太郎の元には近ごろ、接骨院で起きた事故に関するメールが送られてきています。

今日のBlogではその一つを紹介させて頂きながら、お話を進めていきましょう。


開業柔道整復師の何人かの先生からは、ローリングベッド(ローリング治療器)による事故が多発している旨、報告が寄せられました。
この事故は、太郎の接骨院を訪れた医療器械販売業者の人からも聞いたことがあります。

ローリングベッドはベッド型の器械の上に背臥位で寝てもらい、ベッド内部にあるローラーが患者さんの背部を移動して筋肉を弛緩させようとするものです。

腰背部などに慢性的な筋硬結がある場合には効果的ですが、急性腰痛症などのように急性症状を呈しているものでは禁忌となります。
また、骨粗鬆症の患者さんや、円背または突背などの脊椎の変形を認める患者さんにも不向きです。

開業柔道整復師のA先生から寄せられた報告では、近隣のB整骨院では来院される患者さんには皆(?)、ローリングベッドによる治療を行っているそうです。
B整骨院ではどうやら、ローリングベッドによる治療を一種のサービスとして行っているようです。
それを裏付けるように、老若男女を問わず、患部がどこであれ、ローリングベッドに載ってもらうとか。
中には、初検で訪れた患者さんに対して、待たせないようにする配慮からか、B先生の診察の前にローリングベッドに載ってもらうケースもあるようです。

患部や症状に関係なく、有無なくローリングベッドに載ってもらうため、症状が悪化してA先生の元を受療する患者さんも多数いるようです。
A先生にしてみれば、B先生のところの患者さんが流れてくるわけですから、患者さんが増えることになります。
決して迷惑ではないのですが、B先生の行為に疑問が募るばかりか、同じ柔道整復師にこのような行為を行われると、業界全体の信頼を失いかねないと憂慮されています。

A先生にとってB先生は、異なる柔道整復師団体に所属して面識が全くないと言います。
年格好や人柄などは人から聞いてはいるものの、見ず知らずの先生に注意したものかどうか悩んでいるそうです。
なお、B先生はA先生よりも3歳ばかり若く、開業もA先生より1年余り後とのことです。

「このようなケースがあった場合、太郎先生ならばB先生に注意しますか?」というご質問が、A先生から寄せられました。

先日のBlogでもお話したように、よその接骨院を受療していてその後、何らかの理由で太郎の接骨院を受療する患者さんをときどき見かけます。

よその接骨院を受療していてその後、太郎の接骨院を受療する理由はさまざまですが、その中にはそれまで受療していた接骨院に何がしろ注意してあげたら良さそうなことがある場合があります。

よく知った先生であれば、注意してあげれば喜んでくれるかも知れませんね。
でも、見ず知らずの先生や、ほとんどお付き合いのない先生では注意なんてしても喜んでくれるかどうか分かりませんね。

中には、注意を促したい先生が太郎より目上(年上)の先生であったり、太郎より開業歴が長い先生であることもしばしばです。

以前は、それとなく話題に出して注意を促したこともありましたが、今ではそのようなことは一切していません。

さて、話題をローリングベッドに戻しましょう。

患者さんをローリングベッドに載ってもらって施術の補助とすることは、全く問題ありません。
ただ、先に述べたB先生のように、患部に関係なく載ってもらうのは問題です。

ローリングベッドは治療器械の一つですから、施術する上でローリングベッドによる治療を要する人に限定して載ってもらうべきでしょう。
また、腰背部に筋硬化があるなどして、ローリングベッドによる治療を考えたとしても、次のような場合はローリングベッドによる治療は避けるべきです。

(1) 急性症状を呈している場合。(症状を悪化させる恐れがあります)
(2) 患者さんに骨粗鬆症の現症歴がある場合。(脊椎骨折を起こす危険があります)
(3) 円背や突背などのように脊椎に外見上の明らかな変形を認める場合。(脊椎骨折を起こしたり、症状を悪化させる恐れがあります)
(4) 背臥位を保持するのに痛みを伴ったり、背臥位保持が困難な場合。(症状を悪化させる恐れがあります)


勤務柔道整復師であるC先生からは、「ローリングベッドに載ってもらうことによって症状が悪化した場合は、ローリングベッドのメーカーに対して損害賠償をすることができるのですか?」というご質問がありました。

製造物責任法(PL法)を指してのご質問かと思われるのですが、この場合は、製品であるローリングベッドに欠陥があるなどの問題があって、損害が生じた場合に適応されることになります。

従って、ローリングベッド自体に欠陥があるわけではなく、単に柔道整復師の判断に誤りがあって起こった事故になりますから、その責任は柔道整復師に及びます。
柔道整復師がその施術の一環として、患者さんに対してローリングベッドに載るように指示したわけですからね。

中には、ローリングベッドに気持ち良さそうに載っている患者さんを見て、「自分も載りたい!」と訴える患者さんがいます。
施術の上では、その患者さんに対してはローリングベッドによる治療を要しない患者さんです。

そのような患者さんに、ローリングベッドに載ってもらうこと自体は問題ありませんが、ローリングベッドに載ってもらうことによって万が一、その患者さんの腰が痛くなるなど事故が起こった場合は、柔道整復師にその責任が及びます。

患者さんの希望によって載ったとしても、それに載ることを許可した柔道整復師に責任が及ぶのです。

今日のBlogでは、ローリングベッドを例にして事故が起こった場合の事例をお話しましたが、これは何もローリングベッドだけに限りません。

施術所内に設置された医療器械すべてにおいて、事故が起こった場合は柔道整復師に責任が及ぶとお考え下さい。

【編集後記】

太郎の接骨院に出入りしてくれている医療器械販売業者の人からは、近ごろはローリングベッドよりもウオーターベッドなるものが売れていると聞きました。

見かけはローリングベッドなのですが、ベッド内部にはローラーがあるのではなく、水圧によって筋緊張を緩めようとするものです。

業者さんのお話では、ウオーターベッドであれば背臥位の保持さえできれば、それに載ってもらうことが可能だとか。
(注意) この記述は、業者さんのお話です。太郎はウオーターベッドなるものをいまだ見たことがありませんので、はっきりとしたことは知りません。m(__)m


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