先日、S県在住のHさんから肘内障についてお問い合わせがありました。

Hさんとは何度かメールでやり取りを行いました。
最後のメールでは、その内容についてBlogで紹介しても良い!とのご了解を得ましたので、今日のBlogはそのお言葉に甘えて話題にさせて頂きましょう。

以下、Hさんから初めて届いたメールを抜粋します。

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はじめまして、ブログを拝見し、メールさせて頂きます。

私は、S県M市在住のJ.Hと申します。

息子の肘内障(?)が整復されず、それに関する記事を掲載しているサイトがないか探していて、整骨太郎様のブログに辿り着きました。

症状が発生した頃から、現在までの息子の状況を以下、記載していきます。


息子は2006年2月生まれ。
名前:Yちゃん
現在2歳と1ケ月


3/13(木)

保育所で12:30〜15:00まで昼寝。

17:00頃、先生に両手で絵本を渡す動作をした(←後で分かりました)。
起きた時点から、17:30に妻が迎えにいくまで、ずっとぐずっていた。
妻がベビーシートに乗せようとすると痛がっていた。

家に戻ってから、妻がだっこしている最中も、泣いていました。
通常、息子がぐずったりして泣く場合は、激しいので、だっこするのも大変ですが、この時は、今まで見たことのないような静かな泣き方でした。

左腕がまったく動く様子がなかく、「これは腕が抜けているんじゃないか」という話になり、病院に行く事にしました。

既に一般の病院は営業を終了していたので、近くのN病院の救急外来に行く事にしました。

18:30、外科のI先生に見てもらいました。
腕を色々と調べて、肘内障だと思うという事でした。
「今、入ったと思うので、これで様子を見て下さい」と言われた。

家に帰って様子を見る。

左はまったく動かさないが、一度おもちゃを握りしめていました。その間数分また、病院に行く前よりは機嫌が良くなっていました。
何もしなければ、「結構機嫌がよい」と言える状態でした。

お風呂に入って、上がって、パジャマを着せようとすると「痛い」と言う。
腕もまだ、だらんと力がまったく入っていなく、動きもしないので、もう1度21:00頃N病院の救急外来に行きました。

今度は、外科のS先生に見てもらいました。
横には、最初のI先生もいました。

腕を調べてくれていましたが、特に新しいコメントはありません。
「痛い記憶があって、それでなのかもしれない・・」などという事でした。

S先生が、息子を抱くと、妻の方へ「ママ、だっこ!」と言って、一瞬、両手を伸ばしました。
S先生いわく「腕も動くので、とりあえず様子を見て下さい」との事でした。
帰り際に、息子に「S先生にタッチは〜」というと、左手で、先生とタッチをしました。

家に帰ると、息子は疲れたようで、あっという間に寝ました。


3/14(金)

朝起きるが、仰向けになったまま、起きようとしない。

腕が痛くて、動かない事を把握しているかのように、起きようとするしぐさもみせない。

服を着せようとするが、やはり「痛い」といって、嫌がる。
「手が痛い?」といいながら、腕を触ろうとすると、嫌がり「痛い」という。

その他、息子とコミニュケーションをする中で、やはり、腕が整復できていないと感じる場面が多々あった。

9:40、近くのO整形外科病院に行く。

今までの経緯を話す。

「今、クリックしたので、これで治ったかもしれない。」
「でも、N病院でもそのように言われたのだから、はっきりとは分からないが・・・」

「ちょと様子を見て、治ってないようであれば、また明日来て下さい」

「痛くて機嫌が悪いようであれば、今日中に来た方がいいかな」
「今日中であれば場合によっては、N病院に紹介状を書く事もできるしね・・」

念のため、レントゲンもお願いしました。
レントゲンではまったく、異常は見られませんでした。

その後、念のため三角巾で腕を固定してもらいました。

15:50
特に変化が見られなかったので、三角巾を外す。
息子が腕への意識をしないよう、遊ぶようにしながら、ほんの軽く床へ倒れるようにすると、反射的に「痛い!」と言う。

腕が痛かった事の記憶があるせいでなく、本当に痛いのだと確信したので、N病院
に紹介状を書いてもらうよう、O整形外科病院に連絡をする

16:30
整形外科の専門のL先生に見てもらう。

診察の中で、「今、クリックしたから、これで治ったかもしれない」と、「でも、前にもそうだったんだよね・・?」

「左手で、これ(おもちゃ)を持つか、あっちで様子を見てもらえるかなぁ?」
「ここ(診察室)だと、それだけで興奮したり、泣いたりすると思うから・・・」

楽しい遊びや、おもちゃで、自然に左手を動かすよう誘導するも、まったく変化なし。
触ろうとしたり、触ると「痛い!」というし、動かさない。

S先生に事を伝える。

結局、少し様子を見る事に。
 
「幼児の場合、レントゲンに写らない骨なんかも多いので、少し時間が経たないと分からない事もある」
「月曜日に予約をとっておいたから、土日様子を見て、来て下さい」


3/15(土)

