついてしまいました。(ーー;)・・・ですから、これはあまりお勧めできません。

また、細めの枯れ木の棒を何本も用意して、上記のような操作を行って螺旋状骨折を作る実験を行ってみました。
でも実際は、これらのほとんどが、回旋力(捻転力)を加えて木を骨折させたつもりが、結果的には斜骨折か横骨折になったのですけどね。(^^;

上記の述べた太郎なりの実験では、次のような結果(推測?)が得られています。

【枯れ木を用いて擬似的に作った螺旋状骨折による実験結果】

(A) 片方を固定して、もう一方に回旋力を加えた場合

回旋力が作用する時間が長ければ長いほど(ゆっくりと回旋させるほど)、回旋力を加えた側に近いところで骨折する。

回旋力が作用する時間が短ければ短いほど(すばやく回旋させるほど)、中央部付近で骨折する。

(B) 枯れ木の両側に回旋力を加えた場合

回旋力が作用する時間が長ければ長いほど(ゆっくりと回旋させるほど)、螺旋状骨折の長さが長くなる。(骨折部近位端から遠位端までの長さが長くなる)

回旋力が作用する時間が短ければ短いほど(すばやく回旋させるほど)、螺旋状骨折の長さが短くなる。(螺旋状骨折というより横骨折に近くなる)


実験に用いているものは、太郎の接骨院の裏庭に転がっていた梅の木の枝です。
太さも一定ではなく、枯れている様子もそれぞれまちまちです。
ですから、実験と言えるほどの条件が整っているわけではありません。

従って、実験結果と言えるほどの代物ではありませんが、これを見るだけでも、螺旋状骨折の起こり方が筋力作用とその強さに何かしろの因果関係が存在することを示唆しているように思えます。(^^;

ところで、上腕骨に作用する回旋力は、投球フォームによっても大きく異なってきます。

投球動作は肩関節を軸にして投げるのが理想的であるのに対して、肘関節を軸にすると上腕骨に作用する回旋力は大きくなってしまいます。
と言うことは、投球骨折は肘関節を軸にして投げた場合に起こりやすいのかも知れませんね。

少年野球チームに所属した子供が時々、上腕部分に痛みを訴えて来院するケースがあります。
遠投の練習をしていて痛めたり、ピッチング練習をしていて痛めたりするなど負傷原因はさまざまですが、施術室の中で一度、どのような投げ方をしているかフォームの確認をしてみると良いでしょう。

このような訴えで来院する子供たちの多くは、意外に投球フォームに原因があることに気付きます。

投球フォームと上腕の回旋力





【図2:投球フォームと上腕の回旋力】



(a) 肩関節を軸にした正しい投げ方(上腕骨に対して作用する回旋力は少ない)

(b) 肘関節を軸にした誤った投げ方(上腕骨に対して回旋力が直接作用する)


【参考文献】
「スポーツ整形外科」(絶版)中嶋寛之 編集/南江堂/改訂第2版/1998年11月



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