先日、女子中学2年生A子ちゃんが、お母さんに付き添われて太郎の接骨院を訪れました。

学校ではバレーボール部に所属し、基礎体力作りを目的とした縄跳びで二重跳びをした際、着地時に足を捻って受傷したと言います。
受傷したのは4日前で、受傷したその日、近所にあるB接骨院を受療したそうです。

B接骨院では低周波通電のほか、テーピングを施行してもらったと言います。
しかし、痛みは治まるどころか日を追うごとに増してきたそうです。

そこで、何年も前に受療したことのある太郎の接骨院にやって来たようです。

さて、A子ちゃんが太郎の接骨院を受療した際、彼女は太郎に、足首が痛い旨を訴えました。
そこでは当然、負傷原因について尋ねますよね?
その結果、前述した「学校のバレーボール部の活動で、基礎体力作りを目的とした縄跳びをしていて痛めた」という回答が得られました。
ただし、当初は二重跳びで痛めたとまでは聞かれませんでした。

患部として訴えたのは、右外果部です。

施術室に入ってくる時点から、A子ちゃんの歩き方はいかにも痛そうでした。
患肢には、荷重をほとんどかけようとしていません。

外果周辺の様子を見る限りでは、わずかに腫脹を呈しているようです。
その腫脹も、健側と比較してやっと分かる程度です。
腫脹を呈している範囲は前距腓靭帯部のほか、足関節前方裂隙にまで及んでいます。

歩行に際して跛行を呈するほどでしたから、足関節を自動的に動かしてもらい、どのような運動に際して疼痛を感じるか聞いてみました。

そうするとA子ちゃんは、足関節の底屈(屈曲)および背屈(伸展)運動に伴う痛みを訴えました。
また、足関節の底背屈運動では、背屈よりも底屈に際して痛みが強いとも訴えます。

このときA子ちゃんは、内返し運動(足関節の底屈+回外+内転)での痛みを訴えませんでしたが、その肢位になるように太郎の手でもっていくと疼痛を訴えました。
ただし、内返し運動よりも底屈運動の方が痛みが強いといいます。

外果周辺には、骨折を疑うほどの所見が見当たりません。

一般に捻挫は、受傷した瞬間と同じ肢位にすると、もっとも疼痛を訴えるものです。
その考え方からすれば、A子ちゃんの受傷時の肢位は足の内反というよりも、底屈であることが推測できます。

圧痛は、前距腓靭帯部に認めます。
踵腓靭帯部や後距腓靭帯部には認められません。

前距腓靭帯捻挫であれば、足の内反強制によって起こるものですが、A子ちゃんの受傷時の肢位は足の内反よりも底屈でありそうです。

ちょっと普通とは違うことが推測できますね?

A子ちゃんには、足の底背屈に際して、どこに痛みを感じるのか尋ねてみました。
そうすると、足関節前方裂隙付近を指で示します。
指で示したその部位は、前距腓靭帯部ではありません。

前脛腓靭帯部の圧痛を調べてみたところ、その部位にも圧痛があるようです。
どうやら、底屈に際して痛みを訴えるのは、前脛腓靭帯部でありそうです。

足関節の横幅(前方から見た内果から外果の幅)は、健側と比較しても変わりありません。

前脛腓靭帯の離開を疑う場合は、下腿骨近位端(腓骨頸部)の高さで、下腿を両手で包み込むようにして圧迫します。
骨格模型の下腿骨近位端を内外側から圧迫すると、その理由が分かりやすいでしょう。
腓骨近位端(腓骨頸部)のあたりを脛骨側に押圧することによって腓骨はしなり、その遠位端(遠位脛腓関節部)では離開しようとする力が働きます。
さて、A子ちゃんにこの検査を行っても痛みは訴えませんでした。

次いで、下腿遠位端(内果と外果)を両手で包み込むようにして圧迫してみました。
そうすると、痛みを訴えるとともに、圧迫に伴ってわずかに内果および外果がそれぞれ寄り合う音が感じられます。

どうやら、A子ちゃんの傷病は、単なる前距腓靭帯捻挫だけではなく、前脛腓靭帯捻挫もあるようですね。

どのように縄跳びをしていたのでしょうね?
普通に縄跳びをしていて捻ったなら、前距腓靭帯の捻挫は考えられなくはありませんが、前脛腓靭帯まで捻挫するとなると余程の外力が働くはずです。

その旨をA子ちゃんに伝えたところ、A子ちゃんからは、縄跳びと言っても二重跳びをしていて着地に失敗したことが告げられました。

患者さんの傷病を見るに当たって私たちは、まずその負傷原因を聴取しようとします。
また、患者さんが訴える疼痛部位も尋ねることでしょう。

今日のBlogでお話したように、このときに得られる情報は、決して完全なものではないことも時としてあるのです。
むしろ、本来得なければならない情報ほど、患者さんは無意識のうちにそれを伝えていないかも知れません。

A子ちゃんは当初、縄跳びで着地し損ねたと伝えてはくれましたが、二重跳びで着地し損ねたとは伝えてくれませんでした。
ところが、患部の検査を進めるうち、実は二重跳びの着地に失敗したことが判明しました。
これは、太郎がA子ちゃんの患部を見ながらA子ちゃんと会話して得られた情報ですね。

この様子をそばで見ていたA子ちゃんのお母さんは、「そんなことまで分かるのですね〜!」と驚いた様子です。
決して大層なことではないのですが、患部を丁寧に検査して、患部の損傷の様子を伝えたり、推測を交えて患者さんとコミュニケーションをとると、診断(判断)の確定に有効な情報を引き出すことができる場合も少なくありません。
また、それを行うことによって患者さんやその家族は、私たちにより一層信頼を寄せてくれるかも知れませんね。


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