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前回のBlogでは、大腿骨頸部骨折の分類の一つであるPauwels(パウエルズ)の分類についてお話ししました。

Pauwelsの分類では、X線前後像でみた骨折線が、水平線に対してどれくらいの角度をなしているかを見ました。
骨折部に働く垂直方向への力を圧迫力と剪断力に分け、骨折部の安定性(骨癒合条件の良否)を評価しましたね。
骨折部に働く圧迫力と剪断力は骨折線のなす角度によって変化しましたが、片方が大きくなれば、もう一方は小さくなっていく関係にありました。

今日のBlogでは、理論編教科書(P.258)に書かれたもう一つの分類である、Garden(ガーデン)の分類についてお話を進めていきましょう。

大腿骨頸部骨折のX線上の分類は、現在、Pauwelsの分類とGardenの分類が多く用いられています。

Pauwelsの分類が骨折線のなす角度をみて分類したのに対して、Gardenの分類は、大腿骨頸部における骨性の連絡や、軟部組織の連絡などをみて行う分類です。

分かりやすくいえば、Pauwelsの分類が骨折線のなす角度で分類したのに対して、Gardenの分類では骨折部における転位の程度によって分類します。

ただ、この分類について説明する図示は、医学書によってさまざまです。(^^;
まずは、その中でも分かりやすいものを2つ示してみましょう。

(図1)大腿骨頸部骨折のGarden分類



Garden分類(図1)
Stage 機
不完全骨折。頸部内側の骨性連続が残存し、外反型(外転型骨折)を呈しています。
Stage 供
完全骨折。軟部組織の連続性は残存し、骨折部は嵌合(かんごう:はまっている)しています。
Stage 掘
完全骨折。回転転位があります。頸部被膜(Weitbrecht支帯)の連続性は残存しています。
Stage 検
完全骨折。すべての軟部組織の連続性が断たれています。


(図2)大腿骨頸部骨折のGardenのStage分類










大腿骨頸部骨折のGardenのStage分類(図2)
Stage 機
不完全骨折。内側で骨性連続が残存しているもの。
Stage 供
完全嵌合骨折。軟部組織の連続性は残存しています。
Stage 掘
完全骨折。骨頭回転転位。Weitbrechtの支帯の連続性が残存しています。
Stage 検
完全骨折。骨頭回転転位なし。すべての軟部組織の連続性が断たれたもの。


さて、皆さんはどちらの図の方が分かりやすいですか?

なお、いずれの図においてもStage靴如Weitbrecht(バイトブレヒト)の支帯という記述がありました。
Weitbrechtの支帯というのは、大腿骨頸部の下後方に存在する強靭な被膜を指します。

Stage靴任X線正面像において完全骨折で転位を認めますが、骨頭の一次圧迫骨梁が健側より水平となり(横に傾き)、遠位骨片側の縦の骨梁と一致しなくなります。
これは、強靭なWeitbrechtの支帯の連続性が保たれていて、遠位骨片の転位に伴いこの支帯に引っ張られて骨頭が回転転位するためです。

一方、Stage犬任頸部周囲の支帯がすべて断裂しているために骨頭は回転せず、一次圧迫骨梁の水平化もなく、遠位骨片側の骨梁の走行と比較してもほぼ平行移動しただけです。
この骨折は、強い外力が作用した場合(交通外傷など)に起こり、若年者の頸部骨折に多くみられます。

さて、Gardenの分類は医学書によって説明がいくぶん異なると先に述べましたが、その理由は原著(元になっている著作)にあります(図3)。

(図3)GardenのStage分類(原著)








GardenのStage分類(図3)
Stage 機不完全骨折
Stage 供転位を伴わない完全骨折
Stage 掘部分的転位を伴う完全骨折
Stage 検完全体転位を伴う完全骨折


(図3)に示したように、Gardenの分類の原著はX線像で示されているのです。

医学書でGardenの分類をシェーマ(図式)化したものの多くが、このX線像を読み違えて(?)誤った記述(シェーマ)を記載してしまい、混乱を招いているともいわれています。

なるほど、(図3)に示したX線像では、各Stageの様子が理解しにくそうですね。
でも、いずれにしても、各Stageの様子を記した記述には大差なさそうです。
ですから、大腿骨頸部骨折のGardenの分類を見ようとする場合は、先に示した各Stage分類の記述を参考にして、そのStageを推測することにしましょう。

さてここで、皆さんの教科書に記載されたGardenの分類をみてみましょう(図4)。

(図4)理論編教科書に記載のGardenの分類





もっとも左にあるのがStage気箸里海箸任垢、図を見る限りでは不全骨折ではありません。
近位骨片(骨頭)と遠位骨片に記された骨梁の様子をみる上では、外転型骨折を示しています。
教科書では、Stage気蓮嵒堊換折で楔合外転型骨折も含む」との記載がありますが、Stage気任鷲堊換折であることが絶対条件です。
外転型骨折を呈する不全骨折であるため、骨折線は頸部外側(上側)に骨折線が入り、頸部内側(下側)では骨折線が入っていないのが診断ポイントとされています。
教科書に記載された図では、遠位骨片が外転・外旋転位を呈しています。
これでは、転位がないとは言い切れません。
従って、これをGardenの分類に当てはめるのであればStage(完全骨折+軽度転位)か、楔合している(癒合条件が良い)観点からすればStage(完全骨折+転位なし)に分類されるところでしょう。

また、教科書に記載のStage兇凌泙Stage(完全骨折+高度転位)に、Stage靴よびStage犬凌泙呂い困譴Stage(完全骨折+軽度転位)またはStage(完全骨折+高度転位)に分類できそうです。

従って、教科書を訂正するようで恐縮ですが、皆さんの教科書に記載されたGardenの分類の図は正しくないのです。(^^;

このたび、2回にわたって大腿骨頸部骨折の分類(Pauwelsの分類・Gardenの分類)についてお話をしました。
これらのお話は、整形外科医の意見を聞いた上で進めてあります。
また、各Stage分類に関する記述は、柔道整復師にも分かりやすいようにいくぶん改変しています。

【参考文献】
「カラー写真でみる! 骨折・脱臼・捻挫」(図1)
内田淳正・加藤 公 編/羊土社 発行/第1版第2刷/2006年2月
4,500円(税別)
「標準整形外科学」(図2)
国分正一・鳥巣岳彦 監修/医学書院 発行/第10版第1刷/2008年4月
9,200円(税別)
「骨折治療学」(図3)
水野耕作・糸満盛憲 編集/南江堂 発行/第1版第1刷/2000年4月
18,000円(税別)
「骨折・脱臼」
冨士川恭輔・鳥巣岳彦 編集/南山堂 発行/第1版第2刷/2002年3月
28,000円(税別)
「柔道整復学−理論編(改訂第4版)」(図4)
(社)全国柔道整復学校協会・教科書委員会 編集/南江堂 発行/第4版第4刷/2006年2月
7,300円(税別)


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