朝起きる。特に変化なく、「痛い!」、そして腕が動かない。

食事中にTVを見ながら「足痛い!」と、右足が痛そう。
数分の間隔をおきながら、何回か、「足、痛い!」という

数十分すると、足は治ったよう。

日中、特に変化はない。

18:30頃、また「足が痛い!」と・・・


先生のコメント等は、少しは省いたところもありますが、おおまかに上記のとおりです。

肘内障などではなく、なにか、特殊な病気なのかなぁ〜・・・?とも思ってきました。

なにか、アドバイスなど頂けましたら、幸いです。

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以上が、Hさんから最初に届いたメールの抜粋です。
なお、個人名はイニシャルに変更し、一部校正を加えています。

さて、Hさんから届いたメールについてまとめながら、お話を進めていきましょう。

2歳1か月のYちゃん(男児)が、肘内障を受傷したようです。

保育所の先生に絵本を両手で渡そうとした時に受傷した可能性もありますが、定かではありません。

絵本を両手で渡そうとする動作は、肘を屈曲位から伸展させる動作です。
太郎の経験(実験)上、単に肘を屈曲位から伸展させても肘内障は発症しません。(^^;

【参考Blog】
「小児肘内障の発生機序」


もし、この動作で発症したとするならば、肘を伸展させることによって発症したのではなく、Yちゃんが先生に絵本を手渡そうとするタイミングと、それを受け取ろうとして絵本を引っ張ったタイミングが合わなかったのかも知れませんね。

先生が絵本を引き寄せる力が本を介してYちゃんの腕に作用し、結果、Yちゃんの肘には牽引する外力が作用して肘内障が発症した可能性も考えられます。

また、Hさんのメールには、「Yちゃんはお昼寝から起きた当初からぐずっていた」とあります。

ただ単に寝起きでぐずっていたのかも知れませんが、肘内障は寝起きに際して発症するケースも少なくありません。

寝起きに際して前腕を回内し、そこに前腕が末梢方向に牽引される力が作用するのでしょうか?

牽引力は、必ずしも第三者が引っ張らなくても作用します。

起き上がり動作に伴って前腕に作用する牽引力





起き上がり動作に際して前腕に働く牽引力については、上の画像をご覧下さい。

起き上がろうとする際、まず「仝関節を内旋させる」とともに、「∩囲咾魏麁發気擦拭とします。
この時、床面には手掌をついているのが一般的ですが、誤って手背(第1および第2中手骨部分)が床についていることがあります。

この肢位で起き上がろうとすると「手部が床に固定され」、そこへ「ぞ緘梢箸魑こそうとすると」「ド(前腕)の部分に牽引力が作用する」のです。

なお、画像では固定された手部を手背(第1および第2中手骨部分)としましたが、手掌をついていても同じように肘(前腕)に牽引力が作用します。
ただし、手背をついていた時に比較すれば、手掌をついていた場合は働く牽引力が少ないのか、肘内障の発症率は著明に低くなるようです。


さて、Yちゃんは肘内障を受傷して、N病院のI医師によって整復をしてもらいました。

でも、帰宅してお風呂の後、パジャマを着せようとした際にまた肘に痛みを訴えました。

パジャマの袖に腕を通そうとする動作でも、肘内障が発症します。
親にパジャマを着せてもらった場合はもちろん、自分でパジャマを着ようとした場合でも発症します。

着せてもらう場合に発症するケースのほとんどは、先の画像に示したのと同様に、肩が内旋して前腕が回内したところへ、肘に牽引が加わっているようです。

パジャマを着せてもらうことによって発症する肘内障は、肘内障の既往歴に関係なく発症します。
それに対して自分でパジャマを着ようとして発症するものは、そのほとんどが反復性となったものです。

I医師による整復の後、物を握ることはしたものの腕を動かさなかったとHさんは言います。

肘内障は、整復した直後から腕を動かすのが一般的です。
もしかしたら、I医師による整復が不完全であったのかも知れません。

また、I医師によって一旦整復されたものの、パジャマを着せてもらう動作に伴って再度、肘内障を発症したのかも知れません。

なお、肘内障は一旦発症すると、反復性となる可能性が極めて高いです。
反復する周期には個人差がありますが、毎週とか毎月1回発症するケースもあれば、何か月か経過して発症するケースもあります。

ただ、肘内障が反復するのはいずれにおいても、これが発症するに値する負傷原因が存在します。
すなわち、何もしないことには肘内障が発症するはずがなく、例えば子供の手を不用意に引っ張ってしまうとか、衣服を着せようとした際に肘を捻ってしまうという原因が存在するのです。
要は、保護者が注意していれば肘内障の発症を予防できるケースも多いのです。
これらのほとんどは、保護者等に対する指導管理によって予防が可能です。

一方、子供が寝ていた姿勢から自分で起きようとした際、肘を捻って発症するなど、患者さん本人の動作に原因がある場合もあります。
この場合ばかりは幼児に指導管理をしても理解してもらうことは不可能ですから、不可抗力と言えるでしょう。


肘内障の発生機序についてお話をし始めたら、いつの間にか長いBlogになっていました。(^^;

この続きは、次回以降のBlogに委ねることにしましょう。


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