先日から2回にわたって、鎖骨骨折に関するお話をしました。

「鎖骨骨折かも知れない患者さんが来るときの気持ち」
「鎖骨骨折の整復をイメージする」

今日のBlogではその続編として、開業柔道整復師のT先生がみたA君の傷病をご紹介しましょう。


外観




【画像(1)】A君の患部外観


A君の患部外観が【画像(1)】です。

応急手当として、三角巾によって堤肘してあります。
なお、処置として行ってあるのは堤肘だけで、患部に対する整復操作などはまだ行っていません。

局所外観






【画像(2)】局所外観




続いて、局所外観です。

近位骨片が外側に向かうほど上方に転位しているのがお分かりでしょうか?
また、近位骨片の骨折端部から水平(外側)に、遠位骨片が続いているのがお分かりですか?
鎖骨は、数学で用いるルート(√)のかたちになっています。

【画像(2)】をもって骨片転位の状況を把握したら、もう一度、【画像(1)】に戻って健側と患側の両方の鎖骨の外観を確認するのがお勧めです。

見るからに、これは鎖骨の骨折です。

しかし、A君は想像するほどの痛みを訴えませんでした。
しかも、上肢の挙上が可能だったのです!

上肢の挙上が可能






【画像(3)】上肢の挙上が可能でした




【画像(3)】は背臥位で撮影したものですが、A君は立位でも上肢の挙上が可能でした。

一般的に、鎖骨骨折では上肢の運動制限を来たします。
中でも、上肢の挙上制限は、鎖骨骨折にみられる主症状です。

外観上は鎖骨骨折を呈しているのに、上肢の挙上が可能です。

これは、鎖骨骨折の中でも、その近位骨片と遠位骨片が噛合するなどして連続性が保たれていることを示唆します。

以前のBlog「鎖骨骨折−保存療法許容範囲の見極め」で太郎は、鎖骨骨折の整復が保存療法の適応かどうか見極める判断指標についてお話しました。

鎖骨骨折の整復後、固定を行うことなしに、患者さんには上肢を挙上してもらうわけですが、これはある意味、両骨折端がくっつき合うまでに整復できたか確認するものと言い換えることが可能です。

この太郎の判断基準を裏返しにして考えれば、鎖骨骨折の患者さんが整復前から上肢の挙上が可能なら、両骨折端は何らかの理由によってくっつき合っているといえるでしょう。

すなわち、(鎖骨骨折ではあまり使われない表現ですが)両骨折端が噛合しているとか、不全骨折であると考えられます。

先ほど、【画像(2)】を示したとき、鎖骨が数学でいうルート(√)のかたちを呈していると表現しました。

ルートの最初のひっかけは余計なのですが、ルートを4画で書くと考えれば、3画目(左下から右上に向かって斜めに上がる線)と4画目(左から右に向かって真横に延びる線)が鎖骨の形状を示しています。

ここでいう3画目は近位骨片で、4画目は遠位骨片というわけです。

定型的転位を示す鎖骨骨折では、3画目の近位骨片は【画像(2)】のように斜め外側に上がってみえますが、4画目の遠位骨片はこのようにみられないのが一般的です。
すなわち、外観上では、近位骨片の転位状況だけが確認しやすいのです。(近位骨片が上方やや後方への転位を著明に呈している場合)

定型的転位を呈した鎖骨骨折の近位骨片は、上方やや後方に転位します。
遠位骨片は、短縮転位するとともに下方に転位しましたね?

これは、両骨折端が骨折によって離開している場合の転位です。

【画像(2)】では、近位骨片がその外側で上方に転位しているのに、その骨折端部から連続して遠位骨片が真横に延びています。

これは、近位骨片と遠位骨片に連続性が保たれていることを示唆しているのです。

X線像







【画像(4)】X線像



【画像(4)】には、A君の鎖骨のX線像を示しました。

これまでお話したように、近位骨片と遠位骨片が、それぞれの骨折端部において連続しているのがお分かりですか?

骨折部で、上方凸の屈曲変形を呈していますね。

さて、今日のお話はこれくらいにして、また次のBlogで続きをお話することにしましょう。(^^;


【次回のBlogにつづく】


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