ずいぶんと前のお話ですが、「坐骨神経は2本の神経の総称」というタイトルで、坐骨神経はもっとも多いところでは梨状筋の下から出てくるものの、中には下図に示すように、坐骨神経の半分が梨状筋を貫いているものもあるなど、個体差があることをお話しました。

しばしば遭遇する坐骨神経の梨状筋貫通様式の変異






また、坐骨神経は膝よりやや高い位置で総腓骨神経と脛骨神経とに分岐しますが、その分岐する位置にしても個体差があることをお話しました。

梨状筋と坐骨神経との関係は、Beatonが行った240例の剖検によって、Type aからType fまでの6つに分類されています。

坐骨神経と梨状筋との関係(Beaton)







もっとも多いとされているのは、坐骨神経が梨状筋の下を通って出てくるもの(Type a)で90%です。
以下、Type b、Type cがこれに続きます。

Type bでは坐骨神経の半分が、Type a同様に梨状筋の下を通り、残る半分が梨状筋の間に挟まれるようにして出てきます。(先に示した図と同じ様式。ただし、先の図は右殿部を、この図は左殿部を示しているため、総腓骨神経と脛骨神経の位置関係は左右逆転しています)

このとき、梨状筋の間を通り抜けて出てきているのは総腓骨神経です。
従って、Type bにおいて梨状筋が緊張した場合は、総腓骨神経を絞扼しやすい環境にあるといえます。
実際、梨状筋症候群を発症しやすいのはType bといわれています。

Type cは、総腓骨神経が梨状筋の上(浅層)を通るもの。脛骨神経は梨状筋の下(深層)を通り、梨状筋は総腓骨神経と脛骨神経にはさまれているといえます。

Type dでは坐骨神経(総腓骨神経・脛骨神経)全体が、梨状筋の間を貫いています。

なお、Beatonの分類では、Type aからType fまでの6つに分類されていますが、Type eおよびType fは理論上のものだけで実際にはみられないといわれています。
また、Type a以外は両側に起こりやすいともいわれています。

次いで、坐骨神経がどのあたりで総腓骨神経と脛骨神経とに分岐するかについてです。

下図に示すように、28%の個体が高位(high level)で、総腓骨神経および脛骨神経の2つに分かれています。

坐骨神経分岐の高位






そして、この高位分岐型(high level division type)で、総腓骨神経が梨状筋の中または上方から、かなりの高率で現れているといわれています。

なお、梨状筋は、下図(a)に示すように股関節の内旋によって緊張し、腱性部分が接して神経が絞扼されます。

股関節の肢位と梨状筋との関係





一般に、股関節を外旋すると下図(b)のように緩むといわれています。
ただ、これはstatic(静的な・静止した)状態でのみいえることで、dynamic(動的な)に考えると、股関節外旋でも梨状筋の強い収縮によって絞扼は起こり得ると考えられています。

【参考文献】
萬納寺毅智:梨状筋症候群(Piriformis syndrome),整形・災害外科,25:1759〜1763,1982


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